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【解説】今年の4月と5月にスターバックスでの組織化の動きを伝えた。レイバーノーツ誌の9月号ではサウスカロライナ州アンダーソン市のスターバックス店舗での2回の職場放棄の様子を報道している。全員が組合員になると大きな力を発揮できることを生き生きと描いている。(レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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スターバックス店舗でひと夏に2回のストを体験

 2022年8月22日 アネイル・トリパティ

*8月1日、スターバックスの店舗で「誘拐」事件とされた抗議活動

 アネイル・トリパティが17歳の時についた最初の仕事がスターバックスのバリスタだった。現在19歳の彼は、シフト責任者をしており、サウスカロライナ州アンダーソン市の店舗での労働組合の結成に貢献した。スターバックスが「パートナー」と呼ぶ同僚たちとともに、この夏2回のストライキを経験し、感動的で楽しい経験だと言う。

 昨年秋にスターバックス労働者連合Starbucks Workers Unitedの組織化キャンペーンが始まってから、220店舗で組合認証選挙に勝利し、少なくとも60店舗でストライキを行ってきた。同社は激しく報復し、数店舗を閉鎖し、数十人の組合リーダーを解雇し、全国労働関係局の介入を主張し、郵送による組合承認選挙の一時停止を要求した。

 さらにスターバックスは、8月1日に実施された待望の付加給付の支給を組合に加盟した店員には認めなかったので、抗議ストライキが数件誘発された。

 レイバーノーツ誌は、ピケットラインの楽しさ、スターバックスの報復、そして店長の「誘拐事件」などについて、トリパティに話を聞いた。

 5月31日に組合認証選挙の開票がありました。私はとても興奮していたので、すべてを覚えています。反対票が2, 3票あるだろうと予想していたのですが、南部で初めての全員一致での組合結成を認めた店舗となりました。

 最初の1週間は大丈夫でした。私たちはスターバックス労働者連合のシャツを誇らしく着て、「組織化されたスターバックスへ,ようこそ」という看板を掲げました。

 すると「そのシャツはスターバックスのドレスコードに反するから着ちゃダメだ」と店長が言いました。「全国労働関係法の下では、労働組合の服を着ることが許されているので、その発言は違法だ 」と私は答えました。「私は言われたことを言っただけです。次に着る人が出たら、懲罰手続きを取ります。」とその女性店長は通告しました。

 それで、私たちはしばらく着るのを止めました。私は、「直接行動を起こしたらどうだろう? と提案しました。そして、6月10日にストライキを決行しました。

ドラマチックな職場放棄

 職場放棄についてみんなの意見を聞くために、店舗ミーティングを開きました。みんな緊張していましたが、私は「いいか、ストライキは保護された行為であり、やることに問題はない。会社は一時的な代替要員を配置することはできても、私たちがストライキを終了したら職場に戻さなければならない」と言いました。

 私たちはスターバックス労働者連合のストライキ資金の適用を受ける最初の店舗となり、賃金カットの70パーセントの補償を受けました。労働組合の支持があったので、経済的な心配はありませんでした。

 一番忙しい土曜日の9時からストライキを始めました。ストライキ宣言を書いて、全員がそれに署名しました。私たちの計画は、勤務中に店の奥に集合することでした。これはとてもドラマチックなことで、普通のストのやり方ではありません。みんなで集まり、プラカードを持って、シュプレヒコールをしながら店を出ました。

 店長一人が残り、客の相手をしていました。店長はいつも私たちに仕事をさせたまま店を出て行きます。今回は私たちが出て行く番です。私たちはすぐに店舗周辺のピケを開始しました。10時頃、スターバックスはドライブスルーの客に対応するために2人の従業員を投入してきました。でも、私たちはうるさくピケを続けました。お客さんたちは 「何してるんだ? って聞いて来ました。私たちは答えました、「会社が法律を破ろうとしたからストライキをしているのであって、スターバックスは法律を無視できない」。閉店予定は1時だったのに、接客できないから12時に閉店せざるを得ませんでした。

