【投稿者 :平和憲法を護り・生かす一市民参加者】
毎年、憲法記念日を前にして｢憲法を考える神奈川県民集会｣が今年も5月2日に開催され、会場のかながわ県民センターに200名が集いました。｢軍事大国化のための改憲 ー憲法審査会のいまー｣と題し、講師 大江京子さんの講演を受けました。（主催:かながわ憲法フォーラム。共催:神奈川平和運動センター）
●以下は講演内容です。
軍事大国化のための改憲 ―憲法審査会のいまー
講師/大江京子さん（弁護士、改憲問題対策法律家6団体連絡会・事務局長）
・国会議員の任期延長改憲ってなに
・戦争につながる改憲を憲法審査会で議論
・「軍事大国化」市民はNO!
1. 2023年通常国会の衆議院憲法審査会…任期延長改憲をめぐる攻防が焦点に
・最大の焦点は、衆議院憲法審査会のおける任期延長改憲論。内容的には、任期延長改憲論を論破しきった国会。参議院の頑張りも大きい。日弁連や法律家6団体の意見書、院内集会も。
2. 維新・国民の先導と岸田首相の会見発言
・憲法尊重維持義務（憲法99条）を負う首相が、改憲を目指すと発言すること自体、明白な憲法違反。そもそも、圧倒的多数は、憲法｢改正｣がいま必要とは考えていない。
3. 2023年臨時国会 自民が改憲条文起草機関の設置を提案
4. 今、なぜ任期延長改憲なのか ―憲法9条改憲との関係
・2022年12月16日、岸田政権は、憲法９条のもと専守防衛に徹するとしてきた安全保障政策を大転換する安保３文書改定の閣議決定。しかし、安保法制と安保３文書の改定だけでは「戦争する国」は未完成。最大の障害物である憲法9条2項を無効化することこそが、改憲派の真の狙い。
・2024年通常国会での衆議院憲法審査会の動向が今後の改憲動向を決めると言っても過言ではない。先ず改憲条文起草機関の設立に、野党(とりわけ立憲民主党)がどこまで抵抗し阻止できるかにかかる。設置されてしまうとその後先例にされる。国民的な大反対の世論を作る以外にない。ボロボロの岸田政権に改憲の余力はないとの観測もあるが、油断は禁物である。
5. 議員任期の延長の必要はない。
・詳しくは、6団体のブックレットを参照してください。
(頒価100円、10部以上送料無料。A5判32頁。連絡先/改憲問題対策法律家6団体連絡会 事務局・日本民主法律家協会 〒160-0022東京都新宿区新宿1-14-4AMビル2F TEL03-5367-5430)
・改憲派の論拠は(改憲の必要性)は、大きくは以下のとおり
�々餡餤’修鮠錣飽飮�する
�∋乙脹，任龍杁渊顕颪任和弍�できない
��その他、繰延投票制度は、大規模地震などの場合に使えない
�，砲弔い�
国会機能の維持について「選挙ができないと、国会議員がいなくなり国会が開けない」との主張は欺瞞に満ちた主張。国会議員がいなくなることはない。衆議院議員が不在の場合に国会を代替する機関として、憲法は参議院の緊急集会を規定(憲法53条2項)。
国会機能の維持が必要というなら、野党から請求されても国会を召集しない(憲法５３条)、束ね法案を乱発し議論不十分なまま審議を打ち切り、野党の質問に政府が真面目に答えようとしないなど、国会軽視、国民無視の内閣と多数派の暴走こそ真っ先に改革すべき。
�△砲弔い�
「参議院の緊急集会では対応できない」←(憲法54条2項)←できる(学説多数。すでに、この論拠は改憲派もいわなくなった。)
��について
参議院緊急集会は、二院制の例外で、暫定的な制度であり、権限も自ずと限定される。審議できる案件は「内閣が示した案件」又は「これに関連するもの」に限定。参議院の緊急集会は暫定的制度であることに意味がある。(民主制の徹底) 憲法は、参議院の緊急集会に国会の代替機能を認めている。
�ざ杁渊顕颪蓮∧浸�の制度であり、緊急事態に対応する制度ではない(新藤一人説)。
6. 議員任期延長改憲の危険な本質
・今すぐ反対の声を広げ、条文起草機関の設置に反対し、改憲原案とりまとめを挫折においこもう
衆議院憲法審査会では、議員任期延長改憲発議まで、やろうと思えばあと一歩のところまでつめて来ている。しかも、改憲手続法の欠陥もそのままの状態。しかし、マスコミは、動きをほとんど報じていない。国民には知られていないのが実態。任期延長改憲は、単なるお試し改憲ではない !
