本文の先頭へ
アリの一言:高市極右連立政権誕生・いま必要なことは?
Home 検索

 

 自民党と日本維新が20日「連立政権」で合意し、21日の臨時国会で高市早苗氏が「日本初の女性首相」に指名され、自民・維新の極右連立政権が誕生しました。日本がますます暗黒の方向へ向かうのは必至です。

 

 高市政権に対してはこれからたびたび批判していくことになりますが、その前に、この間の与野党一体となった連立騒動で浮き彫りになった問題を2つ確認しておきましょう。

 

 1つは、基本政策に違いがない与野党が熱中したのは「数合わせ」=野合にほかならなかったということです。

 

 高市氏や麻生太郎副総裁が「NHK党」などにも声をかけるなど、なりふり構わぬ「数合わせ」に狂奔したのは周知の事実です。

 自民党だけではありません。立憲民主党の安住淳幹事長はこう言い放ちました。

「自民党もうちも数合わせをやっている。そんなことはこの世界(政界)にいたら当たり前。建て前とかきれい事で政権はつくれない。どんなに世の中から批判されようと(自民との差の)あと48票死にものぐるいで集めるためなら何でもやらせてもらう」(14日、写真右)

 

 かれらが「数合わせ」に狂奔するのは、基本政策に違いがない以上、それしかすすることがないからです。

 グラス米駐日大使は、このかん各党の首脳と個別に会った結果、「誰が新しい首相でも安心だ」と述べ、「日米関係の強化に期待した」と報じられています(20日のNHK国際報道2025)。この米大使の言葉が日本の政党状況を端的に示しています。

 

 もう1つは、新聞・テレビの大手メディアが完全に翼賛体制に組み込まれていることが改めて浮き彫りになったことです。

 

 このかん、メディアは自民、立憲、維新、国民、公明の動向を追うだけで、共産党、れいわなどいわゆる「小政党」を完全に報道から除外しました。それはこれらの「小政党」を支持している市民・有権者を排除していることと同じです。

 たとえば先の参院選の比例代表で、共産党とれいわは合わせて674万4652票(11・4%)を得ました。これだけの有権者を無視していいはずがありません。

 「小政党」を除外した報道は、「不偏不党」に反するばかりか、市民の政策・政党選択の幅を「主要政党」の枠内に閉じ込めるものであることをメディアは銘記すべきです。

 

 こうした政党、メディア状況は深刻で、容易に打開できるとは思えません。前途はますます多難です。そんな閉塞状況の中、いま、何をすべきか、何ができるか―。

 

 今求められているのは、自民、維新、立憲、国民、公明など大政翼賛政党の枠内ではない別の政策、政治理念、進むべき道を広く市民に示すこと、今なければ新たに作り出すことではないでしょうか。

 

 各社世論調査の政党支持率で近年最大の支持を集めているのは「支持政党なし」です。多くの市民は既存の政党・政治に嫌気が差し、別の選択(オルタナティブ)を求めています。

 しかしそれがメディアの言論空間には示されていない。そのため無力感が充満し、やがて無関心へ、そして思考停止へと広がっているのが日本の現状ではないでしょうか。

 

 市民と学者・研究者・識者が共同して既存の政党・政治にない新たな政策・政治理念・価値観を示していく。メディアを使って示す。それによってメディア自体も変えていく。そして思考停止を打破し議論を交わす社会にしていく。

 いま、必要なのはそういうことではないでしょうか。


Created by sasaki. Last modified on 2025-10-22 06:33:48 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について