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万博工事未払い問題〜全国集会に300人参加

かわすみかずみ

8月23日、浪速区民センター(万博工事未払い追及全国集会実行委員会主催)で「万博 工事未払い追及全国集会 維新よ、 国よ、命を奪うな」が行われた。主催者は万博工 事未払い被害者の会の代表の話を聞き、行動しようと集まった有志。主催者のなかには、 万博会場付近での抗議行動に参加した人々もいる。参加者は奈良、大阪など近畿圏も含め 300人以上にのぼった。主催者らは、当日何人来るかが読めない状況の中、不安もあった という。しかし、被害者に賛同する人々が詰めかけ、途中から椅子を補充するまでになっ た。

当日は、被害者救済に協力する議員が10人以上参加。今後の行動への足がかりとなった 。

主催者あいさつのあと、被害者からの訴えがあった。アンゴラ館を担当したAさんは、 「一緒に働いてくれた仲間を救うために、何度も話し合いを行なったが進展はありません でした。一つのプロジェクトでこんなに未払いが出るものを、私は知りません。私たちは 、万博工事を国家プロジェクトだと考えています。多くの職人が『子どもたちに誇れる工 事をしよう。かっこいい父親になりたい』と思って現場に行きました。なぜ、『民民』と 言い切れるのでしょうか?」と発言した。Aさんのもとには、苦境に立たされた職人から の助けを求める電話が来ている。また催促の電話もあり、「SNSでさらすぞ!「いつ払って くれるんや」など脅迫めいた内容もあるという。

マルタ館を担当したBさんは、「長い間苦しんできました。メディアの取材も受けてきま した。心ない言葉もありました。これだけの未払いがある。もっと社会問題化し、国際的 にとらえてほしいと思います。支えてくれる人たちがいるので、『負けたらあかん』とい う思いで頑張っていきます」と述べた。

途中退出の立憲民主党·森山浩行衆議院議員は「問題解決のために、大阪府市などに 話してきました。大阪でやっていることで、全国に迷惑をかけていることを恥ずかしいと 思わないといけないと思います」と語った。また、森山議員はこの問題について、超党派 で解決に向けて動いていきたいと表明。国会での追及に期待がかかった。

逃げ切りを許してはならない

 この問題を当初から追ってきたフリージャーナリストの西谷文和さんから、この間の事 態の経過についての報告があった。愛知万博でも東京オリンピックでも未払いはなかった 。なぜ大阪万博だけ未払いが多発しているのかという投げかけがあった。アンゴラ館の未 払い発覚後、西谷さんは一六八建設に行っている。そこには職員もいなければ、電気すら ついていなかった。近所の人によれば、人の出入りもほとんどなく、どういう会社なのか 分からなかったという。

担当した4つのパビリオンすべてで未払いを起こしているGL Eventsの大阪支社に2度突 撃している西谷さんは、その様子を撮影していた。

会場で2回目の突撃の映像を流すと、参加者は食い入るように見つめていた。社員が途 中で逃げていき、責任者に取り次ぐことさえしないGL社への反発は強い。

GL Events社は8月1日以後、職員がいない状態が続く。また、来年愛知で行われるアジ ア競技大会に630億円で随意契約を結び、会場の設営や運営をすべて任されている。愛知 県のメディアが追及しているが、大村知事はGL Events社との契約を継続する考えを示し た。

 これは単なる「民民の問題」を超えていると、西谷さんはずっと主張してきた。最大の 責任者は吉村知事だと、西谷さんは言う。23年に、大手ゼネコンが手を引いた海外パビリ オンの建設について、中小企業に協力を要請したのは、他ならぬ吉村知事だった。

だが、アメリカ館の工事を行ったCさんが万博協会に助けを求めると、「民民の問題な ので」と電話を切られたという。

パビリオン工事中に事故が起きているという業者さんの証言も出ているが、協会の発表 にはないものもある。咲洲庁舎にあった万博協会の事務所は、すでに無くなっていた。万 博が閉幕すれば、話題にのぼることもなくなり、協会も加害企業も逃げていく可能性が高 い。世論を喚起して、閉幕までに大きな動きをつくる必要があると、西谷さんは語った。

横断的な意見交換

 ミニコンサートのあと、全体討論があった。豊中市で「万博遠足をやめてほしい」と署 名を集めた保護者が発言。「一部の変な人が言っているだけだと矮小化されている。楽し さの裏でこんなことが起こっていることを、若い人や子どもに伝えてほしい」と述べた。

障がい者スポーツに参加する男性は、「アジアパラの競技に出場予定のチームメイトが 、自腹で海外に行きトレーニングしています。アジア競技大会に未払いの汚染が残らない ように、みんなで頑張りましょう!」と発言した。

関西万博関連ユニオンからは、万博会場内で働く人たちの待遇について発言があった。 初日の研修日当の未払いや、交通費のカットもあったという。人材派遣の経験がないPR会 社が人足だしをやっていることがあげられ、パビリオン工事と同じだと共感した。教会は 黙認しており、逃げ切ろうとしている。万博が好きで、働きたいと集まったのに、あきら めやぐちが増えているという。

夢洲カジノを止める大阪府民の会からは、9月18日に大阪府議会の開会日に合わせて抗 議行動を行うこと(12時から13時)や、万博閉幕日近辺に、会場近くで抗議行動を行う( 詳細未定)ことを伝えた。

国会、府、市町村でも動きが

 共産党からは堀川あきこ衆議院議員が駆けつけ、辰巳こうたろう衆議院議員がメッセー ジを送った。共産党は、全商連とともに国への交渉を行い、東京都へもGLEventsやESグロ ーバルの建設許可について問い合わせを行なっている。アメリカ館を担当したDさんは、 保険料の滞納で差し押さえされそうになったが、共産党の議員が掛け合って止めてくれた 。

れいわ新選組からは大石あきこ衆議院議員とまきかおる箕面市議会議員が参加。大石議 員は国会でこの問題を取り上げてくれた。まき議員は参加要請に快く応じてくれた。

立憲民主系から、大阪府議会議員の野々上愛議員や摂津市議会議員の西谷知美議員が参 加。野々上議員は府議会で未払い業者の救済を訴えてくれた。西谷議員はX上で被害者へ の応援メッセージを随時発信。心を寄せてくれた。

交野市の山本けい市長は、未払い問題を知り、交野市の被害者の相談窓口を設置。この 問題に理解を示してくれた。 岸和田市のたかひら正明市議は、岸和田市長の問題など、維新にかかわる問題を追及し続 ける元ジャーナリストで、この問題にも関心を寄せてくれた。

被害者らは温かい言葉を受け、感想を述べた。Aさんは、「正直言って、何度か死のう と思ったときがある。でも、西谷さんに相談し、お宅に伺ったら温かく迎えてくれた。こ の問題が起きてから、人の温かみを感じるようになりました」と涙を滲ませた。行動しな ければ、仲間たちを守れないと思い、頑張っているという。 Bさんは、工事中は過酷な労働で、1ヶ月で7キロ痩せたという。まばたきする間に夢をみ るくらい辛かった。「今、乗り越えるための力を貸してほしいと思います。乗り越えた先 には、必ず皆様への社会貢献をしていきます」と訴えた。


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