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尾澤裁判報告集会:キム・ ウニョンさん「尾澤裁判と尹錫悦弾劾闘争」テーマに講演
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尾澤邦子

 3月28日、東京の文京区民センターで、「最高裁の上告棄却弾劾!未来へ!サンケン弾 圧ー尾澤裁判報告集会」が開催され、112名が参加しました。

 昨年12月4日に最高裁に上告した尾澤裁判は、12月23日に棄却されました。わずか3週間 足らずでの棄却は、最初から棄却ありきの予断と偏見に満ちた判断だと言わざるを得ませ ん。

 第1次サンケン闘争は2016年〜17年、日本遠征闘争で埼玉県新座市のサンケン本社前で 闘い、支援の協力もあり解雇を撤回させ、職場復帰しました。しかし2020年サンケン本社 は会社を廃業にすることで、組合もろともつぶそうとしました。コロナで遠征闘争ができ ない中での闘いでした。そして支援の中心メンバーであった尾澤孝司さんの逮捕・起訴が ありました。勾留は232日間に及ぶ不当なものでした。

 支援する会の大畑龍次さんは裁判の総括で、「これは政治弾圧であった。しかしながら 我々はこの弾圧をはね返した」と話しました。「この判決は限りなく無罪に近い有罪だ。 控訴審で出した意見書に裁判所は反論できなかった」と。

 当該の尾澤孝司さんは、3年半にわたる多くの方々の支援に感謝するとともに、「弾圧 と裁判が契機となり、かえって闘いが拡大し連帯が深まった。これからも日系企業の横暴 に苦しむ韓国労働者の闘争に連帯支援し、さらなる日韓労働者民衆連帯の未来に向かって 進みたい」と話しました。

 事件を担当した主任弁護士の荒木昭彦さんは、サンケンの警備員によって押し出された 尾澤さんがなぜ「暴行」で起訴されたのかと事件の不当性について話しました。尾澤さん の甥で、自ら弁護を申し出た上野真裕弁護士は、初めての労働問題で、支援の方々の熱意 に励まされたと話していました。

 韓国から来日した元韓国サンケン労組の支会長オ・ヘジンさんは「尾澤さんの闘いは、 私たちにとって大きな意義のある闘いだった。今後も日韓労働者・民衆連帯の闘いを共に 闘っていきたい」と話しました。

 元韓国サンケン労組復職闘争委員会議長で現在、韓国民主労総慶南地域本部長のキム・ ウニョンさんが「尾澤裁判と尹錫悦弾劾闘争」と題して講演を行いました。ウニョンさん はサンケン闘争の時に身に着けていた「偽装廃業撤回!交渉に応じろ!」と書いてあるオ レンジのチョッキを着て発言しました。ウニョンさんは、「闘いが未来につながったとき 、その闘いは勝利と言える」と話し始めました。「2016年からの10年近い闘いだったが、 お互いが同じ方向を見てひとつになって前進する闘いだった」と。そして、「アメリカに とって今重要なのは日米韓軍事同盟をつくっていくこと。その中で障害になるのは韓国と 日本の民衆同士の連帯だ。コロナで日本に来れなかったとき、日本の方々が、東京や埼玉 でそして大阪や広島などでも立ち上がってくれた。尾澤さんが無罪にならなかったのは残 念だけど、その闘いは、今も続いている。私たちは敗北ではなく、勝利に向かっています 」と力強く話しました。

 そして、パワーポイントで韓国民衆の闘いを紹介しながら「2025世界情勢&課題」の講 演を行いました。尹錫悦弾劾で集まった人々は応援棒の光を輝かせて国会前を埋め尽くし ました。「韓国は戒厳の国であるけども、その戒厳に抵抗して闘う民衆の歴史でもありま す」と、1948年のチェジュ4.3事件の時の闘いの写真を紹介しました。また80年の光州の 闘い、その闘いを引き継ぐ87年6月の民主化闘争。ソウル市役所の前から米大使館に向か い星条旗を破るデモも行われました。パククネ退陣要求闘争の時には、日本に遠征闘争に 来ていて、日本のみなさんと乾杯したと話していました。

