子育て困窮家庭の９割、「お米が不足」
ーキッズドア調査 深刻な物価高の影響、行政の対応訴えるー
竪場勝司・ライター
子どもの貧困の解消などに取り組んでいる認定NPO法人キッズドア（渡辺由美子理事長）は、学校給食がなくなる夏休みを前に「子育て家庭アンケート」を実施し、6月２５日、記者会見を開いて調査結果を発表した。物価高の影響が深刻で、昨年より「食費が増えた」と回答した家庭が全体の９割、経済的な理由から、お米が「不足している」と回答した家庭も９割を超えた。
キッズドアはコロナ禍の２０２０年から、困窮子育て家庭を対象に物資や就労などを支援する「ファミリー・サポート事業」に取り組んでいる。今回のアンケートは同事業に登録している家庭を対象に、５月下旬から６月上旬にかけてオンラインで実施し、２０３３世帯から回答があった。
会見ではキッズドア調査室長の田中博子さんが調査結果の概要を説明した。物価高騰による食事への影響については、昨年同期と比べて9割の家庭が「食費が増えた」と回答した。「増えた」と回答した家庭に、「食費の増加は物価高騰の影響を十分にカバーできるものか」を尋ねたところ、「いいえ」の回答が８１％を占めた。
お米の不足状況についての質問に対しては、「とても不足している」（６４％）と「やや不足している」（２９％）を合わせ、「不足」の家庭が９割を超えた。２人家族で１カ月あたりに食べているお米の量は、「４キロ未満」の家庭が約半数にのぼった。
昨年同期に比べ、約８割の家庭で保護者の食事の量・質が悪化、約６割の家庭で子どもの食事の質が悪化した。所得が低い家庭ほど状況は深刻で、年間所得１００万円未満では、「子どもの食事の量が減った」家庭が４割あった。食生活の悪化は子どもの成長や健康状態にも影響し、イライラや集中力低下に加え、「病気にかかりやすくなった」、「体重が増えていない」などの回答も目立った。
「夏休みに希望する支援」（複数回答）としては、「食料支援」（食料品クーポン、食料品の宅配など）を挙げた家庭が全体の９７％あり、給食のなくなる夏休みに食料を確保することが切実な要望となっている。２位は「イベントやレジャー施設への無料招待、利用クーポン配布」（７４％）、３位は「無料または低額で参加できる旅行やキャンプ」（６２％）だった。
「現在困っていることや支援がほしいこと」の自由記述回答では、「高くて、一年間、米を買ってないです」、「将来の年金より、今食べる分が欲しいです。子どもは１日１食の日が増えて痩（や）せています」といった切実な声が寄せられた。
アンケート結果を踏まえて、渡辺理事長は緊急提言として、�（�壊寸前の食料事情へ緊急の支援��学用品の高騰、部活動の地域移行等への対策�Ｂ慮崖萋亜�学習支援等への支援�せ�童扶養手当の増額など、これ以上の手取りを減らさない制度設計�セ劼匹發忘把禪造里�小遣いを渡せる生活の実現��困窮子育て家庭と子どもの声を反映した政策の必要性、の６項目を挙げ、「本当に苦しい子育て家庭が、ご飯を家で全然食べさせられない。こんなことを放置している状況はおかしいので、安心して子育てができる制度設計を」と行政の対応を訴えた。
キッズドアでは「夏休み緊急食料支援」として２１００万円を目標に、約３０００世帯の子どもたちへ食料を届けるためのクラウドファンディングを７月３１日まで実施している。
リンクは https://congrant.com/project/kidsdoor/17869
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