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●JAL 被解雇者労働組合(JHU)

羽田空港での JAL 機と海保機の衝突事故について(見解)

 本年 1 月 2 日の夕刻、JAL516 便が羽田空港着陸時に、滑走路に進入してい た海上保安庁(海保)機に衝突、両機が炎上し、海保機に搭乗していた 5 名が死 亡、JAL 機では 379 名全員の脱出に成功しましたが、15 名の負傷者を出すとい う大きな事故が発生しました。

 現在、運輸安全委員会の事故調査と警察の捜査が進められていますが、警察の 捜査は犯人を特定するための捜査であり、再発防止に向けて原因を究明する事 故調査とは異質なものです。私たちは犯罪性が認められない中で、警察が関与す ることは真の事故原因究明の妨げになると考えます。

 今回の事故については、滑走路への誤進入の原因となった管制官と海保機と のコミュニケーション問題が主に取り上げられています。私たちは JAL で 30 年以上の乗務経験から、乗務員の立場で事故を考察する必要があると考えます。 今回の事故を回避する最後の砦は JAL 機でした。なぜ 3 人のパイロットが滑 走路上の海保機に衝突まで気づかなかったのか? との疑問が出されるのは当 然のことで、事故機の特殊性も含めて検証することが重要です。

 JAL は創業以来、主に米国製(ボーイング社など)の機材を使用してきまし た。欧州製のエアバスA350 の運航を開始したのは 4 年前の事です。当該機は ボーイング社の機材に乗務していた副操縦士が機種移行の訓練で操縦をしてい ました。そこで機長を含めた 3 人の連携はどうだったのか? また、当該機種に は操縦計器を正面の窓に映し出すシステム(ヘッドアップ・ディスプレイ)が装 備されています。これが滑走路上の障害物を視認する上で支障を来すことにな らなかったか? などの検証が必要です。

 衝突後の緊急脱出では、火災発生の中、客室乗務員の判断で全員の脱出に成功 した点は、高く評価されるべきです。これは客室乗務員の日頃の研鑽の賜物と言 えますが、事故機では全てのドアに客室乗務員が配置されていた事実を見逃し てはなりません。一方、機種によってはドア数に満たない客室乗務員編成数で運 航され、職場が改善を求めているにもかかわらず、経営が応えず、国土交通省も 事態を放置している現実があります。この事故での脱出成功を教訓に、JAL や 国交省はドア数に満たない客室乗務員編成数を見直すべきです。

 また、今回の事故を契機にパイロットや整備士と同様に、客室乗務員を航空法 上の航空従事者として位置付けることも必要です。

 不安全要素や事故の背景を指摘するのは現場の労働者です。そのためには労 働者が安心して働ける職場が必要であり、自由にモノが言える職場が保証され なければなりません。労働組合の役割は益々重要です。

 2024 年 1 月 11 日 JAL 被解雇者労働組合(JHU)

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