美術館めぐり:在日朝鮮学生展覧会選抜展/戦禍の子どもたち ウクライナの絵画展 | |
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志真斗美恵 第8回(2025.2.24)・毎月第4月曜掲載 ●在日朝鮮学生展覧会(GAKUBI)選抜展(高麗博物館)・戦禍の子どもたち〜ウクライナの絵画展(東京新聞本社) やわらかなこころを描く世界への希求高麗博物館は、新宿区大久保・第2韓国広場ビル7階の「市民がつくる 日本・コリア交流の歴史博物館」(博物館案内より)。そこで「あなたに真向(まむ)かってほしい 朝鮮学校の若きアーティスト達」GAKUBI選抜展が開かれている。GAKUBI(=学美)とは、在日朝鮮学生展覧会の略称で、日本全国にあるウリハッキョ(朝鮮学校)に通う在日朝鮮人3世・4世の生徒たちの美術作品発表の場所である。毎年行われているが高麗博物館では3年ぶりに開かれた。前期・後期で展示替えがある。私が見たのは前期で、中・高生の平面・立体・映像作品は合計21点だった。 展示作は2023年に審査された作品で、関東大震災(1923)時の朝鮮人虐殺をテーマにした作品がいくつもあった。『テマリカタヒバ』(上)には、「復活草」ともいわれている花が画面いっぱいに描かれている。関東大震災時、虐殺されたコリアンの心も復活してほしいという思いが込められている。
立体作品『とてもとても強い人』(↓左)には、「(苦しい…辛い…痛い)/彼はこんなにも苦しんでいる/しかし、彼は笑う。笑い続ける。/誰にもこの傷に気付かれずに。/例え自分が壊れようとも、彼は笑うだろう。/誰にも苦しみを理解されないまま…人知れず静かに消えていくその日まで…」とある。頭部に角が何本も出ているがやわらかに微笑んでいる『とてもとても強い人』は、思春期にある子どもたちの心もよく現れている。天に伸ばす何本の手が画面にひろがった『執着と無関心』(↓右)には、社会に向かおうとする子どもたちの不安が表現されている。在日コリアンのおかれた境遇を思わざるをえない。 パネル展示「朝鮮学校ってなに?」は、教育無償化から切り離された朝鮮学校の歴史と現状が詳しく説明されている。 東京新聞本社(日比谷中日ビル)1階正面玄関ロビーでの〈戦禍の子どもたち〜ウクライナの絵画展〉は、東京都練馬区の市民団体「チェルノブイリ子ども基金」に送られた子どもたちの美術作品43点の展示(無料)である。「チェルノブイリ子ども基金」は、1986年のチェルノブイリ原発事故後、放射能に汚染されたウクライナやベラルーシの子どもたちの心と体の健康のための支援を続けている。(チェルノブイリは、ウクライナの北部で、ベラルーシとの国境近くにあり、キーウからは100キロほどしか離れていない。) チェルノブイリの西にある都市オブルチの〈子ども芸術アカデミー〉から昨年6月に31点、今年1月に12点の作品が届けられた。アカデミーは「チェルノブイリ子ども基金」の支援で画材等を購入している。ウクライナ戦争が始められて2月24日でまる3年になる。空襲警報が出されると〈子ども芸術アカデミー〉の子どもたちは、地下室に避難し、卓球台を机にして絵を描く。作品には『戦争と平和』(左)のように「お父さんが早く戦争から戻ってくることを願って」と描かれた水彩画のほか、『戦争反対』『私たちは平和を望んでいる』『ウクライナの春』『Piece For UKRAINA』など、平和を願う作品が多くある。その中にかつての楽しい経験を描いた絵もあった。『ウクライナの結婚式』『楽しい冬祭り』(右)『イワーナ・クパーラ(夏至祭)』など、平和な時の楽しい思い出が、明るく、色あざやかに、アクリル絵の具を使ってガラス絵にされている。将来は、獣医、花屋、デザイナー、プログラマー、保育士……と夢を語る子どもたち。子どもたちは、戦争の今でも、楽しかった過去をおぼえていて作品にしている。ほっとすると同時に、一日も早く停戦がなされることを願わずにはいられなかった。『冬がやってきて鳥たちを家に呼び戻した』は、「鳥たちが他の国から戻ってくるように、戦争が終わったらウクライナの子どもたちがみんな家に帰ってくる」ことへの願いが伝わってくる。 ●在日朝鮮学生展覧会(GAKUBI)選抜展 高麗博物館 4月27日まで 月・火休館 ●戦禍の子どもたち〜ウクライナの絵画展 東京新聞本社 3月1日まで 日曜休館 Created by staff01. Last modified on 2025-02-24 12:23:13 Copyright: Default |