 ストライキの間、私たちは楽しい時間を過ごしました。音楽を流し、道路に向かって叫んでいました。日曜日は店を閉めて、月曜日に再オープンしました。売上からすると、うちの店は15,000ドルの損失を出したと思われます。月曜日には、店長に何を求めているか話し合いを持ちました。もっと店内にいて、店長としての責任を果たすよう、求めました。2週間後、その女性店長は休職してしまいました。

自主営業

 6月の半分と7月いっぱいは、基本的に店長不在で、店は基本的に私たちが運営していました。私たちのシフトチームは本当に強力で、シフト責任者のうち2人はこの店舗で8年と9年働いています。何をすべきか完全に分かっていました。

 7月22日から24日にかけて、私たちは再びストライキを行いました。スターバックスは営業時間を変更しようとしましたが、それは許されることではありません。開店時間を1時間早めて午前4時にし、閉店時間を30分早めて午後8時30分にしようとしました。退勤ラッシュの時に店を閉めるのは本当に大変です。しかも、一人当たりの労働時間を不当に短縮してきました。そこで私たちは、「ストライキをやろう。好き勝手にはできないことを思い知らせよう」ということになりました。

意地の対立

 7月31日から新しい店長が着任しました。最初から「私の言うとおりにやりなさい」という感じで来たので気に入りませんでした。私たちは1ヵ月半、基本的に店舗を運営してきたので、新しい店長の言う通りになるつもりはありませんでした。

 8月1日、昇給の日でしたが、組合員は昇給が認められていなかったので、店長への抗議行動を決行しました。

 スターバックスにはパートナーセントラルと名称のウェブサイトがあり、そこにはパートナーの賃金を変更することができるオプションがあるのです。これは、店長が報酬を変更する能力を持っていることを示しています。そこで、私たちは店長に詰め寄り、「あなたには昇給させる権限がある。このサイトを使いなさい。と要求しました。

 彼女はすぐに地区マネージャーに電話をかけ、私たちの要求を無視しようとしました。自分には報酬を変更する権限がないと言いました。そこで私は、地区マネージャーと直接話させてくれ、と頼みました。新任の店長は「自分で電話して下さい」と言い、店を出て行ってもいいかと尋ねるので、私たち全員が「はい」と答えました。彼女はノートパソコンを持って店を出て行きました。

 私は地区マネージャーに電話しました。マネージャーは本社の人事部に権限があるので、電話するように言いました。私は店内にいる12人のパートナー全員に一斉に電話をかけさせ、その間45分間店を閉めました。

 人事部の回答は、店員の昇給は地区マネージャーと店長が全権限を持っているとのことでした。つまり、事実上、地区マネージャーはスターバックスが法律を破るのを幇助していたのです。私は、「法廷で会おう。私たちに答えたくないのなら、全国労働関係局の代表者に答えなければならない」と言いました。そして、みんな仕事に戻りました。

誘拐?

 木曜日になり、私はシフト責任者として勤務していると、アンダーソン市警察が来て「店長と話せるかと聞いてきました。8月1日に店で暴行と誘拐があったという通報があった、とのことでした。店長以外にはありえない、と思いました。

 私は警察に事情を説明しました。ドアの鍵はかかっておらず、店長はいつでも帰ることができたのです。法的に保護された争議行為だったのです。警察はいつも介入してくるけど、この告発が馬鹿げていると、主張しました。

 土曜日の朝、11人の仲間が人事部から電話を受け、「有給休暇を取らせるから、スターバックスの店舗に入ることはできない」と言われました。質問をしても、電話を切るだけでした。

 上部団体のワースーズ・ユナイテッドの弁護士全員の支援を得ることができました。スターバックスが私たちを解雇したとしても、私たちはシップイン(注1)や店内、店外での抗議行動を行うことができます。解雇されたとしても、私たちは戦い続けます。

(筆者のアネイル・トリパティは、サウスカロライナ州アンダーソンのスターバックス労働者連合の組合員であり、シフト責任者である。)

注1 シップ・インとはスターバックス労働者を支援するために支持者が店に行き、水を注文してチップだけを支払う、などの行動を行う戦術。公民権運動の時代に人種隔離しているレストランなどに対して取られたシットイン戦術に学んだもの。「シップ」はコーヒーなどの飲み物を啜る意味。


Created by staff01. Last modified on 2022-09-08 00:50:48 Copyright: Default

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