�� 議員任期延長改憲は、憲法に武力攻撃(戦争)が明記され、内閣の恣意的判断で、民主主義の根幹である国民の選挙権を停止できるとする改憲。選挙が停止される期間は、半年１年さらにそれ以上。『議員任期延長改憲は、戦争できる国作りの一環』
憲法に武力攻撃事態（戦争）が書き込まれるということ⇒憲法の三大原理の一つの『平和主義』原理の転換の第一歩 !
戦争の放棄・非戦の憲法という特徴を否定することに
�� 国民の選挙権の停止⇒『国民主権』形骸化・国民の批判を封じ戦争できる国づくり推進
・国会議員の任期延長とは国民固有の権利（憲法15条1項）である選挙の機会を奪う（基本権の停止）改憲ということ。民主政治の根幹を揺るがす明文改憲。
・戦前、1941年２月に衆議院議員の任期が法律により1年間延期された。選挙を行うと「挙国一致防衛国家体制を邁進しようとする決意について疑いを起こさしめぬとも限らぬ」からという理由で、選挙が延期され、その間に、国家秘密の収取、漏洩について死刑を最高刑とする国防保安法、思想犯の弾圧を強化する治安維持法改正などを行い反戦論を封じ、日本はマラヤを侵攻し真珠湾攻撃を行って1941年12月無謀な太平洋戦争に突入した。
この教訓が端的に示すとおり、緊急の事態にあっては、むしろ民主政治を徹底し、国民の審判の機会（選挙権）を保障することこそが必要。
戦前の反省を踏まえて憲法があえて緊急事態条項を設けなかったのは、そのため。
国会議員の任期延長改憲=国民の選挙権停止改憲は、国民の批判を封じ、戦争する国造りを進めるために有効かつ必要な改憲。
�� 緊急事態の恒常化 腐敗議員の居直りを許すのか
・任期延長を認めれば、民主制の正当性を持たない従前の権力（衆議院議員と政権）の居座りを許すことになる。民主的正当性を欠く「国民の代表者もどきが、違憲の「法律」をどんどん制定し、重要な政策決定を行うことができるようになる。たとえ1年後に、選挙が実施されても、すでに大政翼賛体制は構築され、市民的自由が制約弾圧されているもとで、動き出した政策の変更は至難（戦前の日本の翼賛選挙やナチの独裁体制確立の経過など歴史的事実）
現在、問題となっている裏金問題（政治資金規正法違反、さらには選挙を金で買う買収公職選挙法違反疑惑）の捜査は政権との間で幕引き決着が図られた様子。安倍派5人組（羽生田、世耕、松野、高木、西村）も辞職せず？
私たちは、このような腐敗議員を選挙によって落とす以外にない。それが民主政治の正しい姿。
講演のまとめ
ここを突破されると、次は、戦争する国の総仕上げ改憲（=9条改憲・緊急政令明記改憲）
任期延長改憲は、平和主義と国民主権の基本原理に大きな穴を開けることになる。
それだけでなく、「戦争する国」を完成させる改憲（9条自衛隊明記改憲や緊急政令・緊急財政措置改憲）の「突破口」を開く危険な改憲 !
