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情報提供 : 愛知連帯ユニオン

略奪されるスーダンの人々

ジョセフ・エサティエ(ワールド・ビヨンド・ウォー 日本支部) 協力:ゾビダ・ユシフ・エラミン(在日スーダン人)

アフリカ関連の報道に注目している人でも、例えばいかにアフリカの状況がひどいかは知らないかもしれません。少なくとも1946年以降、アフリカ大陸では紛争が現在最も多く発生しています。スーダンも例外ではありません。2023年4月中旬、スーダンの首都ハルツームでスーダン軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)の間で戦闘が勃発し、その後戦闘はスーダン全域に広がりました。

これは「世界最大の国内避難民危機」と言われています。スーダン人の4人に1人が家を追われています。15万人が殺害されました。約2500万人が飢餓に苦しんでいます。多くの人が飢えています。レイプが戦争の武器となっています。

スーダンは金を豊富に産出する国であり、その金が多くの暴力を引き起こす原因となっています。 「金がスーダンを破壊している」とスーダンの資源専門家スリマン・バルド氏は次のように述べています。「さらに、金はスーダン人をも破壊している」。「実際、金価格が記録的な高値に達している時期に、事実数十億ドル相当の金がスーダンから多方面に流出しており、アフリカのサヘル地域が世界最大の金生産地のひとつになりつつある」。

米国議会の両党議員も同様で、スーダンの違法な金取引が「儲かる収入源」となり、スーダンの人道危機を永続させていると懸念を抱いています。

アラブ首長国連邦(UAE)、米国、ロシア、エジプト、トルコ、サウジアラビア、その他多くの国がスーダン国内政治に介入し、あたりかまわず血みどろの競争によってできるだけ多く奪おうとしています。

戦争の中心的な支援国:アラブ首長国連邦(UAE)

国連をはじめ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ロイター、ニューヨーク・タイムズの記者、メリーランド州のクリス・ヴァン・ホーレン上院議員、World BEYOND Warなどの平和団体の専門家の間では、主犯はUAEという意見で一致しています。例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルでは、「UAEの兵器の秘密輸送が、スーダンを人道的な大惨事となる戦争を煽っている」と報じられています。

UAEが暴力に関与していることは、少なくとも2023年8月から明らかでした。UAEは、スーダンの軍閥でRSFの司令官であり、ラクダ商人から軍閥に転向したモハメド・ハムダン・ダガロを支援してきた。ダガロの勢力は、2017年にスーダンで最も儲かる金鉱の1つを奪取した後、特に強力になった。UAEは否定しているが、RSFを支援し、政府と取り引きを行ってきた。UAEは内戦の双方いずれも支援し、「火に油を注いでいる」。UAEは現在、武器や現金と金を引き換えのスーダン軍とRSFの両方から国外に密輸される「血にまみれた金」の主な受取人となっています。

UAEの暴力に対する米国の支援

UAEアラブ首長国連邦は、米国、特にバイデン政権の支援を受けています。(トランプがスーダンのために何をするかはまだ分かりません)。UAEは米国にとって非常に重要だ、中東および北アフリカ地域で最大の輸出市場であり、1,000社を超える企業が同国で事業を展開しています。米国はUAEを軍事的に直接支援しています。ケイトリン・ジョンストンが書いているように、バイデン政権は「UAEがスーダンでの残虐行為に使用するためにRSFに資金と武器を送っているという事実を都合よく無視しながら、UAEにも武器を送っている」。

ヴァン・ホーレン上院議員は11月に上院に、UAEがスーダンの即応支援部隊(RSF)に武器を供給していないと米国が認定するまで、米国のUAEへの武器販売を一時停止する法案を提出しました。またサラ・ジェイコブス下院議員も5月に同様の法案を下院に提出しました。

昨年9月23日、バイデン大統領は「中東、東アフリカ、インド洋地域での防衛協力と安全保障をさらに強化するために、唯一インドのみであった米国の主要防衛パートナーにアラブ首長国連邦を加えることを承認した。主要防衛パートナーというこの仕組みにより、米国、UAE、インドの軍隊、およびその他の共通の軍事パートナー間の共同訓練、演習、および軍事間の共同行動を通じて、地域の安定を促進するための前例のない協力が可能になった。」

2022年8月2日、米国は「UAEへの高高度防衛に22億ドルを拠出すること」を承認しました。また、2024年10月11日には、「米国国務省は、アラブ首長国連邦(UAE)への高度な誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)および陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)に対する12億ドルの潜在的な対外軍事販売(FMS)をも承認した。」

「アラブ首長国連邦は、イランに対するアメリカの忠実な同盟国であり、イスラエルとの外交関係を確立するためのアブラハム合意に署名し、第二次世界大戦後のガザでの黒幕であり、ウクライナとロシアの間での捕虜交換をとりなしたことさえある」ことは広く知られています。米国は「外国政府に紛争に介入しないよう繰り返し要請してきたが、ウェズリー・クラーク将軍が20年近く前に語ったように、スーダンは米国が打倒を計画していた政府の一つであり、9/11の約1か月後、米国のある将軍が、国防長官から受け取ったメモによると、「イラクから始めて、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、5年間で7カ国を倒す」計画があると彼に伝えた」(14:00頃から)。

なぜスーダンなのか?

