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パレスチナに平和を! イスラエルはガザに侵攻するな!

児玉 繁信〈全労協全国一般 福山ユニオンたんぽぽ・執行委員〉


*写真=ムキンポさん

1)ハマスの攻撃はどうして起きたか? イスラエルはガザへ侵攻するな!

 10月7日、ハマスが2,500発(イスラエル発表)のミサイル、ドローンを一斉に発射し、分離壁を越えイスラエルに侵攻した。約1,400人のイスラエルが犠牲となり、かつ200人を超える人質が連れ去られた(イスラエル発表によれば222人)。

 これに対抗し、イスラエル軍はガザ地区に連日、空爆を行い、ガザではすでに5,087人(10月23日現在)の死者を数えるに至っている。

 過去2週間(10月21日現在まで)、イスラエルが行ったことは、 5,087人殺害(うち、子供が約2,000人)、13,561人負傷、 国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWAの35の施設を爆撃、 ガザで37人以上の医療スタッフを殺害、 ガザとヨルダン川西岸で医療施設への250件の攻撃、 52,000戸以上の住宅破壊、 ガザ230万人の水、食糧、電気、人道援助遮断などである。すでに十分「報復」の規模を超えている。

 10月17日 ガザのアル・アハリ病院で爆発があり、約500人が死亡した。誰の仕業かは不明だが、時が経てばわかりだろう。イスラエルの「説明」と「証拠」の多くが偽情報であることが暴露されつつある。

 ネタニヤフ政権は17万人のイスラエル軍に加え予備役30万人を招集し、ガザ地区の包囲とレバノン国境に配備し、連日の空爆からさらにガザへの地上侵攻を準備している。地上戦に入れば、数十万人レベルのガザ市民の犠牲となるのは確実だ。なんとしてもガザへの地上戦突入を止めなければならない。

 ハマスのテロ攻撃は許されない、人質は解放すべきだ。とともにイスラエル政府のやってきた過激な入植や虐殺行為も許されるものではない。

 なぜハマスの攻撃が起きたか? 日本の大手メディアは、10月7日のハマスの攻撃からすべてを説明する。10月7日以前に、パレスチナで何が起きて来たかは報じない。

 イスラエル政府はこれまでヨルダン川西岸地域(West Bank)への入植を推し進めてきた。特に22年12月成立したネタニヤフ政権はエスカレートさせた。入植はそもそも違法だ。機関銃を手にイスラエル軍兵士がパレスチナ住民を追いたて、住居や農地をブルドーザで跡形もなく整地し、その上にユダヤ人入植者のためのマンションや工場、農園を建設する。パレスチナ人は警察や裁判所に訴えても無視される。土地と家を失い、行先がないパレスチナ人には抗議する人もいる。子供たちも含めイスラエル兵に向かって石を投げる。これをもってイスラエルはパレスチナ人をテロリストだと非難する。

 抗議するパレスチナ人をイスラエル兵士は容赦なく射殺する。今年に入り、毎日数人程度が射殺されてきた。9月まででその数は昨年を上回った。アラブのメディアは毎日報じているが、日本のメディアは報じない。

 イスラエル政府は、二国家共存(オスロ合意1993)を破ってきた。最近では、2020年9月「アブラハム合意」によりUAE、バーレーン、スーダン、モロッコと国交正常化したが、合意の条件の一つが「入植地を拡大しない」であった。しかし、イスラエル政府はこの約束を簡単に破っている。

 この地での対立の原因が何であるか、正しい歴史認識を持ちそのうえで解決を志向しなければ、対立と紛争は続く。対立の原因はイスラエルがつくってきたし、そのイスラエルを米国が支持してきた、それが問題なのだ。

 イスラエル政府は分離壁を建設し、一級国民ユダヤ人と二級国民パレスチナ人を分離した「分離国家」、すなわちアパルトヘイト国家をつくってきた。それ自体が、不法不当なものだ。しかし、ネタニヤフ政権の目標は、もはや「アパルトヘイト」や「分離」ではない。「総取り」(=民族浄化)であり、パレスチナ人の完全な排除である。このままであればパレスチナ人は領土を失ってしまう。ハマスの攻撃はこの危機のなかで起きたものだ。

2)ネタニヤフ政権はガザ侵攻を決めている

 ネタニヤフ極右政権は、ガザへの地上戦突入を決め、米国の支持を得ている。今は開始時期を測っている。TVの人質報道などを見てもわかるように、イスラエルや米国にとって、イスラエル人とパレスチナ人の命の価値は同じではない。イスラエル/ギャラント国防相は「我々は人の姿をした獣と闘っている」と語った。