（講演は以上。質疑応答あり。）
講演後、高校生平和大使のスピーチを受け、高校生1万人署名運動の長年にわたる核兵器廃絶の継続した取り組みに、会場からの大きな拍手がおくられました。
主催者閉会挨拶で、神奈川県での反基地平和のたたかいの決意を確認し合い、終了しました。
Created by staff01. Last modified on 2024-05-07 21:11:19 Copyright: Default
毎年、憲法記念日を前にして｢憲法を考える神奈川県民集会｣が今年も5月2日に開催され、会場のかながわ県民センターに200名が集いました。｢軍事大国化のための改憲 ー憲法審査会のいまー｣と題し、講師 大江京子さんの講演を受けました。（主催:かながわ憲法フォーラム。共催:神奈川平和運動センター）
●以下は講演内容です。
軍事大国化のための改憲 ―憲法審査会のいまー
講師/大江京子さん（弁護士、改憲問題対策法律家6団体連絡会・事務局長）
・国会議員の任期延長改憲ってなに
・戦争につながる改憲を憲法審査会で議論
・「軍事大国化」市民はNO!
1. 2023年通常国会の衆議院憲法審査会…任期延長改憲をめぐる攻防が焦点に
・最大の焦点は、衆議院憲法審査会のおける任期延長改憲論。内容的には、任期延長改憲論を論破しきった国会。参議院の頑張りも大きい。日弁連や法律家6団体の意見書、院内集会も。
2. 維新・国民の先導と岸田首相の会見発言
・憲法尊重維持義務（憲法99条）を負う首相が、改憲を目指すと発言すること自体、明白な憲法違反。そもそも、圧倒的多数は、憲法｢改正｣がいま必要とは考えていない。
3. 2023年臨時国会 自民が改憲条文起草機関の設置を提案
4. 今、なぜ任期延長改憲なのか ―憲法9条改憲との関係
・2022年12月16日、岸田政権は、憲法９条のもと専守防衛に徹するとしてきた安全保障政策を大転換する安保３文書改定の閣議決定。しかし、安保法制と安保３文書の改定だけでは「戦争する国」は未完成。最大の障害物である憲法9条2項を無効化することこそが、改憲派の真の狙い。
・2024年通常国会での衆議院憲法審査会の動向が今後の改憲動向を決めると言っても過言ではない。先ず改憲条文起草機関の設立に、野党(とりわけ立憲民主党)がどこまで抵抗し阻止できるかにかかる。設置されてしまうとその後先例にされる。国民的な大反対の世論を作る以外にない。ボロボロの岸田政権に改憲の余力はないとの観測もあるが、油断は禁物である。
5. 議員任期の延長の必要はない。
・詳しくは、6団体のブックレットを参照してください。
(頒価100円、10部以上送料無料。A5判32頁。連絡先/改憲問題対策法律家6団体連絡会 事務局・日本民主法律家協会 〒160-0022東京都新宿区新宿1-14-4AMビル2F TEL03-5367-5430)
・改憲派の論拠は(改憲の必要性)は、大きくは以下のとおり
�々餡餤’修鮠錣飽飮�する
�∋乙脹，任龍杁渊顕颪任和弍�できない
��その他、繰延投票制度は、大規模地震などの場合に使えない
�，砲弔い�
国会機能の維持について「選挙ができないと、国会議員がいなくなり国会が開けない」との主張は欺瞞に満ちた主張。国会議員がいなくなることはない。衆議院議員が不在の場合に国会を代替する機関として、憲法は参議院の緊急集会を規定(憲法53条2項)。
国会機能の維持が必要というなら、野党から請求されても国会を召集しない(憲法５３条)、束ね法案を乱発し議論不十分なまま審議を打ち切り、野党の質問に政府が真面目に答えようとしないなど、国会軽視、国民無視の内閣と多数派の暴走こそ真っ先に改革すべき。
�△砲弔い�
「参議院の緊急集会では対応できない」←(憲法54条2項)←できる(学説多数。すでに、この論拠は改憲派もいわなくなった。)
��について
参議院緊急集会は、二院制の例外で、暫定的な制度であり、権限も自ずと限定される。審議できる案件は「内閣が示した案件」又は「これに関連するもの」に限定。参議院の緊急集会は暫定的制度であることに意味がある。(民主制の徹底) 憲法は、参議院の緊急集会に国会の代替機能を認めている。
�ざ杁渊顕颪蓮∧浸�の制度であり、緊急事態に対応する制度ではない(新藤一人説)。
6. 議員任期延長改憲の危険な本質
・今すぐ反対の声を広げ、条文起草機関の設置に反対し、改憲原案とりまとめを挫折においこもう
衆議院憲法審査会では、議員任期延長改憲発議まで、やろうと思えばあと一歩のところまでつめて来ている。しかも、改憲手続法の欠陥もそのままの状態。しかし、マスコミは、動きをほとんど報じていない。国民には知られていないのが実態。任期延長改憲は、単なるお試し改憲ではない !
