「安倍晋三は巨大な空洞」の国葬物語

レイバーネットTV171号〈アベ国葬とメディア〉2022/9/14

　今回の企画進行は、ジャーナリストの土田修さん。ゲストは永田浩三さんと望月衣塑子さん。ちょっとドキドキの期待感。そうそう、アベ人形が今回久しぶりの、多分最後の登場です。（報告＝笠原眞弓）

　トップに紹介されたのは、気になっていた海外の市民の反応。パリの私達の仲間でもある「よそものネット」の方々が「民主主義を壊した安倍元首相を許さない」と抗議の声明文を発表したと送られてきたので読み上げた。

〇永田浩三さん――国葬とプーチン

　永田さんは緻密に一つ一つを解説していく。先ず、吉田茂の国葬の経緯。前年に凶弾に倒れたケネディーの対処に学んだとか。吉田だって沖縄をアメリカに売り、日米安保を推進し、米軍基地を容認した。それなのにギャンブルの廃止など、善政をしたとごまかして、各局が長時間番組にした。新聞は少し鋭く「国葬に値する最後の人」とくぎを刺したが。国葬の始まりの大久保利通の時も「政府に逆らうと大変なことになるぞ」と支配力を誇示するものだったとか。いよいよやってほしくない国葬である。今度も自衛隊とか、大砲とか軍国主義がチラ見えすると。最も驚いたのは、プーチンとの密月は大ウソだったこと。４島どころか、２島も還る当てがなかったのに、NHKは、シラッーといかにも還るような「芝居番組」を流したと。勿論五輪の汚職の安倍の絡み具合も示された。

〇望月衣塑子さん――統一協会は国葬を強く望んでいる

　望月さんは、吉田茂の時は笑えるような野党との取引のすり合わせもあったが、今回は全くなし。また、国葬を国葬儀と言い換えた巧みさはあるが、決定してからの統一協会問題がムクムクと膨らんだのに、国葬について国会を開かない不満が国民の間に膨らんだ。国会を開かないということは、野党、つまりさまざまな国民の想いを聞かないという選択であり、そのやり方が今後根付いてしまうのではと懸念する。

　狙撃した山上やその周辺にも話はおよび、統一協会による被害の相談窓口を開いたところ、続々と相談が寄せられているとか。それは、これまでマスコミが注目してこなかったからだと望月さんはいう。

　統一協会の重点政策は、「教育の憲法」である教育基本法を統一協会の教則に沿わせ、続けて憲法も変えることだったと指摘する。ここで安倍と山谷えり子等の出来レースが暴かれ、統一協会にとって、安倍が国葬されることがいかに大事かを解説する。

〇「国葬なきゴルバチョフこそ偉大なり（朝日川柳）

　―死者が今の社会を考えるきっかけを作る

　永田さんは、中国の天安門事件に例を待つまでもなく重要人物の死が、その社会のありようを考えるきっかけになるという。そして直近のゴルバチョフは、ソ連を崩壊させた張本人でいい政治家ではなかったのに、核兵器、民主主義を広げたいと思っていたのは事実だし、今の時期、彼の葬列に加わることで反プーチンを示すことになり、危険なのに大勢の人が並んだという。

〇安倍晋三は巨大な空洞　　フロアーからの質問に答えて

　・望月さんは、最近の記者会見の様子を語る。官邸こそ表立って変っていないが、菅さんの時に比べずいぶんよくなってきているし、厚労省など他の省庁は変化してきたという。
・韓国からも質問があった。安倍亡き後の自民党や政治はどうなるのか？　新しい自民党への脱皮になるのか？　それとも、野党が取って代わるのか？

　それに対して永田さんは、安倍晋三は巨大な空洞だったと。何の信念も、経済政策も分からず、言われるままに神輿として存在していただけ。だが、安倍的なものが残っていて、意外としぶといぞということだ。安倍さんを支えた市民・国民が変らない限り日本の政治は変わらないと強調。その実現には、国政より地域の政治からと提案された。望月さんは、ジェンダーフリーが進まない裏に統一協会があることに、推進したい人たちが気づいたことは大きい。今後の検討会では、自民党内の新たな勢力に期待するとのこと。防衛力拡大を止めるのは難しいかもしれないけれど、当面改憲はないし、原発も進まないだろうということだ。

〇休憩タイムは、乱鬼龍さんの川柳

「マスク国葬安倍レガシーのくだらなさ　乱鬼龍」
「カネと票つかみ壺から手が抜けぬ　J・ポンド」

　ジョニーHさんの替え歌、「理屈じゃねえんだ国葬（飾りじゃないのよ涙は）」「冷たく冷やして原子炉（冷たくしないで）」などの国葬反対メドレーが唄われた。