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参議院選挙の取材ノート(その3)

森 健一
 先日、東京選挙区の総括論議を市民運動の仲間と交わした。論点をまとめた。

【1】安倍もと首相狙撃暗殺事件

 事件発生前後の動画、写真からは現場には緊張感が見られない。山上徹也容疑者 (41才)が元海上自衛隊員と速報にあがるが、母親が信者であった統一教会の名は数 日間、伏せられた。投票日2日前の事件で「消費税がじつは法人税などの減税に使わ れていた」との批判世論はかき消された。自民党に弔い、同情票として1割でも上乗 せになった分、事件は岸田首相の自民党を議席増に利したことになる(小沢一郎)。

【2】事件で財政緊縮派・財務省は有利に

清和会という派閥の領袖を失って、「財政政策検討本部」(西田昌司、高市早苗ら積 極財政論)にはダメージだ。一方、西田がいう「財務省の代理人」=「財政健全化推 進本部」(宏池会、緊縮財政論)には今後、政局では有利となる。安部もと首相は 「日銀は政府の子会社だ」とアベノミクス(金融緩和、財政出動、産業投資)を継承 せよと菅義偉、岸田にも求めたが、岸田首相は財務省に素直だ。秋に予定される「国 葬」も清和会に対するガス抜きではないか。米国の国務省も吉田茂→池田勇人→大平 正芳→宮沢喜一など大蔵官僚らの宏池会を対日政策の代理人と見なし、岸信介から安 倍晋三につながる党人派、清和会が米国の意向を越えようものなら捨てる。1960年の 安保改定がそうであった(孫崎享)。

【3】戦後の暗殺、不審事件の真相は闇のまま

 1976年のロッキード事件でキッシンジャーの不興を買った田中角栄は失脚させら れ、中曽根という「巨悪」が残った(春名幹男)。1997年、日米通商問題で橋本龍太 郎は「米国債を売りたい衝動に駆られる」とジョークを飛ばし、NYダウは192ドル下 落、「もし売るようなことがあれば(米国への)宣戦布告とみなすと脅された」と囁 かれた(丹下智博)。 

 米国債を売る、在日米軍基地の機能縮小など、米国というトラの尾を踏み、逆鱗に 触れた戦後政治家は失脚させられた(鳩山由紀夫、小沢一郎)。米国の忠犬は宏池会 である。

 ロシアのプーチンと絆を深めた安倍もと首相は、天然ガス開発「サハリン2」プロ ジェクトに「資源・エネルギー」特別会計から100億ドルを投じた。日・露(オルガ ルヒ)の双方に利権、金脈がある。米国が単独で押さえる石油メジャー(米ドルで決 済)との世界規模でのエネルギー資源をめぐる角逐がある。政治事件には水面下の利 権、金脈がある。

【4】「国葬」決定に市民は反発

 事件直後は「言論封殺を許すな」であったが、数日して「自民党と統一教会との 闇」に関心は移り、次いで国費を全額、投じる「国葬」に反対と風向きは変わった。 この秋、武道館でのセレモニーには反対の意思を集会・デモで示そう。「大喪の礼」 (皇室典範)しか根拠法はないのだ。れいわ+共産党+社民党の3党だけが明確に 「国葬」反対だが、立憲民主党は動揺している。参議院選挙の総括や憲法問題への基 本姿勢とも重なる。


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