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投稿 : 安倍元首相は先ず自身と向き合う必要があったのではないか
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投稿者 : Takeshi(大阪府大阪市)

安倍元首相は先ず自身と向き合う必要があったのではないか

自民圧勝で幕を閉じた参議院選でしたが、安倍元首相は先ず全ての行状と冷静かつ真摯に向き合い誠心誠意を以って迅速かつ的確に関係者への謝罪と補償を行い、二度と政界には戻らないとする決意と誓い(国民に対する最後の公約)の下に去ることこそ唯一最善の選択だったのではないでしょうか。

いわば政治家としての社会的責任のみならず人としての道義的責任を果したうえ、出処進退の決断という自身を厳しく律する姿勢と潔さに欠けていたと思うのです。

マスコミ報道では葬儀の様子と並び業績の紹介を通し悼み偲ぶ情緒的な見解がある一方、重ね続けた悪事と隠すために吐き続けてきた虚偽、及び長期政権の驕り昂りから来た自業自得との厳しい見解もあります。

確かに安倍氏の行状は独善的、利権主導かつ強引なものが多く政治の私物化として非難が絶えませんでした。

挙げるまでもありませんが、森友・加計学園、桜を見る会、福島第一原発事故の被害隠ぺい、嘘の安全を世界にアピールしてのオリパラ開催、アベノマスク、共謀罪、秘密保護法、そして昨今の物価高の引き金といわれているアベノミクスなど数多くあります。

ただ捜査が進むにつれ逮捕された男の供述から動機は安倍氏自身の政治思想ではなく、関与並び支援していた宗教によって家庭を崩壊させられたことによる私怨との展開になってきています。

なお私は安倍氏個人を庇護するつもりはなく、世を去ったとはいえ全ての事件について糾弾されるべきであると共に徹底した真相解明が必要と思っています。

とりわけ森友学園問題では公文書改ざんを指示され、自責の念から命を絶った近畿財務局職員の無念を晴らし名誉回復が喫緊の課題です。

それなのに悲劇的な最期を遂げたためか、「安倍さんが可愛いそう」という同情が多く、事件が免罪の如く隠されては善行だけをクローズアップし美談化せんとする風潮が蔓延しています。

かような風潮は若い世代を右傾化しかねないばかりか、並行して成人年齢並び選挙権の18歳引き下げに続く改憲の基でおこなわれるであろう自衛隊のフルスペック軍隊化、徴兵制による兵役義務、米国とのシェアも含む核保有、原発推進につながってゆくのは間違いありません。

初めこそ抵抗は大きくとも程なく常識かつ必然として受け入れられる様になり、今や90%以上といわれる戦争を知らない子供たちである日本国民を、政治権力及び為政者、さらに資本のイエスパーソン化させることが可能となるでしょう。

自民大勝と御者役維新の躍進から我が国の外交並び国防の近未来が予想されますが、根底にはロシアのウクライナ侵略がもたらす不安と危機感への煽りがあるのは間違いありません。

いってみれば平和が最優先とは言いながらも、場合によっては外交より武器を取って戦わなければ平和を守れないという彼らが現実的とする持論が“時流”となって共感を得たことも勝因としてあったでしょう(そのため足枷となる憲法九条改変を目指しているのですが)。

一方野党が低迷したのは外交以外に平和を守る手段はないとする主張と共に、暮らしの安全安心などを最優先かつ全面に選挙戦を進めたため、良くも悪くも自公維新の掲げた(演出した)時流に乗れなかったことが原因ではないでしょうか。

いささか横道に逸れましたが、事件を機に民主主義や言論の自由は如何なる攻撃や暴力にも屈しないとする声明が各党やメディア各社から出されたものの、背後に安倍氏の狙撃死を神格化せんとする動きが見えているのが気になります。

具体的にいえば事件を民主主義や言論の自由に対する弾圧に飛躍させたうえ、国民を国家主義及び全体主義へと誘導すべく理論のすり替えによる筋違いと狡猾さが感じられるのです。

あと暴力に屈さない決意を世界に示すことを標榜し、今秋予定されている国葬にも同様の目論見が感じられるなど、政府は安倍氏狙撃にありとあらゆる事柄を結び付けては飛躍させ、国民感情のコントロールを狙っていると思えてなりません。

結局のところ、長期独裁政権ともいうべき任期中におこなった経済格差の拡大と分断対立(弱肉強食と自己責任の押しつけ)、アメリカに追随せんと軍事予算のGDP2%枠超への企みなど、数々の悪事を重ねてきた安倍氏ほど民主主義と乖離どころか、むしろ積極的に破壊を推し進めてきた稀代稀な人物だったと思います。

よってこんな人物が讃えられる意味や意義、まして必要性など何処にもなく、国民の税金を投じてまで国威高揚と歪んだナショナリズムを植え付ける国葬には私も反対です。

最後になりましたが、肝心なことは政治的思想と忖度を持ちこまない捜査です。

メディアもまた取材や編集の過程で各方面から圧力を受けたり忖度を求められることが予想されますが、勇気と自信、そして何より報道人としての責任とプライドを以って政治的思想及び感情論を切り離し、冷静かつ客観的な報道で真相究明に努めてほしいものです。


Created by staff01. Last modified on 2022-07-15 22:33:39 Copyright: Default

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