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LNJ Logo 笠原報告 : 武道館の国葬を民主主義の葬式にしてはならない/国会前抗議集会に1万5千人
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武道館の国葬を民主主義の葬式にしてはならない 国会前抗議集会に1万5千人

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2022年9月27日は、忘れることのできない日となった。全国各地での国葬反対運動が行われていた。私が知っているだけでも御茶ノ水の金華公園から武道館方面へのデモ、日比谷公園から銀座デモ、そして国葬と同時間午後2時から行う国会正門前集会。
私は、日比谷→国会前とハシゴをする予定だったが、体力の都合で国会前に絞った。私の知人は、地元津田沼、船橋でスピーチをしてから国会前に来たと言っていた。
国民の60%を超える人が、反対しているのに強行した。今後の行政にどんな影響が出てくるのだろう。こうして、数を頼んだ強行政治つまり独裁になっていくのだろうか?心配だ。
ということで、メモが取れた範囲で当日の報告をする。
国会前は、前回よりも早くから人で埋まっていた。2時になると先ず、武道館方向に向かって「安倍元首相の国葬反対」「統一教会癒着を許すな」と、コールがはじまる。

主催者挨拶は菱山南帆子さん。「武道館で行われていることは、自由民主党による自由民主党のお葬式です」と衝撃的な言葉から始まり、安倍は東北アジアに緊張関係を保ってきた最低の政治家。世論の反対に押されて国葬の内実は壊された。つまり、私たちは勝利したのだ!」と。あきらめずに闘って、打倒しようと締め、コールに入った。

・社民党の福島みずほさんは連日の行動で、かすれた声で挨拶をする。国葬が憲法違反であること、閣議決定でやれるのは間違え。選挙で多数を占めれば閣議決定で何でもできると思うのは、安倍元総理の、岸田さんの傲慢ではないかと指摘。歴史修正主義など、憲法を踏みにじって、社会に排除と分断を生んだと。統一教会にもふれ、人権政策を後退させてきたと続ける。みんなの力で国会前から新しい政治を作っていこうと力強く述べる。

・立憲民主党の4人の議員が参加。代表して近藤正一氏が話す。
戦後の昭和の時代は、民主主義に掛けた時代で、みんなが頑張った。ところが安倍元首相は、その民主主義を破壊して多くの人の希望を失わせた。国葬するなら赤木俊雄さんではないか?ここで手をつないだ人たちが、その手を離さないで民主主義を守っていきましょう。

・共産党の志位和夫さん
共産党議員15名で参加している。熱い連帯の挨拶をしたいと始める。
何が聞く力か。断固抗議したい。強行すればなんとかなる訳がない。なぜ安倍を国葬にするのか?理由を言わない岸田は、安倍を礼賛している。
国民全体で敬意と弔意を表す儀式と定義したが、8年8カ月戦後最悪の政権だった。消費税を上げて国民を苦しめたのは誰だ?統一協会とのズブズブの関係をつくり広告塔になったのは一体誰か?理不尽なことは理不尽と声を上げ、岸田政権を終わりにしよう。

・れいわの櫛渕万里さんは、大石晃子さんと並んで挨拶。
連日皆さんと抗議してきた。静岡の被害のことに触れ、そう言う方々の声を聞こうと山本太郎は現地に行っている。国葬より被災地ではないか?統一協会との癒着に触れ、安倍がやってきたのは法を支配してきたことだという。

・続いて沖縄の風の伊波洋一さんのメッセージが代読された。

・田中優子前法政大学学長
1つ、大事な言葉が渦巻いています。憲法で保障された民主主義と人権は、不断の努力なしには実現しません。国葬は天皇が自分の家臣のためにやってきたもの。それを現代に持ち込むのは国会の軽視、つまり私たちは無視されたと。権利と権力を今の政権に与えてしまったが、みんなで真の民主主義を求めて、今から不断の努力をしていかなければならない。

・劇作家の坂手洋二さん(劇団燐光群主宰)。
天皇がなくなった時、自分は自粛をしなかった。自粛することにみんなが慣れてしまってはいけないと、反骨精神を私たちに促す。そのスピーチの力強さは、すごかった。

