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LNJ Logo サンケン木曜行動(4/21)報告 : 韓LED灯具生産は2年前に労使協議もなく譲渡されていた?!
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●韓国サンケン労組を支援する会・4月21日第78回木曜行動報告

LED灯具生産は2年前に労使協議もなく譲渡されていた?!

 4月も下旬に入り、埼玉県新座市内のサンケン電気本社敷地内の桜の花もすっかり落ちた。それでも早朝は時々冷たい風が頬を撫でる。第78回木曜行動は、早朝の本社前から韓国サンケン労組の仲間の似顔絵パネルが並び、賑わいだ。志木駅南口、池袋の東京事務所ビル前まで延べ参加人数は93人となった。

 この日のキム・ウニョンさんの発言でも触れられたが、サンケン電気のホーム・ページにとんでもない記載があった。韓国サンケンで生産されていたLED灯具製品の生産を「2020年3月末」をもって終了し、二ジェス株式会社に譲渡したことが記載されていた。アクセスしにくいページの隅っこにあったので、いつから掲載されたか不明だ。韓国サンケンにとってこんな重大な決定を、労働者に知らせることなく、労組と協議することもなかった。そしてその年の7月9日に本社ホーム・ページで韓国サンケンの廃業を公表した。キム・ウニョンさんが指摘する通り、十分に韓国サンケン労組と話し合う時間はあったはずではないか!労組潰しのための廃業であることを、本社自ら告白したようなものだ。

 例えばサンケン電気の「無停電電源装置(UPS)、航空障害灯などを含む社会システム事業部門」が2021年5月1日にGSユアサに業務譲渡されたが、譲渡された部門の労働者はGSユアサに雇用が継続された。このことは私たちが毎週面談している東京事務所のI氏とのやり取りでも明らかになっており、東京事務所の一角が「GSユアサ」の表示に変えられたことも確認している。しかし韓国サンケンのLED灯具生産の譲渡に当たっては、雇用の継続どころか、譲渡の事実そのものが韓国サンケンの労働者には知らされることもなかった。韓国人労働者には知らせる必要もないということか?これは明らかに民族差別ではないのか?

≪4月21日 7時過ぎ 本社正門前「季節は春だが、私たちの心は寒風吹きすさぶ中にある!」≫

 支援する会の仲間の発言でスタート。「6月の株主総会に向けて、サンケン電気の株主企業だけでなく、サプライチェーンの関係先も含めて要請行動を展開する。韓国サンケンの偽装解散・解雇問題から逃げ回るサンケン電気を必ず追い詰める!」

 韓国サンケン労組のイ・ミョンヒさんからオンライン・アピール。「日本のみなさんへの感謝から発言を始めたい。日本のみなさんの健康が気になる。和田会長に言いたい!私は32年間韓国サンケンで働いた。妹も28年働いた。そんな長い間働いた私たちを、和田会長、あなたは一夜で路上に放り出した。闘い始めて647日目を迎えた。私は先日ソウル上京闘争から戻ったが、妹はいまもソウルにいる。和田会長!ご家族と暖かい部屋で団欒しているのではないですか?私たちは冷たい路上で朝を迎える。先日、私は国会で一人デモをした。多くの人が桜の花を見て写真を撮ったりしながら歓談していた。2017年の労使合意が守られていれば、私たちも同じように桜の花を見て歓談していただろう。季節は春だが、私たちの心は寒風吹きすさぶ冬の中にあり、カチカチに凍っている。私たちも暖かい春を満喫できるように、和田会長!合意を守ってください!私たちがどんなに真面目に働いたか、よくご存じでしょう!工場が再開すれば、私たちは誰よりも一生懸命働くだろう。サンケン電気が約束を守る企業であるという姿勢を、しっかりと示してください!私たちがソウルでテント闘争を余儀なくされるのでなく、ほかの労働者と同じように平凡な生活を送れるように、工場を再開してください。日常生活を取り戻させてください。日本のみなさん!寒暖差が激しいので、風邪には気をつけてください!闘争!」

