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声を上げなければ変わらない!〜スリーエス非正規労働者が「正社員化求め」ストライキ

動画(10分)

 「若い!さわやか!」そんな言葉がぴったりの労働争議がはじまった。9月28日〜30日、(株)スリーエスコーポレーションで働く非正規労働者10名は、正社員化を求めてストライキを決行した。28日・29日は本社のある京都で、そして30日は新宿御苑近くにある東京支社前でアピール行動を行った。午前9時、ふだんは通行人がちらほら行き交う通りだが、そこにプラカードを持った人たち約60人がずらっと並んだ。そして「非正規差別をやめろ」「野田社長は会社を私物化するな」「われわれを正社員にしろ」のコールを上げた。

 スリーエスコーポレーションは従業員約90人の建設業で、マンションの内装仕上工事などをしている。関東4支店の従業員は50人から60人ほどだ。現場を担う工事部労働者は25人で、そのうち非正規職(時給制)が18人である。かれらは正社員とまったく同じ働き方をしているのに、年収は正社員550万に対して非正規は370万と約3割低い。また賞与もまったくなく、時給1800円だけだという。

 劣悪な状況のなかで、労働組合(日本労働評議会スリーエス分会)を立ち上げたのは2016年だった。組合のリーダーである大橋翼さん(写真上)は40歳で、ロスジェネ世代である。テレビ局のADなどを転々としながら、いまの仕事に就いてもう12年になる。内装仕上の技術をもったベテラン人たちが、フルタイムなのに雇用形態を「アルバイト」とされ、使い捨ての不安定な状況に置かれているのだ。
 組合は正社員化を要求してきたが、8月2日の団交で野田茂樹社長はきっぱり拒否した。その理由として上げたのが「団体交渉で会社に対して厳しい追及・発言をしている」「組合は会社に協力的でない」「愛社精神がない」ことだった。まさに不当労働行為を地でいく回答だった。今回の組合結成以来初めての3日間ストライキ決起は、「もう社長の姿勢に我慢できない」という労働者たちの悲鳴でもあった。

 東京支社前集会は1時間半にわたって行われた。最初に挨拶した大橋分会長は「労働者軽視の社長の姿勢を変えるには、労働者の権利行使しかないと考えストライキに立ち上がった。私たちは野田社長のドレイではない」と訴えた。そして当該の分会員6人がつぎつぎにマイクを握った。「6年間道理を通して要求してきたが、会社の差別的な物の見方はまったく変わらなかった」「私は16年働いてきたが残業代はずっと理由もなく750円だった。組合が声を上げるまで変わらなかった。声を上げないことが一番大事だと実感している。声を上げなければ、会社は永遠に私たちをドレイとして使い続けるつもりだ」「われわれは会社が嫌いでストライキをやっているわけではない。愛社精神があるからやっている。非正規差別をなくしてほしいだけだ」「非正規労働者を馬鹿にした態度に堪忍袋の緒が切れている。差別をやめろと声を大にして言いたい」。

 支援にかけつけた人からも、応援と連帯のエールが送られた。11月に新宿区長選に立候補するよだかれんさんもスピーチした。俳優のときから不安定な非正規の仕事をやってきて、苦労した体験を熱く語った。

 日本労働評議会顧問弁護士の指宿昭一さんは「法律だけで労働条件は変わらない。社会を変えることはできない。現場の労働者が立ち上がって、声を上げて行動を起こす。そういうことによって社会は変わっていく。労働者の権利は前進していくんです。頑張りましょう」と檄をとばした。

 非正規労働者は日本全体の労働者の4割をしめる大問題で、労評スリーエス分会の正社員化を求めるたたかいは、社会的にも大きな意義を持っている。28日午後には厚労省で記者会見を行われたが、組合は今後、不当労働行為救済申立てを行い、経営者の横暴と専制に対してたたかっていく方針だ。記者がこの日のアピール行動で感じたのは、当該も支援者も若い人が多く、明るくさわやかなことだった。労働運動の若返りにつながりそうな「スリーエス争議」。今後の運動の発展が期待される。(M)

日本労働評議会HP


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