本文の先頭へ
LNJ Logo ドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』/未来を信じて働き続ける人々の姿
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0130eiga
Status: published
View


●ドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』
そこには障がいがあってもなくても挑戦しながら未来を信じて働き続ける人々の姿があった

杜 海樹

 働き方改革という言葉を覚えているであろうか。というのも、新型コロナ感染症、ロシア-ウクライナ紛争、インフレと困難な状況が次々と起こり、働き方改革など忘れ去られてしまったのではないかという感があるからだ。23春闘は賃上げ一色であり、働き方への言及は全く耳にすることがなくなった。

 そんな時代状況の中、一つの映画が今注目を集めている。タイトルは「チョコレートな人々」、愛知県豊橋市で生まれたチョコレート店・久遠チョコレートを取材したドキュメンタリー映画だ。監督は鈴木祐司氏。チョコレートと言うと、もうすぐバレンタインくらいの印象しか持たれないかも知れないが、ところがどっこい、この久遠チョコレート、障がい者雇用の促進と低工賃からの脱却も目指している。お店の前身は2003年に障がい者雇用を始めたパン屋さんであったというが、今ではスタッフ550名規模で、その内の6割・350名程が障がいを持つ方々で構成されるまでになっているというから驚きだ。

 低賃金労働問題と言うと、近年では、外国人研修生の労働や賃金未払問題などが注目されることが多いが、身体的障がいや知的障がい等を理由にされて低賃金に苦しんでいる方も少なくない。例えば、厚労省の発表によれば、就労継続支援B型事業所の工賃(賃金とは言わず工賃)は令和2年度において月額平均で15776円、時間額平均で222円とされている。就労継続支援B型とは、様々な障がいを持っている方々におこなう就労訓練・軽作業の名目の福祉サービスであり、雇用契約は結んでおらず、対価は賃金ではなく工賃であり、賃金ではないから地域最低賃金適用除外だとされている。確かに単純な軽作業なのかも知れないが、一般の事業所でケーキの箱折り等をすれば最低賃金の時給1000円前後、福祉授産所で同じ箱折りをすれば時給222円前後というのは納得できる話しではないであろう。例え単純作業であったとしても、あなたは障がいがあるので時給222円程しか払いませんと言われて、心から喜んで働ける人がいるとは到底思い難い。また、あなたは障がいがあるので難しい仕事は任せられませんと言われて、心から幸せと思う人がいるとも到底思えない。

 さて、そうした社会システムが存在している中、久遠チョコレートは大胆に障がい者雇用を拡大し、事業を拡大し売り上げも伸ばしてきたという。その具体的姿は映画の中で紹介されているので是非ともご覧いただきたいところだ。もちろん成功もあれば失敗もあるが、失敗をどう乗り越えようとしたかが私たちの知りたいところだ。また、久遠チョコレートの品質は非常に高く、どのチョコレートを食べてもカカオの香りが漂う優れものとなっている。

 映画の中において、チョコレートは「暖めれば、何度だって、やり直せる」という言葉が何度も繰り返し使われている。それは働き方改革にとっても同様であろう。問題は山積しており簡単に解決していくとも思い難いが、そうかと言って見過ごしてよい問題でも決してない。何度でも何度でも、暖め直してチャレンジすれば良いじゃないか・・・、そう背中を押されたような気がする。

●ドキュメンタリー映画「チョコレートな人々」
 2023年1月より、ポレポレ東中野、第七芸術劇場等で上映中。
HP http://www.tokaidoc.com/choco/
ツイッター https://twitter.com/tokaidocmovie
FB https://www.facebook.com/tokaidoc.movie
インスタグラム https://www.instagram.com/tokaidocmovie/

Created by staff01. Last modified on 2023-01-30 13:12:50 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について