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投稿 : 総裁選の向こうに見えたもの
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総裁選の向こうに見えたもの ― 急がれる賢い指導者を択べる賢い有権者づくりの大切さと難しさ

Takeshi(大阪府大阪市淀川区)

 先日(10月4日)おこなわれた自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障相が第29代目総裁に選出され、多くのメディアが史上初の女性首相誕生か!とばかり政治家や政策の本質と関係ないご祝儀的でお目出度な報道をし、地元奈良は支持・支援者を中心に祝賀ムードになっているともいう。

 しかし、就任後の先行きは危険の方が遥かに大きいとの指摘や不安の声はほとんど聞かれない。

 もっとも政財界をはじめ著名人有名人が過去にほとんど出ていない奈良の地で、自民党総裁かつ初の女性となれば活気付く・付きたくなるのは無理ないものの、近年は衆参両院で少数化し公明が賛成するかも不透明なため、自民党総裁選出=総理大臣選出(事実上の内定・決定)と自動的に進むとは限らないが。

 氏は党内でも極右で戦闘的タカ派として知られ鉄の女・サッチャー元英国首相を目標にしているようで、しばらくは恰好良く勇ましい女性首相と神輿に乗せられるであろうと共に、党にしても追い上げてくる新興政党に流れている若い世代の支持と票を取り戻し党勢回復及び延命につなげたいとする思惑があるのかもしれない。 ただ、氏は性格的に良くも悪くも発言が直線的ではっきりしていて態度や主張がきつく強い面もあるなど、外交の場でとりわけ韓国や中国といった近隣アジア諸国の感情を傷つけ関係を悪化させてしまう可能性がある。

 もちろん最初のうちは控えめに振る舞うだろうが、やがて本性が出てくると誤解程度では済まされなくなり、特に仮想敵国としている中国を状況如何では「売られた喧嘩は買ってやる!」といきり立たせ、即座に軍事沙汰とならなくとも外交や貿易で報復をかけられ米さえ自給が厳しくなっている国内の食への打撃は必至。

 さらに、トランプ政権との同調、排他政策やスパイ防止法などで右派新興政党との連立も示唆しており、党員と党友対象で一般人には投票権のないコップの中の嵐ながら現実となった瞬間、日本の民主主義も平和主義も墜ちる所まで墜ちたどころか底をもブチ抜いたと感じた。

 余談になるが、戦後80年を経て現代日本は九割以上が“戦争を知らない子供たち”となり海外の戦争戦闘の不安もあってか、一般人参加の選挙をみても政治家にふさわしい人格や人柄や資質でなく今この時の強さをウリにする者が注目され人気を集め憧れ推され選ばれるようだ。

 また政治のエンタメ化や政治家の人気稼業化への懸念もあるが、立候補者の審査並び規律徹底より有権者改革こそ原点かつ先決ではないだろうか。

 海外には政治本来の意義と役割と影響を隠さずタブー視せず正面からの教育と議論を以って自覚と責任を培い市民運動など政治に働きかける力を養う体制を学校や地域で採用している国も多く、困難であれ日本も参考にする価値があると思う。

 とにかく今回の総裁選は、「強い支配者でなく賢い指導者」を吟味し択ぶ慧眼と冷静さ有る賢い有権者づくりを急がなければ、近く日本人は行き場はおろか居場所すら失うとの警告だったかもしれない・・・。


Created by staff01. Last modified on 2025-10-05 13:31:24 Copyright: Default

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