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29日付の朝日新聞デジタルに、＜「ウサギの島」訪問税を検討 広島県竹原市、ゴミ問題などに対応へ＞という見出しの記事が載った。「広島県竹原市は、「ウサギの島」で知られる大久野島の環境整備のため、島を訪れる人への訪問税導入に向けた検討を始めた」
広島市から80�舛涼欷胸圈β腟很酖隋覆�おくのしま）。たしかにこの島は「ウサギの島」として知られている。だが、それは観光客を集客するために広められたキャッチフレーズにすぎない。
この島が歴史的に果たした役割を表す代名詞は別にある。それは「毒ガスの島」だ。
帝国日本陸軍はこの島で1929年から15年間毒ガス兵器をつくり続けた。もちろん国際法違反だ。秘密裏に製造するため、島は地図から消された。
つくられた毒ガスは実際に中国の戦場で使われ、残酷な被害を与えた。敗戦にともなって日本はそれを中国国内に遺棄した。それが80年後の今日も中国の人々に被害を与え続けている。
日本の侵略戦争の歴史、そして広島が「被爆地・ヒロシマ」である前に「軍都・廣島」であった（だからこそ被爆地となった）ことを記録・記憶するために、大久野島は「毒ガスの島」として継承されなければならない。
大久野島には毒ガス工場の跡や資料館もある（写真）。しかし、そこを訪れる人は多くないという。
貴重な歴史が刻まれた場所が観光地となり、継承しなければならない歴史が忘れ去られようとしている。そんな危機に瀕しているのはもちろん大久野島だけではない。沖縄（琉球）もその典型的な場所だ。
私の父は17歳から約2年間、敗戦まで大久野島の毒ガス工場に勤めた。汽車と船で40分かけて通勤した。
5人きょうだいの長男で、母親が早くに他界し、父親（私の祖父）とともに家庭を支えた。進学の希望は叶えられなかった。そんなとき、学校の教師から「大久野島の工場なら、理科の勉強をしながら給料がもらえる」と勧められた。そこが毒ガス工場だとは知る由もなかった。
父は15年前、85歳で他界した。毒ガスで肺を侵され、「肺がん」「肺炎」が死因だった。
知らなかったとはいえ、毒ガスの製造にかかわった父の加害責任は免れない。同時に、父は毒ガスの被害者でもあった。
父の加害と被害の両面を継承するためにも、そして何より日本の侵略戦争の加害責任を風化させないために、大久野島は「ウサギの島」ではなく、「毒ガスの島」として継承し記憶してほしい。
【お知らせ】
１、『象徴天皇制を考える�供戮鮗�費出版して6年たちました。第3部をできれば今年中に出版したいと考えています。その作業のため、9月から土曜日のブログ更新をお休みし、当面「週6日更新」とさせていただきます。
2、gooブログが11月18日でサービス終了となります（新規投稿は10月1日まで）。それで9月中に他のブログに引っ越さねばなりません。うまく引っ越せるか未知数です。タイトル、内容、形式とも継続しますので、「アリの一言」で検索をお願いいたします。
頭と指が動く限り「アリの一言」は続けるつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。