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家族を引き裂く入管行政、さらなる改悪にNO!〜9.4全国一斉行動 in 東京から

松本浩美

●難民申請者を強制送還。拒否すると刑事罰

 ウィシュマ・サンダマリさんの名古屋入管内における死の真相究明と、入管法改悪反対を訴えた9.4全国一斉行動。
 政府は、昨年5月廃案となった改定入管法を今秋の臨時国会で再提出するつもりだ。同法案では、多くの問題点が指摘されている。例えば、複数回難民として認定されなかった人が再度申請すると、申請中であっても強制送還することが可能になる。送還を拒否すると刑事罰が課される。犯罪者になってしまうのだ。
 退去強制令が出ても帰国を拒否する外国人は全国で約3100人いるとされ、政府はその人たちを「送還拒否者」と呼ぶ。しかし、退去強制令を出されたうち95%以上は、自ら帰国する。帰国を拒否するのは、難民認定されないままの人(注)、長く日本で暮らし、故国には生活基盤のない人、日本で家族を形成した人など、帰国できない事情を抱えている。「帰らない」のではない、「帰れない」のである。

●家族を引き裂く入管行政

 デモ終了後のミニ集会では、まず、ウィシュマさんの妹のワヨミさんが、参加者にお礼のの言葉を述べるとともに、「私と私の家族は、姉に起きてしまった悲しい出来事が二度と繰り返したくありません」と訴えた。
 次に、今回の抗議行動に寄せて、入管施設に収容されている人から寄せられたメッセージが紹介された。
「入管は我々にゴミのような食べ物を食事として与え、動物以下の存在として扱う。病気になっても、死の直前にならないと手術、治療を認めない。日本人の配偶者や子どもがいても、帰国させようとする。配偶者に離婚を促す。日本で暮らす人には、帰る場所のない難民が入国管理センターで生きていることを知ってほしい。ウクライナ人だけが難民ではない」

「私は30年以上も日本に住んでいるが、たどり着いたのは出口の見えないトンネルだった。家族は日本にいるのに、私を帰国させるために圧力をかけてくる。家庭を壊すためあの手この手を使う。私は非人道的な扱いを受けている。すぐにでも入管収容施設から出して、家族のもとに帰してほしい」

 次に、仮放免者を代表してナイジェリア出身のエリザベスさんがスピーチ。非正規滞在者と結婚した日本人配偶者も苦しんでいることを訴えた。
「日本人女性と結婚して子どもがいるのに、難民の夫が在留資格を得られないという状況がある。仮放免者は働くことができない。健康保険にも入れず、社会保障制度も利用できない。生活は厳しい。日本政府は、難民と結婚した日本人配偶者も迫害している」

●「ウクライナ避難民の保護」は口実

 指宿昭一弁護士は、「政府は法案再提出の理由として、ウクライナ避難民の保護を挙げているが、それは口実に過ぎない」と批判する。
「法案に盛り込まれた準難民制度は、難民の要件のうち「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由」という5つの要件を不要とするものですが、この要件が不要になっても、難民として認定される人はほとんど増えません。日本では、その人が政府から特定されて狙われなければ難民認定しないという、個別把握説をとってきた。準難民制度は、この点につき、何も変えないものです。個別把握説においては、反政府組織の幹部等のレベルでなければ、なかなか認められない。アウンサンスーチーさんが亡命して来れば難民認定されるけど、末端の活動家クラスやデモ参加者なら認定されないということ。国際的にありえない基準であり、こうした点を改めないで制度をつくっても問題は解決しない。難民は、国際的な基準できちんと認定すべきだ」

注:昨年2021年度の難民認定率は0.7%(ドイツ25.9%、アメリカ32.2%)。世界でも類を見ない難民鎖国を続けている。


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