 韓国サンケン労組のキム・ヒョンガン事務長が続ける。「毎日闘いで飛び回っているので、みなさんとこうしてオンラインでお話しできるのは3週間ぶりです。冬は寒さと闘い、夏には暑さと闘う日々が続いている。しかし、労働者であれば、働く現場で汗をかきたい。韓国サンケンの工場で働いた日々が懐かしい。サンケン電気の労働者のみなさん!私もあなた方と同じように、毎日通勤し、同僚とコーヒー飲みながら会話をする時間もあった。累積赤字を理由にして韓国サンケンを廃業したが、赤字は意図的に作られた。廃業は誤った決断だ。サンケン電気は韓国サンケンに新たな投資をしなかった。韓国サンケンが47年間自由貿易地域で上げた利益の10%でも韓国サンケンに投資していれば、廃業する必要などなかった。韓国の地で他の会社を買収して事業を拡大しながら、韓国サンケンでは作れば作るほど赤字になるようなことしかしなかった。5年前の『工場の正常化』の約束が、廃業に変わるなどあってはならない。約束は守られ実行されなければならない。私は20代で入社し今は50代半ばになる。30年働いた労働者は会社から感謝されて当然だが、そんな労働者を一方的に解雇するとは、普通の会社がすることではない。経営者は会社を引っ張っていく役割がある。経営者の誤った判断で労働者が苦しんでいるなら、きちんと対応しなくてはならない。今回の事態は、サンケン電気にとって重大な事態だ。赤字の責任は経営者にある。韓国サンケンの工場を元に戻すことを求める。工場は経営陣には単なる利潤追求の場かもしれないが、労働者にとっては働く場であり、生活の場だ。日本のみなさん、健康に気をつけてください!」

 キム・ウニョン副支会長が続く。「朝早くからの連帯闘争に立ち上がってくれている日本のみなさん、お早ようございます。サンケン電気の誤った判断で、私たち韓国サンケン労働者は塗炭の苦しみに叩き込まれている。最近、サンケン電気のホーム・ページを見ると会社のQ&Aがあり、そこにはサンケン電気の一部門を別会社に業務譲渡してその部門の労働者の雇用を維持した、とあった。事業の譲渡先と話をして労働者の雇用を維持した、という内容だ。子会社を売却したり業務の一部を譲渡する際には、先方の会社と労働者の雇用維持について話し合ったということだ。しかし韓国サンケンの労働者に対しては違った。サンケン電気は47年間も韓国内の企業活動で莫大な利益を上げて来たのに、2019年の段階から韓国サンケンの廃業の準備を始めた。ホーム・ページには2020年3月末日にLED灯具生産活動を終了し譲渡する決定をした、とある。しかし、その年の7月に廃業決定を公表するまで、生産活動の終了も譲渡も私たちは知らされなかった。話し合いをする時間は十分にあったはずだ!2020年3月末から7月9日までの時間は、何だったのか?その時期は、コロナで多くの国が国境を閉ざしていく時期で、私たちも日本遠征闘争もできない時期だった。韓国サンケンの社長の話では、サンケン電気本社はコロナで2年は来日できないから、この時期に韓国サンケンの廃業を決断した。本当に破廉恥な企業だ。感染拡大で工場閉鎖を余儀なくされ、店も締めざるを得なくなる時期に、韓国サンケンの労働者を路上に放り出し、生きる権利を踏みにじった。韓国の新大統領は24日に政策協議団を日本に派遣することを発表した。それは日韓関係の『改善』が目的とされているが、私たちから見れば歴史に汚点を残す決定だ。しかしそれは同時に、私たちにとっては日本遠征闘争できる日が近いことでもある。私たちは本社に必ずやってくる。本社の責任を追求し勝利する。同時に尾澤さんの不当逮捕を謝罪させ、補償させる。そのために日本に行く。日本遠征闘争を指折り数えて待っている。本社に責任を取らせる決意だ。日本のみなさん、今日も一日、力いっぱい闘いましょう!闘争!」

 埼玉市民の会、旭ダイア工業の仲間の発言の後、正門前に並んでサンケン電気本社に向かって全員でシュプレコール。志木駅南口に向かう。

≪4月21日 9時 志木駅南口「韓国の労働者にも幸せになる権利がある!」≫

 志木駅南口に移動し、まず埼玉市民の会の仲間の発言でスタート。韓国サンケン労組のキム・ウニョン副支会長からオンライン・アピール。「私は1990年に韓国サンケンに入社した。当時は馬山輸出自由貿易地域は日本の進出企業で溢れ、労働者もたくさんいた。日系企業では80年代後半に工場が次々と建設され、労働争議も多かった。労働者に事前の通知もなく、お金を振り込んで解雇するのが常態化していた。韓国の労働者はこれに屈することなく、日本遠征闘争をして日本の本社とやり取りし謝罪も勝ち取ったこともある。この遠征闘争に日本の労働者市民が連帯し大きな力を発揮したことも知っている。その後日本企業は反省することなく、突然の廃業、解雇もあった。韓国サンケンもそうだった。90年代後半に、日系企業が移転・撤退する企業が多かった。韓国サンケンも97年にインドネシア移転があったが、これは占拠したりして闘争を展開し移転を阻止した。5年前にも指名解雇を阻止した。会社は30年間、労組への弾圧を繰り返した。インドネシア移転を阻止したときの合意も守られなかった。5年前の約束もズタズタに破られた。別のところで生産活動を進める一方で、韓国サンケンの工場正常化の約束もあったのに廃業にされた。私たちがどんな悪いことをしたというのか!韓国労働者にも幸せになる権利がある。家族とささやかな幸せを享受する権利がある。世界8位のグローバル企業が12人の労働者の雇用を守れない訳が無い。必ず勝利する。日本に遠征しみなさんと共に闘う日が近づいている。闘争!」

