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声明 : 川口市議会で差別を煽動する意見書の採択に反対した議員らを支持する声明
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情報提供 : 指宿昭一

2025年10月13日 入管を変える !弁護士ネットワーク 「川口市議会で差別を煽動する意見書の採択に反対した議員らを支持する声明」 1 2025年9月30日、埼玉県川口市議会において、「不法滞在者ゼロプランの着実 な実行等を求める意見書」及び「外国人による交通事故の防止と被害者の保護・救済措置 を国に求める意見書」(以下、前記2つの意見書を併せて「両意見書」という。)が賛成 32、反対6の議決数で採択された。 我々は、以下の理由から、両意見書の採択に反対した6名の議員の判断を支持する。 2 両意見書は、政策提言の形を装っているが、その内容は外国人に対する差別・見見を 煽り、排外主義を助長するものである。 「不法滞在者ゼロプランの着実な実行等を求める意見書」には、仮放免制度や収容施設の 在り方に関し、明らかに制度の沿革や現実の運用を誤認した記述がみられる。つまり、本 意見書は外国人政策に関する正しい前提知識が欠如したまま、にわかに広がる排外主義の “雰囲気”に便乗して作成されたものであり、その提言する内容が実現したとしても問題 の解決にはならない。 また、本意見書は、非正規滞在者も人であることを忘れ、日本に留まり続けなければなら ない非正規滞在者の人権を無視するものであると同時に、「不法滞在者」に関する政策提 言という体を取りつつ、その本文においては「外国人住民」の問題点を指摘している。つ まり、両者をあえて混同させ、十把一絡げに・「外国人」は不法要素を持つ集団であるか のような印象を持たせ、問題解決のためには・「外国人」を日本社会から排除することが 有効であるかのように装う。このような意見書は差別・排外主義を助長するものだという 誹りを免れない。 「外国人による交通事故の防止と被害者の保護・救済措置を国に求める意見書」について 、もとより、多言語対応による教育プログラムの導入等は支持されるべきであるが、防止 されるべきは外国人による交通事故のみではない。然るに、同意見書の名称及び本文にお いて、あたかも外国人による交通事故が日本人によるそれに比して殊更に悪質であるかの ような印象を与えているばかりか、交通事故が地域住民によるものか観光目的等短期滞在 者によるものか、日本人に比較して外国人の事故割合が多いのか、等の分析が示されない まま、ここでも敢えて・「外国人」と一括りに表記し、その交通事故の増加にのみ言及し 、殊更に外国籍の者が加害者となった交通事故の事例のみを掲げて不安を煽っている。こ のような手法は・「外国人」という集団に対する見見・嫌悪を助長するものである。 3 両意見書には、「問題」が「外国人」にあるのではなく、受入れ側である日本の問題 であるという視点や姿勢が欠如している。 マナーや治安の問題にせよ、交通事故の問題にせよ、社会及び制度から除外されがちな市 民をも包摂する制度を整備してこそ、「問題」は解消されていくものである。 そして、地方議会の場こそ、十把一絡げに・「外国人」といった属性に基づく議論をする のではなく、多様な属性を持つ地域住民の共生・包摂をはかる政策提言をすべきである。 4 差別は人の尊厳を踏みにじり、時に命を奪う。 我々は、「外国人が」という大きな主語で発信される「表現」が、差別を助長し得ること にもっと自覚的であらねばならない。 上記の観点から、私たちは差別・排外主義を煽動する両意見書が採択されたことに対して 極めて強い怒りを表明するとともに、両意見書に断固として反対した6名の議員の判断を 支持する。 以 上

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