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名古屋地裁 : ウィシュマさん死亡事件の真相究明裁判が始まる
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6月8日、名古屋地裁でウィシュマさん死亡事件の国の責任を問う裁判がはじまった。第一回口頭弁論では、代理人と妹2人の意見陳述があった。以下、紹介する。(写真=東京新聞の報道)

●代理人 児玉昇一弁護士の意見陳述 : ビデオの提出命令を求めます

「ああ」

 私達は証拠保全の手続で、2021年2月22日から3月6日までのビデオの一部を視聴しました。
 最初の「ああ」は、その初期の方で、ウィシュマさんが発した叫び声です。
 ですが、亡くなる直前の3月5日、ウィシュマさんは消え入るような声で「ああ」と漏らしました。
 文字にすると、同じ「ああ」の二文字です。
 声を文字おこししただけでは、その大きさ、調子、そこに込められた感情、気持ち、何もわかりません。
 動きについても同じです。
 最初の方では、ウィシュマさんは自力では歩けなく放っていましたが、上体は普通に動き、自らの力でベッドに上体を起こすこともできていました。
 ですが、亡くなる直前には頭が少し動くくらい。ワヨミさんもポールニマさんもご遺体が姉とは信じられない、老人のようだったと言っていましたが、亡くなる直前の動きはとても33歳の女性のものとは思えないものでした。
 体の動く範囲、スピード、そして2月22日から3月6日までどのように変化があったのか。静止画をいくら並べてみたところで決してわかりません。
 映画のパンフレットを読んだだけでは、映画を見たことにはならないのです。

 ポールニマさんは私達と一緒に5時間22分16秒に及ぶ動画を見ました。ですが、ワヨミさんは証拠保全の前に法務省で1時間見ただけです。そして、お母さん。先ほどワヨミさんが、お母さんはウィシュマさんが亡くなったあとずっと泣いている、亡くなったとは信じられないと言っているということでした。そのお母さんは一秒たりとも見ていないのです。

 ご遺族には、真実を知る権利があります。

 そして、裁判官のみなさん。皆さんには、真実を知る責務があるのではないでしょうか。

 裁判所の職員が付けているバッヂは、三種の神器の一つ、八咫鏡(やたのかがみ)をモチーフにしたと聴いています。これは、真実を曇りなく照らす鏡のように、という思いからということです。
 静止画を見たり、声の文字おこしを読んだだけでは、真実を曇りなく照らす鏡にはなれません。

 ウィシュマさんの事件について、真実を曇りなく照らす鏡になるため、ぜひ、ビデオの提出を命じて、ご覧になってください。

ワヨミさん口頭意見陳述(pdf)

ポールニマさん口頭意見陳述(pdf)


Created by staff01. Last modified on 2022-06-13 09:14:05 Copyright: Default

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