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LNJ Logo 「バス運転士の労働条件改善なしに地域の足は守れない」〜参院選を前に弁護士と運転士が共同声明
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堀切さとみ

 路線バスの減便や廃止が止まらない。公共交通の崩壊は地方や都市部を問わず、地域住民にとって死活問題だ。6月25日、「運転士不足とバス路線の減便・廃止の中でバス運転士の処遇改善を求める共同アピール」を弁護士と運転士が発表し、厚労記者クラブで会見をひらいた。

 減便の最大の理由は、バス運転士の待遇の悪化。無理な働かせ方により、人手不足は拡大する一方だ。共同提言の中身は「バス運転士の責任の重さにふさわしい賃金、少なくとも最賃二倍へ」「実働時間8時間拘束時間10時間」「休日は一週間に2日」「勤務間インターバル(休息時間)は11時間確保を」と一見当たり前のことばかりだが、現場で働く運転士からはそれとはかけ離れた実情が語られた。

 矢口正さん(西武バスユニオン委員長)は「運転士の基本給は22万円。公休出勤しないと生活できない。長時間や不規則な働き方をすれば事故が増える。事故が怖くて辞めていく人が多い」、槙野圭さん(国際興業バス)は「勤務間インターバル(退勤してから翌朝出勤するまでの時間)は8時間。通勤時間を差し引くと平均睡眠時間は3時間しかなく、眠い目をこすりながら運転していた。体を壊して現在は休職している。このままでは路線バスはなくなってしまう」と訴えた。
 京王新労組委員長の佐々木仁さんによると「2002年の規制緩和以降、競争のしわ寄せが一気に表面化している。地元では一時間に三便だったコミュニティバスが、一週間に一便になった。地域の利用者からも『公共交通って何ぞや』という声が出始めている」という。

 会見を呼びかけた尾林芳匡弁護士(左写真)は、「30年以上にわたってバス労働問題、過労死問題に取り組んできた。バス運転士がいなくなることで地域の足が失われ、お年寄りが病院に行けなくなる現状に忸怩たる思いだ」。そして「公共交通のドライバーの処遇改善を会社任せにしていてはダメ。政治課題にするしか解決の道はない」と、すべての政党に参院選で争点の一つにするよう働きかけていくと話した。

 尾林弁護士は声明を出すにあたり『バスの明るい未来について』というグループを立ち上げた。多くの関係者を募り、長期的に活動していく方針だ。


*各政党の議員室を訪ねて賛同をよびかける


Created by staff01. Last modified on 2025-06-27 11:16:12 Copyright: Default

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