
 
  渡部通信:明けない夜はない(335)<若者を再び戦場に送るな!(85)戦前
回帰の高市政権>第15回「日・君」問題等全国学習・交流集会記録集の完成に寄せて
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2003年に日比谷公会堂で開かれた「12・23教育基本法改悪反対全国集会」
(呼びかけ人:高橋哲也・小森陽一・三宅晶子・大内裕和の四氏)は約4000人の参加で成
功した。
それを機に「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」が結成され、
全国的な反対闘争を大きく展開した。
しかし、2006年12月教育基本法は改悪され、「全国連絡会」は2007年1月解散した。
それでも、「全国集会」は「日の丸・君が代」強制反対、
「君が代」処分撤回裁判の闘争などと結びつき粘り強く続けられ、
2015年8月に東京で開かれた「全国集会」で、
主に東京と大阪の仲間たちを軸として「ひのきみ全国ネット」が結成され、
毎年夏に東京と大阪の交互で
「全国学習・交流集会」(+デモと文科省交渉)を開催し、今年で15回目になった。
その「記録集」が完成した。以下にある所をクリックしていただければ見ることが出来ま
す。
「日の丸・君が代」問題等に関する闘いの現段階を知っていただけると思います。
lhttp://hinokimi.web.fc2.com/index.html
ところで教育基本法が「改正」されて、その後日本の教育は良くなっただろうか。
否である。どんどん悪くなってきたといっても過言ではない。
それは例えば、「不登校の増加」、「子どもの自殺の増加」、「教員の超過勤務の増加」
、
「教員の精神的疾患の増加」、「休職者・退職者の増加」、「非正規教員の増加」、
「教員採用倍率の大幅な低下」、「深刻な教員不足」、「職場におけるパワハラの増加」
、
「教員の考えられないような不祥事の増加」、などなどである。
まさに鈴木大裕氏著の題名『崩壊する日本の公教育』(2024年10月22日第一刷発行)
状態になってきているのである。
その原因はいろいろ言われているが、教育基本法改悪後の文科行政が
そうした結果を生み出した最大の原因であると言わざるを得ない。
それは以下のようなことである。
・教育委員会を首長の下に置き、トップダウンの国家主義教育行政にしたこと
・「愛国心」の導入
・「生涯学習の理念」「大学」「私立学校」「家庭教育」「幼児期の教育」の条項の新設
・最後の第十七条に「教育振興基本計画」の新設(国家主義教育の徹底のため)
 そして現場では、「日の丸・君が代」を徹底しつつ、以下のようなことが行われた。
・職階制の強化 ⇒ 教員集団の分断
・業績評価の導入 ⇒ 教員集団の分断
・職員会議の伝達機関化 ⇒ すべて校長の一存で決定
・学習指導要領の法的拘束性の強化 ⇒ 教員は単なるティーチング・マシーン化
・学力テスト(1956年〜1966年)の復活(2007年)⇒ 点数第一主義の教育
こうした動きに対し、この間、卒・入学式での「日の丸・君が代」強制への反対闘争、
「君が代」処分撤回裁判闘争などが続けられてきた。
そしていくつかの闘いでは勝利もあった。
例えば、河原井さん・根津さんらは6か月停職を3度も受けながら、
屈することなく闘い続け最後に勝利を勝ち取った(2021年2月)。
また、東京「君が代」裁判では、減給以上の処分が取り消された
(ただし都教委は不当にも「戒告」の再処分をしている)。
そして、現在も第五次訴訟(原告15名)が東京高裁で闘われている。
そうした闘いを受けて、東京や大阪での諸集会も引き続き行われている。
しかし、私たちは教育基本法改悪後の教育の悪化を防ぐことが出来ず、
先ほど述べたような深刻な状態を変えるまでには至ってない。
また、文科省は教育悪化をもたらした大きな原因が
自分たちにあったことを全く認めようとせず、
引き続きさらに前に進めようとしている。
もちろん、この背景には日本社会の変化も見逃せない。
今年6月19日に第一刷りが発行された橋本健二氏著の『新しい階級社会』には、
「正規労働者階級」(1753万人。27.4%)の下に、
パート以外の非正規労働者の「アンダークラス」(890万人、13.9%)
という新しい下層階級が出現したとある。
これも、教育の悪化に大きく影響しているのだろう。
したがって、そうしたことがどんどん教育を悪化・右傾化させ、
最近では「教育勅語」や「靖国参拝」を肯定するような政党や首相まで生まれてきている
。
自民・維新連立政権「合意書」の中には
「26年通常国会で<日本国国章損壊罪>を制定する」とまで書いてある。
しかも若い世代にそれを支持する傾向が強いようだ。
まさに教育基本法改悪の「成果」なのだろう。
ところで、来年(2026年)は教育基本法改悪20年に当たる。
そうした意味で来年は、
「教育基本法改悪20年、日本の教育はどう変わったのかを振り返り、
今後の私たちの闘いの方向を明らかにする年」にすることが重要だろう。
第16回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会は、
来年7月に大阪で開かれる予定である。
できれば、全国から多くの人々が結集し、大集会と大デモをしたいものである。
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「ひのきみ全国ネット」のウェブサイト
       http://hinokimi.web.fc2.com/
  
  
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