 地上戦に突入すれば、ガザ住民に大きな犠牲が出るし、ハマスも大きな打撃を受ける。ハマスは、イスラエル軍に少しでも犠牲を強いることに努めるだろう。それしか選択肢はない。空爆と違ってイスラエル軍の犠牲も予想を超えるだろう。

 ネタニヤフ政権は極右政権であり、和解に応じない。パレスチナ人やハマスの背後にはイランがいて、最終的にはイランを潰すことが目的であり、オクトパス(蛸)の手足(ハマス、ヒズボラ)を落とすだけではなく、頭(イラン)を潰すと公言している(=「オクトパス戦略」)。

 ネタニヤフ政権がガザ地上戦を放棄するのは、政権が崩壊する時だ。地上侵攻したら、ネタニヤフ政権が倒れる、あるいはイスラエル国家が消滅する「現実」に直面すれば、次の政権が仲介−停戦に応じる可能性が生まれる。

 地上戦突入はイスラエルにとっても危険な賭けだ。空爆であればいつでも戦闘を停止できる。しかし、地上戦に突入すればやめるにやめられなくなる。

 イスラエルは長期にわたって戦争を継続できる力はない。全労働者数は440万人、予備役を招集しすでに全労働力の7%が不在となった。通貨シェケルとイスラエル株式市場は大幅下落しており、中央銀行は通貨を安定させるため介入しなければならなかった。

 米国の支援もどれだけ続くか不明だ。ウクライナに送る武器と弾薬が不足している現状からすれば、心もとない。またすでにイスラエルは国際的に孤立している。

 一方で、比較的裕福なイスラエル国民の国外脱出が続いている。イスラエル国内で、地上戦突入に反対する世論と政治運動がどれくらい高まるかが一つの焦点でもある。

 イスラエルの戦争政策を推進させている最大の要因は、米バイデン政権の支持にある。バイデンの支持がなければイスラエルは戦争できないのだが、バイデン/ネオコン政権は少しも懲りていない。イスラエルの戦争を支持し、武器の支援を約束した。ウクライナへの武器支援よりも優先度は高い。バイデンにとって米大統領選でユダヤ票の支持が必要だからだ。

 ネオコンが牛耳るバイデン政権は、10月20日ウクライナやイスラエルを支援する総額1,000億砲龍杁淪住擦鯱∨議会に要請した。内訳は、対イスラエルに140億法別2兆円)、ウクライナに600億法▲ぅ鵐病席人里70億法∧篤酩国境警備に140億法バイデンはこれを「賢い投資だ」と称して、軍事介入の姿勢を崩していない(10月21日、日経)。

3)各国が非難声明、アラブ諸国はパレスチナ支持

 イスラエルの報復戦争、これを米英仏独伊加が支持!
 米バイデン政権は、イスラエルとガザ地上戦開始を支持し、地中海に2つの空母攻撃群を出動させた。英スナク、独シュルツ首相はイスラエルを訪問し、ガザへの侵攻支持を表明した。仏伊加政府もイスラエル支持をした。一方、上記以外の世界の大多数の政府が、ガザ侵攻を非難し即時停戦を求める声明を出している。

 10月11日、サウジのムハンマド・サルマン皇太子とイランのライシ大統領の電話会談し、パレスチナ擁護の姿勢を確認した。このことでアラブ各国政府は結束してパレスチナ支持となった。アラブ諸国の市民はパレスチナ支援、ガザ侵攻阻止を掲げて連日デモを繰り広げている。

 中国、ロシア、BRICS、グローバルサウスの国々もガザ侵攻をやめるよう声明を出している。GCC、ASEANも即時停戦の立場を明確にした。プーチンとトルコ/エルドアンが停戦仲介に乗り出している。10月16日国連安保理でロシアの提案した人道停戦決議が否決された。アメリカ、英、仏、日本が反対したからだ。

 18日、議長国ブラジルのフランサ・ダネセ国連大使が提出した「パレスチナ自治区ガザの人道状況改善、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの大規模戦闘の一時停止」を要請する決議案も国連安保理で否決された。15ヵ国のうち日本やフランスなど12ヵ国が賛成したが、常任理事国の米国が拒否権を行使した(英国とロシアは棄権)。