 イ・ヘミンさんが続ける。「市民のみなさんに、サンケン電気による偽装廃業と不当解雇に対する私たちの悔しい気持ちを伝えたい。2020年にコロナで大変な時期に、サンケン電気は韓国サンケンの廃業を決定した。しかしサンケン電気は韓国から撤退したわけではない。昨年は200億円以上もの売上を上げている。なぜ私たち韓国サンケンの労働者が解雇されねばならないのか!私は韓国サンケンで数十年間働いたが、これまで2回解雇された。昨日ある会社で集会があった。毒素性の物質に晒されて、労働者が被害を受けた。私も集会に参加しながらその毒素性の空気を吸い込んでいるように感じた。家族もいる仲間もいる中で、その恐怖をひしひしと感じた。労働者は父であり母であり、家族に責任を負っている。だからこそ健康で働く権利がある。一人一人が貴重な存在だ。駅を行き交うみなさんの姿が羨ましくて仕方ない。でも私は必ず現場復帰できるその日が来ると確信している。それまで闘い続ける。日本のみなさんに感謝します。キョウモガンバリマショウ。闘争!」

 ヤン・ソンモさんが続ける。「日本のみなさんの闘いを見て、励まされ、勝利への確信を持つ。私はサンケン電気に不当解雇された。きょうも悔しい気持ち、怒りを抑えきれない状態の中でアピールしている。サンケン電気により一方的に廃業となり路上に叩き出された。サンケン電気は利益追求だけ考えて、労働者のことは何も考えなかった。名ばかり社長を前面に立て、重要なことは本社が全て決定してきた。日本にある営業所の閉鎖には雇用確保も含めて事前に労働者や組合と相談していると聞いている。ところが韓国では事前の話合いが全くない。闘いが始まってから648日が過ぎたが、本社は『韓国のことは韓国で』と言うばかりだ。私たちの要求は『話し合いで問題解決しよう』と、この一点だけだ。市民のみなさん!サンケン電気に労組との話し合いに応じるように伝えてください!コロナの制限も解除されつつあり、終わりが見えてきた。国境の障壁も無くなる。私たちはコロナ防疫が解除されれば、日本に行きサンケン電気本社に直接訴える。ホーム・ページを見ると、サンケン・コリアの取締役が本社の取締役に昇進するようだ。サンケン電気は労組潰しで自らの地位の昇進を図り、社会的地位の上昇を図った。こんなひどい企業を許していいのか!サンケン電気は過ちを改めるべきだ。コロナで来日できない、韓国労働者も諦めるだろうという考えを改めなければならない。私たちは最後まで闘う!サンケン電気の過ちを正していく。話し合いに出てくるまで闘う!」 ゆいの会&女闘労倶楽部の仲間による『朝露』の合唱。サンケン太郎、ノレの会の仲間の歌が続き、最後に明大生協労組の仲間の発言で締めくくり、池袋に向かう。

≪4月21日正午 池袋東京事務所ビル前「労使合意書は、破るためではなく、守るためにある!」≫

 南池袋のサンケン電気東京事務所ビル前の歩道で、昼休み集会スタート。支援する会の渡辺共同代表が発言し、韓国サンケン労組のキム・ヒョンガン事務長からオンライン・アピール。「きょうの韓国は気温が25度もあり、とても暖かくなった。資本の貪欲な欲望の犠牲になるのは労働者であり、使い捨ての道具のように扱われる。しかし労働者も人間だ。会社が約束を守ると信じて働いた。赤字が廃業の理由とされているが、それは経営者が解決すべき問題だ。赤字の責任を労働者に負わせるのは誤りだ。サンケン電気は他の会社に投資したが、それなら韓国サンケンに回すべきではないか。そうすれば韓国サンケンも廃業する必要は無かった。労働者に説明もなく話し合いもなく廃業した。労使合意書は守るためにある!私たちの復職とサンケン電気本社の謝罪が必要だ。契約が一方的破棄は違法行為だ。労働者は雇用契約の解除に合意した事実はない。コロナで私たちが日本に遠征できない機会を狙った。コロナで世界中の人々が苦しんでいるときに解雇する、それが、サンケン電気のやり方だ。『差別しない』と言いながら差別する会社がサンケン電気だ。私たちに連帯する市民を不当逮捕させたのもサンケン電気本社だ。みなさんの小さな関心が大きな力になる!」

 埼玉市民の会、群馬合同労組、山日労、支援する会の仲間、尾澤邦子さん、在日韓国青年同盟、京浜ユニオンの仲間からリレートーク。最後に藤久ビル7階、8階のサンケン電気東京事務所に向かってシュプレヒコールを浴びせ、木曜行動を終了した。

支援する会ニュースNO.79(pdf)


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