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【解説】前月号で伝えた流通大手UPS社でのチームスターズ労組の勝利がアメリカ労働運動を大きく勇気づけている。9月14日の協約期限切れを前にして全米自動車労組は自動車ビッグスリーに対してストライキを構えて、UPSに学んで訓練ピケを展開している。レイバーノーツのブラッドベリ―編集長がこの両労組の牽引車ぶりを伝えている。(レイバーネット国際部 山崎精一)*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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チームスターズ労組と自動車労組が協約改定交渉を牽引 

2023年8月17日 アレクサンドラ・ブラッドベリ (レイバーノーツ編集長)


*7月13日フィラデルフィア市で訓練ピケをするUPSのチームスターズ労組員

 改革派が指導部となった、チームスターズ労組と全米自動車労組(UAW)は労働協約改定交渉運動の水準を引き上げつつある。

 レイバー・ノーツでは、労働協約改定交渉運動をしない組合に不満を募らせている組合員からよく話を聞く。そういう組合では要求を決め、勝つための運動を作ることに一般組合員は関わらない。組合幹部は交渉経過を公開せず、世論の共感を得るチャンスを逃してしまう。協約が締結されるまで、一般組合員は何が起こっているのかさえ耳にしないこともある。

 今ではUPS協約改定キャンペーンという良い成功例が示されたので、これまでの「秘められた」協約交渉のやり方をゴミ箱に捨てることができる。UAWのショーン・フェイン会長が自動車メーカー、ステランティス社の最初の提案内容を捨てたように。

 これは演出ではあったが、組合幹部がようやく組合員の側に立ったことを示す、素晴らしい演出だった。またフェイン会長は、3社の経営トップと握手して交渉を始めるという伝統に逆らい、代わりに3社の自動車労働者と握手して1日を過ごした。

 フェイン会長とチームスターズ労組のショーン・オブライエン会長は、公の場で使用者側を非難し、交渉スケジュールを変えさせ、ストライキを構えることを躊躇しなかった。こうしたことは、経営側を苛立たせ、組合員の士気をかき立てた。

 私の知り合いの組合オルグがよく言っていたのは、組合員は経営者に噛みつく組合リーダーを見るのが大好きだということだ。しかし、重要なのは、組合員に代わって闘うことではなく、組合員自身が自信を強めるように仕向けることである。

ボトムアップ志向

 より重大な変化は、改革派主導のこれらの組合では、協約改定キャンペーンの中で組合員が重要な役割を果たすよう組合員に呼びかけていることである。

 チームスターズ労組は協約の切れる1年前からUPSキャンペーンを計画し、改革派のコーカス「民主化を目指すチームスターズ」TDUはキャンペーンを支援し、そのためのツールを提供した。しかし、このキャンペーンを実際に実現したのは組合員自身だった。

 全国的な協約改定キャンペーンは職場のパワーバランスを大きく変化させる。オーガナイザーとして立ち上がり、行動を起こした一般組合員は、新たなスキルと自信を手に入れた。覆水盆に返らず。 「人生が変わるような経験でした」と、サンディエゴの運転手アベル・デ・ラ・クルスは言う。彼は仲間と一緒に「ストライキの力」という組織を職場で作った。彼は内気な男から演説をする男に変わり、職場の配送センター全体に新しい仲間意識が芽生えた。

 ボストン郊外のUPS従業員たちは、ピケの練習に熱中し、会社の朝礼で全員が上司に背を向けて、労働者いじめをする上司を追い払った。労働組合の次の課題は、このような現場行動を全国各地で展開し、協約内容の履行に向けた機運を高めることである。

闘いを要求する

 それにしても、UPSでストライキが行われなかったことを残念に思わずにはいられない。ストライキが実施されていれば、もっと労働者の自信が高まったに違いないからだ。

 ストライキは交渉の席だけでなく、職場にも影響を与える。トラクター・トレーラー運転手のダイアン・ボルトンは1997年のUPSストライキをこう回想している。「自分の上司が私の仕事をやろうとしてもがいているのを見るのはとても愉快でした。いつもは何でも知っているかのように振舞っていたのに。」

 労働運動全体にとっても、ストライキは労働者のパワーをまざまざと見せつける一撃だっただろう。あらゆるテレビのニュースが、ピケや組合の要求を報道し、ウォール街やホワイトハウスのパニックを取り上げただろう。

 ストが実施されていれば、アマゾン、ウォルマート、フェデックスの労働者たちは、何がどのように勝ち取られたのか、すぐに注目しただろう。自動車労組にとっても素晴らしい手本となっただろう。

 もちろん、私が言うのは簡単だ。ストライキには現実的なリスクや賃金の損失がつきものであり、労働者や組合指導者は、得られるものと天秤にかけなければならない。

 チームスターズ労組と全米自動車労組の躍進が労働運動を前進させている。すべての組合員は刺激を受けて、戦闘的な協約闘争を求めるべきである。次は誰の番だ?


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