 昨年12月、戒厳令を聞いて、もう家族で会えないかもしれないと電話で話したとのこと 。何とか生きていればまた会えるから最後まで闘おうと。闘いの中で生き、闘いの中で死 ぬことを覚悟をしたとのこと。そして多くの人が、民主労総も、国会に集まりました。素 手で、身体一つで装甲車に立ち向かい銃口をつかみました。怖かったけど、このままでは 民主主義をあきらめられないという思いだったと話しました。

 ウニョンさんから「みなさん、自分の前を装甲車が立ちふさぎ、突然銃口が自分に向け られたらどう思いますか」と言われました。「戒厳令」というのは、そういうものなのだ と思いました。

 民主労総は3泊4日の闘いを行いました。雨が降ってとても寒い中、80年光州の闘いの時 に現れたバスが出てきたとのこと。それは、「少し温まってください」というバスだった 。キッチンカーも出て、無料でコーヒーやおでんやおにぎりなどが提供された。10代20代 の若い人たちに一番人気があったのは民主労総だった。民主労総のハチマキを首に巻いた り、カバンにつけたりしていたそうです。国会前に先に座り込んでいた民主労総は、道を 開けて市民を迎え入れ、喜ばれたとのこと。

 12月3日、戒厳令宣布に対する闘いは、国会前にテントを張り、闘っている民主労総の 組合員がいたからこそ、すぐに対応できた。ウニョンさんは写真を示し、農民の闘いや雪 の中で座り込む市民たちの闘いを紹介し、「国民ストライキ」だと話しました。100万人 の闘いになっていると。

 「尹錫悦の罷免はすぐ出るだろうと思ったのに、なかなか出ない。じりじりとした状態 が続いている。古いものが壊れた、でもまだ新しいものができないというのはとても危険 な状態。それは韓国だけのことではない。尾澤さんの逮捕・有罪も同じようなことが言え る」と言っていました。

 そして「アメリカは中国やロシアとの関係において、新冷戦という状況をつくってきて いる。しかし帝国主義に反対する勢力もある。トランプは言いたい放題言っている。ファ シズムではないかという気がする。嫌悪と排除、弱者を抑えつけているのは常識を超えて いる。2025年になり、帝国主義と反帝国主義の摩擦は先鋭化していると思う。

 昨年、日米韓、韓米、日韓などの合同軍事訓練が109回、275日行われた。これまでの訓 練は、北を狙ったものだったが、今年に入って変わってきた。核戦争の模擬訓練、対中戦 争の訓練などが共同で行われている。韓国と日本をアメリカの戦争の中に組み入れようと している。日韓の歴史にはふたをしておいて軍事同盟を推し進めようとしている。

 尹政権は昨年10月、平壌の上空にドローンを飛ばした。朝鮮労働党の結成記念日の10日 に飛ばした。境界線にヘリを飛ばしたりもしているが、韓国国軍にそのように飛ばせる権 限はない。アメリカの後ろ盾がないとできない。尹の戒厳令もアメリカの後ろ盾があった のではないかと疑わざるを得ない」

 「尹錫悦退陣闘争は、憲法裁判所の判断が遅れている状況。大韓民国は76年間に、17回 戒厳令が発令された。76年間、韓国の軍隊に対する指揮権は米国政府にあった。アメリカ は尹錫悦を守ろうとしているようだし、闘いはこれからだと考えている。民主労総と進歩 勢力は3月末から4月、闘いの月にしようとしている。この闘いはアメリカ帝国主義との闘 いであり、世界の平和を守る闘いでもある。その先頭に立っているという自負心を抱いて 、力強く進んでいきたい。韓国の闘いに積極的な支持と応援をお願いします。次にお会い するときにはこうやって闘ったという勝利の報告が出来ればと思います。ありがとうござ いました」と話し、会場から大きな拍手が起こりました。


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