・小室等さんとこむろゆいさん親子
突然聞こえてきた歌声のすばらしさに振り向くと小室等さん。お嬢さんのゆいさんも途中から合わせる。びっくり仰天だ。1945年、みんなが戦争を始めたのは自分ではないと言っている中で、伊丹万作は、市民一人ひとりが戦争に加担したという。それを言うためにここに来たと「死んだ男の残したものは」(作詞谷川俊太郎、作曲武満徹)を歌いはじめる。「獄友」の主題歌、中原中也の詩に曲を付けたものと続く。

・自称マイナーなもの書きの栗田隆子さんが登壇。
カトリック教会の信徒でフェミニストと自己紹介。3つのことを言いたくてここに来たと。
1つは信仰が個人を大事にするなら、国家と癒着するべきではないと自分がいうべきだったとの後悔と反省
2つ目は、カトリック教会は戦前に国家に協力するという協定を結び、いまだにそれを撤回していない。一信徒として撤回してほしい。
3つ目は、
タカ派や保守派など右翼的思想を持つ人は、伝統的家族観に染まっている。それは生まれた時からその価値観を身に付けさせたいから。その責任は信者である自分にもある。
などカルトにもつながる興味深い話があった。

・在日ビルマ市民労組会長のミンスイさん
「ミャンマー国民を殺害している軍の代表者を国葬に参加させることに断固反対」と書かれた横断幕を掲げて登場したミンスイさん。
ミャンマーのテロに参加した国軍を出席させないでと政府に昨日まで訴え続けたが聞いてもらえなかった。ビルマ(ミャンマー)では、民主主義と言えば捕まる時期があり、真の民主主義を学んで国に帰りたいと思っていたけど、今の日本の民主主義は本物ではない。本物を取り戻すため、一緒に頑張りたいと、法律、自由、民主市議の3本の指を立てた。

・慰安婦問題に長年取り組む梁澄子さん(日本軍慰安婦問題解決全国行動共同代表)
梁澄子さんは、その通る声で、きっぱりと安倍外交を継承するという岸田を批判し、慰安婦問題への安倍の姿勢を否定する。安倍は、慰安婦問題で謝罪することになった時、その相手はアメリカのブッシュであり、真実の被害者へではなかったと鋭く指摘。
親分であるアメリカにはひたすらおもねり、かつて被害を与えたアジア諸国は無視をする。被害者たちにはなんと「同情している」と他人事発言をしたのだ。彼は謝罪する気は毛頭ない。問題解決は加害者の側にあると言い放つ。
国民は無視してもいいと言うことを受け継いできた安倍。しかし、歪められ、奪われたものに歴史認識がある。それを取り戻そう!

・広島の浄土真宗本願寺派の住職の話
岸田は広島出身の本願寺派なので、国葬をやめるように事務所の前で説教をしたのに、聞く耳はなかった。そのことをお詫びする。そして安倍への追悼文を紙太鼓を叩きながら、読み上げる。
国家に褒められるところに名誉があるわけではない。凶弾に倒れたことで日本の侵略が清算されなかったことが無念だといい、講談調で彼の罪を列記する。そして被害を受けた人の名誉の回復と、安倍が壊した平和憲法を私たちが建て直すときに、安倍の呪いも溶けると。

・政治学者の五野井 郁夫さんが立つ 
国葬反対署名のまた、立憲デモクラシーの呼びかけ人でもある五野井さんのスピーチは、疲れた頭にもスッキリ入って来る素晴らしいものだった。国葬儀の法的な正義はないこと、「丁寧な説明」と言い続けているだけであること。弔意の強制はもともとできないのに、雰囲気として弔意を示さなければと思わせている。彼の業績は何もない。根拠のない国葬強行に対しては、市民が集まって意見を表明している。この人数では、押し入ることは出来る。しかし、私たちの憲法は平和主義・非暴力守り、国内外に向けて発信してきたのだから、こうした整然と抗議ができるのである。
少なくとも安倍晋三から平和憲法を1ミリも変えずに守り抜いた。それはみんなが勝ち取ったもの。これからも権力が横暴を行ったときは、このように全国の路上に集まって平和的に権力の応募から守り抜いていきましょう。

続いて菱山南帆子さんの締めの挨拶と15000人のコールのつぶてが、武道館に向かって放たれた。
待ち合わせた友だちと出会えたころは、議事堂は傾きかけた太陽に輝いていた。

Created by staff01. Last modified on 2022-10-27 17:32:38 Copyright: Default

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