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【解説】1月号のレイバーノーツ誌は組合のない職場の労働者によるストライキについて報じている。アメリカでは労働組合法が過酷で、職場の過半数を組織しないと労働組合が認められない、と考えている方もいるかも知れない。しかし、そうではない。過半数の支持がないと排他的交渉権が認められないだけである。つまり職場の全員を代表して交渉を要求することはできないが、組合員が少数であっても、組合員のための交渉を要求することはできるのだ。交渉するだけではなく、様々な組合活動、争議行動を行い、ストライキもする権利があることをこの記事は伝えている。これまでは通常の組合は過半数を組織できなければ職場での活動を諦めていた。このビジネス・ユニオニズムの考え方を捨て、少数であっても、職場で組合活動を展開しようという考え方が主張され始めている。最近のアマゾンやスターバックスでの大胆な組織化、ストライキはその現れとして注目される。(レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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組合員でなくてもストする権利はある

 2022年12月8日 / リチャード・デフリース(チームスターズ労組ローカル725組合代表)


*10月11日、イリノイ州ロリエのアマゾン労働者50人が賃上げと安全を要求してストに突入。職場には組合はないが、ストは法的に認められている

 コーネル大学の労働争議統計によると、2021年には組合員ではない労働者によるストライキが87件発生し、全国のストライキの3分の1を占めた。労働組合がなくても、労働者にはストライキ、争議行動、さまざまな抗議行動を組織する法的権利があり、雇用主は報復を禁じられている。

 しかし、法律で禁じられていても、多くの雇用主は、トラブルメーカーを解雇しようするし、やり得で終わることもある。その結果、組織化が中断される可能性がある。したがって、労働組合による協約の保護を受けずに組織化する場合は、自分の権利とそれを行使する方法を知っておくことが必要である。少し勉強すれば、弁護士も必要ない。自分で不当労働行為の申立書を仲間と一緒に作り、全国労働関係局に提出することができる。

労働法

 全国労働関係法第7条は、「被用者は自ら組織化し、労働団体を結成・加入・支援し、自ら選択した代表者により団体交渉し、団体交渉またはその他の相互扶助あるいは相互保護を目的として団体活動を行う権利を有する」と定めている。「自ら組織化」とは労働組合や労働者センターの後ろ盾があってもなくてもいい、ということである。例えば、シカゴのアマゾン労働者は、アマゾニアン・ユナイテッドとして自分たちの力で組織している。私は最近、雇用者の報復に対して不当労働行為を申し立てする方法についてアマゾニアン・ユナイテッドに助言した。「団体行動」には、ストライキだけでなく、数人の従業員が一緒に上司に苦情を言う、フェースブックで同僚と話す、嘆願書を回覧する、集団で賃金未払請求をする、記者会見を開く、などの小さな行動も含まれる。

 キーワードは「団体」、つまり2人以上の従業員が一緒に行動していることである。全国労働関係局によると、従業員一人であっても「他の従業員を代表しで行動している場合、集団の苦情を雇用主に提出する場合、団体行動を促し、準備をしようとする場合」は団体行動とみなされる。

 その行動は、個人だけのではなく、集団の労働条件の改善を目的としたものでなければならない。これが「相互扶助あるいは相互保護」である。安全上の懸念、トイレ休憩、過度の暑さ、不当解雇、セクシャルハラスメントなどが課題となりえる。

不当労働行為

 雇用主はこれらの権利に干渉することを禁じられており、以下を行うことは不当労働行為に該当する。
1. 組織化活動をスパイする(またはスパイしているように見える)。スパイ行為とは、観察するために通常とは異なることを行うことを意味する。監督者が頻繁に訪れる職場のエリアで、公然の組合活動を観察することは、スパイ行為に当たらない。
アマゾンでは、労働者は仕事が終わると集まって週末の予定についておしゃべりしていた。組織化が始まると、管理職の一人が望遠レンズのついたカメラで遠くから撮影し始めた。これは不当労働行為である。
スパイ行為には、労働者のフェイスブックへの投稿を監視することも含まれる。ただし、雇用主について発言できる内容については、下の制限事項に注意すること。
2. 平和的な組合活動やその他の保護された活動に従事する従業員を写真やビデオで撮影すること。
3. 反組合キャンペーンビデオに出演するよう個々の従業員を勧誘する。
4. 組合結成の権利行使を阻害する傾向のある就業規則を施行する。例えば、従業員が仕事以外の話題について話すことが許されている場合、就業時間中に労働組合について話すことを禁止することなどである。
アマゾンでは、駐車場に集まったり、ビラを配ったりすることを禁じる新しい規則を掲示した。入口ドアの近くに立っている人は、入構を妨害していると非難された。
5. 非番の従業員が敷地内の業務エリアではない場所に立ち入ることを、業務上の理由がないにもかかわらず禁止する。
6. 従業員がボタンやTシャツなどの組合グッズを身につけることを特別な事情がないにもかかわらず禁止する。
7. 組合の結成は無駄であるというメッセージを伝える。
8. 不当労働行為事件で会社側の弁護を準備するために従業員を面接する。
9. 組合結成を理由に従業員を解雇、停職、または懲戒処分する(またはそうすると脅す)。
10. 従業員に対して、自分自身または同僚の組合活動や組合への同調について強制的に質問すること。

注意すべき制限事項

 これらの法的保護には制限がある。保護を失う可能性があるのは、以下のような場合である。
・人種差別のような、ひどく不快な言動をすること。
・故意に、悪意を持って虚偽の陳述をすること。証明できることだけを発言すべきである。例えば、雇用主を泥棒呼ばわりすることは、州によって認められた賃金未払の事実を指摘することができない限り、かなり無茶な行為である。
・労働問題に関係なく、雇用主の製品やサービスを公然とけなすこと。
「この病院は患者にとって危険だ」と言えば、非難を浴びる可能性がある。「この病院は患者にとって危険だ、なぜなら人員が不足しているからだ」と言えば、労働問題と関係があることになる。
・反抗的な態度も問題になりえる。全国労働関係局は、団体行動を行う権利と、秩序ある職場を求める雇用者の権利のバランスを取る。上司の機嫌を損ね過ぎると、怒りに満ちた言葉の応酬が保護されない場合があるし。

組織化を続ける

 (不当労働行為があれば、証拠を集め、全国労働関係局に申し立てして、救済を求める。)その結果、何を得ることができるだろうか?正義ではない。雇用主は異議申し立てを何年も続けるので、全国労働関係局に正義を期待しないこと。

 最終的に変革をもたらすのは、仲間を組織して経営側と闘う力である。全従業員の支持を得られれば、できることは無限である。これが、ストライキをする理由に他ならない。

 しかし、不当労働行為と闘うことにより、組織化のための盾は手に入れることができる。根拠のある不当労働行為の申立は、ストライキをした労働者を解雇することを思いとどまらせたり抑止したり、解雇された労働者を復職させる全国労働関係局の命令につながることもある。乱暴で無法な雇用主にブレーキをかけ、少しは狡猾で巧妙な雇用主になるようしむけることができる。一時停止ボタンを押すことで、新たに組織化された労働者は一息ついて組織化を継続することができる。


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