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8・24福島現地レポート「まさか本当に海洋放出するとは」

堀切さとみ

 福島第一原発事故から12年半。8月24日は歴史的な日になるだろう。
 汚染水の海洋放出は午後1時からだと、朝のニュースが伝えていた。希釈して少しずつ、30年かけて流すという。
 30年は帰れないと言われていた双葉町。30年の約束で放射性廃棄物を保管してくれといわれている中間貯蔵施設。つくづくこの国の政府は30年が好きなのだな、と思う。

 朝7時。浪江町の請戸漁港に向かう。ここからは福島第一原発がよく見える。
 堤防には報道クルーの姿が見える。KBSをはじめ、韓国メディアばかりだ。
 階段のない堤防に私を引っ張り上げてくれたおかげで、再び汚染源となる福島第一原発の写真を撮ることができた。
 日本人だということで、私が取材されることになった。「閉じ込める」のは無理だったと、日本政府は認めたも同然だ。いつまで居直るつもりなのか、世界中の人に詫びたい気持ちだと話した。


*取材される筆者

 漁師が水揚げしているので話を聞こうと思ったが「入ってくるな」と言われる。離れたところで、一人立っている漁師に声をかけた。「取材には組合長が対応するから、余計なことはしゃべるなと言われてる。そんなの民主主義ではなく共産国みたいだけども。今日はいつもどおり仕事だよ。といっても補償貰って1カ月のうち10日しか仕事はないけどな」

 9時。国道六号を車で走り、大熊町の中央台へ。原発からほど近い交差点だ。線量計の数値はぐんぐんあがる。ここで「汚染水反対」を訴えスタンディングする人たちがいたので話を聞いた。

 中央台でのスタンディング・動画(8分)

 郡山市から参加した女性は「線量が高いのはわかっているけど、いてもたってもいられずここに来た。まさか本当に放出するとは思わなかった」「漁師もお店も、どんなに大変な思いでここまで頑張って来たのか。それを思うと悔しくてたまらない」
 国道六号は昨年の10月まで、自転車と歩行者は通行禁止だった。車の中と外では線量は違うのだ。車内では0.3μでも、外で測ると0.7μという塩梅だ。

 

 月に一回、この辺のモニタリングをしている女性(南相馬市)は「解除されたが線量はとても高い。空間だけでなく土壌も測っているが、700万ベクレル/圓里箸海蹐發△辰拭8的には公表されていないので、自主的に測って地図を作り、役場や警察、消防署に届けているが、きちんと活用してもらえていない」
 空気も土も基準値をあげて、汚染はないことにされてきた。そして海も。

 ここもやはり海外メディアばかり。黒田節子さんは線量計をみて「郡山市とは桁が違う」と驚いていた。若者や子どもがいないのが救いだ。空だけがやたらに青かった。

 午後1時。再び請戸の海岸へ。浪江町・希望の牧場の吉沢正巳さんが若者たちに、ここがどんな場所であるか話をしていた。かつて浪江小高原発建設を止めた場所、津波で200名の命が流された場所、ここからみえる福島第一原発は、今も毎年のように震度六の地震に見舞われ、格納容器が崩れる恐れがあることなどを。

 テントを張り、牧場の仕事の合間に毎日ここに来るという。そして魚の放射能を、きちんと調べると話した。
 「放出されても、俺たちは魚を食べる。福島県民の食の基本だから。魚がダメといわれたら、俺たちは何を食えばいいんだ」

 そのあと一路、双葉町にある産業交流センターへ。ここの三階にある東京電力福島復興本社に向けて「汚染水を流すな」とシュプレヒコール。
 右翼の街宣車が来て「汚染水じゃない、処理水と言え」。そして「海外でもトリチウムは流している、日本だけが悪く言われるのはおかしい」と言う。

 世界最大級の原発事故を起こした責任をどう考えているのか。あらためて考える一日となった。放射能汚染を強いる権利など、あるはずがない。
 私たちの意識が薄まっていくことを、世界の人たちは許さないだろう。


Created by staff01. Last modified on 2023-08-25 15:43:57 Copyright: Default

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