 18日、国連人権理事会で、米国代表のミシェル・テイラー氏が演説した際、多くの評議員が退場するとともに、残った数十人の評議員が椅子から立ち上がって、演説者に背を向けた。ガザへのイスラエル空爆を支持した米国に対する抗議だ。

 イスラエル支持のバイデン大統領に、世界中の政府と人々からの批判とデモが相次いでいる。「イスラエルと一緒にとは、何だ? – どこに人権尊重があるのか?」と。

 このような動きこそ、イスラエルのガザ地上戦突入を止める「力」であり、私たちの希望だ。

 米国がイスラエルのガザ地上戦を支持、G7がこれに追随。アラブ諸国、BRICS、グローバルサウスが停戦を主張。この対立関係には、既視感がある。そうだ! ウクライナ戦争と同じ構図だ。私たちはその意味もきちんと認識しておかなくてはならない。  

4)戦争の拡大、第三次世界大戦に転化する危険がある

 イスラエルがガザへの地上戦に突入すれば、レバノンのヒズボラがイスラエルに攻撃を始めるのは必至だろう。戦争は拡大する。アラブ諸国政府と人民の抗議はさらに大きくなる。シリアにも戦線が拡大するかもしれない。イスラエルはイランへの攻撃を意識している。そうなれば中東全体への戦線の拡大、第3次世界大戦の危機が生まれる。したがって、ガザへの地上戦開始を止めることが、戦争拡大、第3次世界大戦戦争勃発を止めることでもある。

 ただ、今回のイスラエル―パレスチナ間の紛争は、今までとは異なる様相を見せている。

 その第一は、米国の力の低下だ。米国はすでに中東から原油を輸入しておらず、中東の安全保障おいても影響力を低下させてきた。この事態を前にして、バイデン政権は「イスラエル―サウジ国交正常化」をただ一つの目標として、23年夏以降、米政権首脳がサウジを訪問し、国交樹立を求めてきた。しかし、この目論見は頓挫した。 米国は、ウクライナに大量の武器・弾薬を送り「支援疲れ」の状態にあり、中東で新たに戦線を開くわけにはいかない。軍事支援には限度があるから、バイデン政権にとって戦争は長期に続いてもらっては困る。ましてや米軍はもはや中東で参戦できる状態にはない。

 第二に、アラブ諸国とグローバルサウスの国々が脱米の動きをさらに深めたことだ。サウジの石油の最大の購入者は中国、インドに変わった。中国を仲介にサウジとイランは国交を正常化させ、UAEとともにBRICSに加盟した。BRICS加盟申請国は40ヵ国にものぼる。各国がBRICSへの結集する意図は、「脱米」である。米国の軍事介入を嫌い戦争しない国際関係の構築を望んでいるからだし、ドルを背景にした米国の経済制裁から逃れたいからだ。

 米国の力の低下と各国の脱米への志向は、いままで以上に、ガザへの地上侵攻に反対、即時停戦を求める国際的な各国政府の動きを強めている。アラブ諸国、欧州でも、世界各地で、戦争拡大反対、これ以上犠牲者を増やすな!ガザ侵攻をやめろ!を掲げたデモが連日、広がりを見せている。

 問題は、こういった現代の世界の変化がイスラエルのガザ地上戦突入にどれだけ、どのように影響を与えるか?だ。

5)日本政府、岸田政権の果たすべき役割

 岸田政権のやるべきことは、イスラエル、アラブ双方に働きかけ、停戦を仲介することである。

 日本は原油を輸入するアラブ諸国と良好な関係をつくってきたし、パレスチナ議員連盟などを通じてパレスチナとも関係を深めて来た。他方、イスラエルとも付き合いはある。それゆえ、即時停戦を掲げて双方に呼びかけ仲介できる位置にいる。米英仏独伊加政府が、イスラエルの報復戦争を支持し醜悪この上ない姿を見せているこの時こそ、岸田政権は米国とG7 から離れ、独自の役割を果たすべきだ。戦争が拡大すれば日本の出番などない。

 日本は原油の97%を中東から輸入している。中東全体が戦場になれば原油が入ってこなくなる。すでに原油価格は高騰し始めている。日本の国益にとっても、日本の人々にとっても、イスラエル軍のガザへの侵攻、戦争の拡大は絶対に止めなければならない。

 岸田政権は、米国の意向に従って、イスラエル支持、ガザ侵攻支持を表明してはならない。
 即時停戦を掲げて、仲介に動け!(2023年10月23日記)


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