ジェフリー・サックスによると、イスラエルはスーダンを敵だと信じており、米国は中東での外交政策を策定する際にイスラエルに従っているからといいます。スーダンと南スーダンの両方で内戦が起こっており、米国は南スーダンを支援しました。

米国がRSFを支援しているのは、米国が暴力的なイスラム主義グループを定期的に支援してきたこともあり、驚くべきことではありません。シリアの新指導者アブ・モハメド・アル・ジョラニは「元アルカイダ指導者でISISの副官」であり、イスラム主義グループ「ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)」の創設者でもあります。

リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国大使は「ロシアがおそらく拒否すべきではないのにもかかわらず、人命救助の取り組みを拒否したのは衝撃的である」と切り返しています。同大使は「何カ月もの間、ロシアはスーダンの悲惨な状況に対処するための安保理の行動を妨害し、混乱させ、紛争の双方の立場を利用して、スーダン人の命を犠牲にして自らの政治的目的を推進してきた」と付け加えました。

しかし、これには議論の余地もあると思われますが、米国がスーダン人の命を犠牲にして、自らの政治的目的を推進するために平和の邪魔をしているのと同じ結果をもたらしているといえるでしょう。

ロシアは、スーダン紛争で明確な立場を取っていないという主張にはある程度の真実であるようですが、最近ではロシアはスーダン国軍を支援する方向に傾いているともっぱら報道されています。軍事アナリストは「ロシアは、米国が残した権力の空白を埋め、スーダンにおけるウクライナ軍の駐留に対抗するために行動している。地上には100人から300人のウクライナ軍がおり、主に夜間にスーダン国軍と共に活動している」と述べています。ウクライナ国防省によると、かつてウクライナ空軍で働いていたウクライナの「民間人」が現在スーダン空軍の教官を務めています。ロシアとウクライナは敵同士かもしれないが、貴金属の金に関しては同じ側にいるといえます。

アバヨミ・アジキウェ氏によると、米国は数十年にわたり、スーダンで「いかなる左派政権も権力を握らないように」努めて「深く関与」してきており、1971年、ハシェム・アル・アッタ少佐(1936-71)という「親共産主義者」がクーデターでニメイリーを打倒し権力を奪取しようとした後、米国は軍事援助を通じてガアファル・ニメイリー(1969-85)を支援し始めたといいます。

1998年8月20日、米国は「無限の到達作戦」の一環として、スーダン向けの医薬品を製造する工場を爆撃しました。この工場は同国の医薬品の半分以上を供給していた。ノーム・チョムスキーが書いているように、米国に対する9/11攻撃で亡くなった人の数は、その後の数年間の医薬品不足で亡くなった人を数えなくても、この作戦で亡くなった人の数より少ないが、この残虐行為は米国ではほとんど記憶されていない、といいます。

(「1998年8月20日にクリントンが、ケニアとタンザニアの米大使館爆破への報復として行ったアル・シーファ工場の爆撃はテロ行為である。チョムスキーは9月11日テロについてコメントを求められたときに次のように語ったという。「私は、「邪悪さと恐るべき残酷さ」をもって行われた九月一一日の「恐ろしい犯罪」の被害は、1998年8月にクリントンが行ったアル・シーファ工場の爆撃の結果に比肩しうるかもしれない」。しかも工場爆撃によって直接失われた生命だけではなく、スーダンの医薬品の50%以上を供給する工場が消失したために、マラリヤの治療薬であるクロロキンや結核患者用の薬、牧場での寄生虫感染薬がなくなり(この寄生虫がスーダンの高い幼児死亡率の一因である)、間接的に多くの人々の命が失われたと言われる。ドイツの駐スーダン大使は、間接的な死亡者数は数万であろうと推測している。しかもアメリカはスーダンにある国連の援助組織のアメリカ人職員を引揚げさせ、国連の推定では240万人が飢餓の危険にさらされているスーダンに「援助の中断」という結果をもたらした。」) http://www.hum.nagoya-cu.ac.jp/~bessho/bessho/ChomshyUSkritik.htm

米国の長年の同盟国であるサウジアラビアも、UAEとともにRSFを支援しています。米国と同様に、サウジアラビアもイスラム過激派テロを推進していることは広く認識されているため、これは驚くべきことではありません。ヒラリー・クリントンは2009年に国務長官だったとき、「世界中のスンニ派テロリストグループへの最も重要な資金源提供者は、サウジアラビアの寄付者だ」と述べています。

結論

スーダンは天然資源が豊富で、大国は簡単にその資源を盗むことができるため、今回の危機で手に入るものは何でも手に入れようとしています。人々がスーダンを気にかけない理由は想像に難くない。「アフリカの現在の紛争では、ロシアのウクライナ侵攻に伴う西側諸国の同情の高まりはなく、イスラエルのガザ戦争で引き起こされた人々の怒りも起きていない。1980年代のエチオピアの飢餓に触発されたライブエイドコンサート、2000年代初頭のダルフールの大量虐殺に対する抗議デモ、さらには10年前にナイジェリアのチボクの町で276人の女子生徒が誘拐されたことに関連した#BringBackOurGirlsキャンペーンがなされたが、同様のキャンペーンも全くみられない。」

ウクライナ支援が白人キリスト教徒へのものであり、多くの西洋人にとって歴史的に重要な場所である「聖地」ともつながる、さまざまな宗教的背景を持つガザ虐殺被害者への支援など、白人の中流階級の人々がすでに関心を持っている、または取り組んでいる人道的使命とアフリカのイスラム教徒への支援を求める人々は、競合することになります。

コメントをしてくれたスティーブン・ブリバティ氏に感謝します。


Created by staff01. Last modified on 2025-02-02 15:49:33 Copyright: Default

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