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【解説】前月の翻訳記事で、アマゾン労働組合のスモールズ委員長が今年の夏は 「熱い労働の夏」になると挑戦的に宣言した、と報じた。その予言どおり、労働組合結成を求めるストライキの波はロサンゼルスのストリッパーたちも及んでいる。この記事を書いたケイトリン・クラークはイエール大学4年生でこの夏、レイバーノーツでインターンをしている。 (レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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組織化を求めてストライキするストリッパーたち

  2022年7月7日
ケイトリン・クラーク(レイバーノーツ・インターン)

*ピケで仮装ショーをするストライキ中のストリッパ―

普通のピケットラインには、プラカード、メガホン、そして我慢できずに立ち上がった労働者がいる。しかし、カリフォルニア州ノースハリウッドにあるストリップクラブのスターガーデンのピケラインには、それ以外にもタコスの屋台、ダンスポール、ウッドストックやフランス革命といったテーマ別の仮装ショーなどがある。

スター・ガーデンのダンサーたちは、3月中旬からストリップクラブをピケしている。危険な労働条件に抗議して職場放棄し、店からロックアウトされたのだ。

彼女たちストリッパー労働組合(Strippers United)の組合員で、労働組合としての承認を求めて闘っている。ストリッパー労働組合は、1997年にサンフランシスコのストリップクラブ、ラスティーレイディーのストリッパーたちが全米従業員労組SEIUに組織されて以来、初のストリッパーの労働組合となる(このクラブは2013年に閉鎖された)。

抗議のきっかけとなったのは、3つの事件だった。一つ目は、トップダンサーの一人が、当直の警備責任者に安全上の懸念を報告したことだ。ある客が付き纏い、危険を感じたのだ。しかし、その客に殺されるかも知れない、とその警備員は悪質な冗談を飛ばしただけだった。

「警備責任者は基本的に私が悪いのだと言い、何か誘うようなことをしたに違いないと言いました」と、彼女は語る。彼女が立ち上がって抗議し始めると、「口答えをした」という理由で解雇された。

その直後、チャーリーという名のダンサー(以下全て源氏名)が、知らないうちに客に撮影されていた。これは、全米のストリップクラブで禁止されている行為である。ある同僚がその客にスマホをしまうように頼むと、「騒ぎを起こした」という理由でクビになった。

三つ目の事件は、経営者が従業員に対して、危険な状況に陥ったときに警備員を呼ぶことはもうできないと告げたことだ。その代りに経営者に報告しろ、ということだった。しかし、その経営者は現場にほとんどおらず、安全上の緊急事態に迅速に対応することができないのだ。

「お客がビールを飲み、ダンスを見ている限り、店にとっては何も問題はないのです」とチャーリーは語る。

不信感を克服

リリスがこの1月にスター・ガーデンで働き始めたとき、仲間たちがロッカールームやグループチャットで危険な労働条件について話し合っているのに気づいた。「ストリップクラブでは特に、ストリッパーの多くが自分の生活の秘密を保とうといます。」と彼女は言う。「仲間を信用しないという文化があります。」

「その文化は、おそらく経営者がダンサーに植え付けたものでしょう。ダンサーたちが連帯して自分たちの状況を改善しようとしたら、自分たちが困るということを知っている人たちによるものでしょう」と彼女は言う。 だから、スター・ガーデンのダンサーたちが組織化を決意したとき、経営陣によるビデオや音声による監視に加えて、こうした社会的規範をうまく回避しなければならなかったのだ。

リリスと仲間たちは労働組合組織委員会を結成し、毎週仕事以外の時間に集まり、安全対策の改善を求める嘆願書を作成した。24人のダンサーのうち、16人の署名が集まった。

嘆願書を届けたとき、その16人の労働者は、もし経営者がその場で要求に応じないなら、職場放棄すると脅した。スター・ガーデンは彼女らに立ち去るよう命じ、それ以来、入店を拒否している。

最初の2週間は、ピケ隊は毎日クラブの外に立ってピケを張っていた。現在では、労働者と地域の協力者が週に一度、ピケを行っている。

メディアは 「ストリッパー」がストライキ

という報道を展開している。ピケラインを無視して店に入る客がいたり、仕事中の性的暴行があっても経営者がダンサーたちを守ろうとしない、など厳しい話はある。しかし、賑やかな抗議行動で励まされている、とオルグたちは語る。

「信じられないほど過酷ですが、人生で最もやりがいのある楽しい経験でもあります。」とリリスは言う。チャーリーにとっても「大変だけど、賑やかで、魔法のような運動 だと言う。

奪い取られる賃金

ダンサーを組織化する上で最大の障害のひとつは、ストリッパーが個人事業主であるという分類である。ダンサーは普通、クラブにお金を払ってスペースを「借り」、ダンスというサーピスを売っている。しかし、スターガーデンがあるカリフォルニア州は、2019年に議会法案5が可決されて以来、ストリッパーを労働者として分類している唯一の州である。

議会法案5は、ギグワーカーを個人事業主と見なしている誤りを正すためのものだった。しかし、2020年にウーバー、リフトなどは、ライドシェアの運転手やアプリを使った配達員を労働者から除外する住民投票条例22を通すために2億ドルを投じ、そのほとんどの労働者を除外することに成功した。

議会法案5は、ビル清掃会社、ソフトウェア会社、ストリップクラブなどの企業にはまだ適用される。しかし、これは最低賃金の支払いが義務付けられたことを意味するが、多くのクラブは、労働者がダンスで稼いだチップを手渡すよう要求するなど、その金の一部を回収する抜け道を見つけたのだ。

「この業界は、ダンサーを使い捨てのように扱っている」とチャーリー。「ストリップクラブの組織化の成功例になりたい」とリリスは言う。「組合結成を目指す他のクラブを助け、そのための資財を提供したい」。


Created by staff01. Last modified on 2022-08-01 09:00:15 Copyright: Default

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