�� 議員任期延長改憲は、憲法に武力攻撃(戦争)が明記され、内閣の恣意的判断で、民主主義の根幹である国民の選挙権を停止できるとする改憲。選挙が停止される期間は、半年１年さらにそれ以上。『議員任期延長改憲は、戦争できる国作りの一環』
憲法に武力攻撃事態（戦争）が書き込まれるということ⇒憲法の三大原理の一つの『平和主義』原理の転換の第一歩 !
戦争の放棄・非戦の憲法という特徴を否定することに
�� 国民の選挙権の停止⇒『国民主権』形骸化・国民の批判を封じ戦争できる国づくり推進
・国会議員の任期延長とは国民固有の権利（憲法15条1項）である選挙の機会を奪う（基本権の停止）改憲ということ。民主政治の根幹を揺るがす明文改憲。
・戦前、1941年２月に衆議院議員の任期が法律により1年間延期された。選挙を行うと「挙国一致防衛国家体制を邁進しようとする決意について疑いを起こさしめぬとも限らぬ」からという理由で、選挙が延期され、その間に、国家秘密の収取、漏洩について死刑を最高刑とする国防保安法、思想犯の弾圧を強化する治安維持法改正などを行い反戦論を封じ、日本はマラヤを侵攻し真珠湾攻撃を行って1941年12月無謀な太平洋戦争に突入した。
この教訓が端的に示すとおり、緊急の事態にあっては、むしろ民主政治を徹底し、国民の審判の機会（選挙権）を保障することこそが必要。
戦前の反省を踏まえて憲法があえて緊急事態条項を設けなかったのは、そのため。
国会議員の任期延長改憲=国民の選挙権停止改憲は、国民の批判を封じ、戦争する国造りを進めるために有効かつ必要な改憲。
�� 緊急事態の恒常化 腐敗議員の居直りを許すのか
・任期延長を認めれば、民主制の正当性を持たない従前の権力（衆議院議員と政権）の居座りを許すことになる。民主的正当性を欠く「国民の代表者もどきが、違憲の「法律」をどんどん制定し、重要な政策決定を行うことができるようになる。たとえ1年後に、選挙が実施されても、すでに大政翼賛体制は構築され、市民的自由が制約弾圧されているもとで、動き出した政策の変更は至難（戦前の日本の翼賛選挙やナチの独裁体制確立の経過など歴史的事実）
現在、問題となっている裏金問題（政治資金規正法違反、さらには選挙を金で買う買収公職選挙法違反疑惑）の捜査は政権との間で幕引き決着が図られた様子。安倍派5人組（羽生田、世耕、松野、高木、西村）も辞職せず？
私たちは、このような腐敗議員を選挙によって落とす以外にない。それが民主政治の正しい姿。
講演のまとめ
ここを突破されると、次は、戦争する国の総仕上げ改憲（=9条改憲・緊急政令明記改憲）
任期延長改憲は、平和主義と国民主権の基本原理に大きな穴を開けることになる。
それだけでなく、「戦争する国」を完成させる改憲（9条自衛隊明記改憲や緊急政令・緊急財政措置改憲）の「突破口」を開く危険な改憲 !
（講演は以上。質疑応答あり。）
講演後、高校生平和大使のスピーチを受け、高校生1万人署名運動の長年にわたる核兵器廃絶の継続した取り組みに、会場からの大きな拍手がおくられました。
主催者閉会挨拶で、神奈川県での反基地平和のたたかいの決意を確認し合い、終了しました。
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