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〔週刊 本の発見〕笠原十九司『日中戦争全史・上巻』 | ||||||
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戦争の前史と前夜が見えてくる『日中戦争全史・上巻』(笠原十九司 著、高文研)評者:志水博子
そういう私も、小学生の頃は、日本はアメリカに敗けたのだと思っていた。その頃中国のことはどう思っていたかよく覚えていないが、少なくとも日本が侵略戦争を仕掛けたとは恥ずかしながら思っていなかった。学校で習った記憶もはっきりしない。ずっと後になって、日本は中国に敗けたと聞いて驚いた記憶がある。そのぐらい何も知らなかった。 数年前のことであるが、日本語教師として中国大連で3年間を過ごした。12月の大学には一二・九運動のポスターが貼られていたが、なんのことかわからなかった。それどころか満州事変、上海事変、盧溝橋事件、南京大虐殺、それらが頭の中で点在しているだけで線にならない。それに日本で起こった事件との関連も見えない。まして国際情勢の中に位置付けることなどできもしない。いかに自分が歴史を知らないか痛感した。それがようやく、本書によって繋がり始めた。著者は、私のような何も知らない読者のために、最初の20頁を割き日中戦争の鳥瞰図を示してくれている。これはありがたかった。
731部隊を、南京大虐殺を思うとき、日本人はなぜあんな残酷なことをしたのだろう、いや、そもそもなぜ侵略戦争を起こしたのだろう、それがわからなければ、繰り返さないという保証はどこにもない。いま、おそらく多くの人が戦争を懸念しているのではないだろうか。私もそのひとりであるだけに、戦争を読み解きする能力がほしい。
それにしても、侵略する側の謀略に次ぐ謀略、陳腐な縄張り争いには呆れるほどであった。徹底的な情報操作、上意下達の官僚組織、成果を狙う野心に満ちた人々、何もかもが今も繰り返されているようで怖い。一方、侵略される側の抗日の思いや運動が正直ここまで強いものだとは知らなかった。一二・九運動は、「抗日救国のための自由を求める宣言」のもと1935年12月9日に立ち上がった学生たちの運動であった。続けて下巻を読もうと思うが、上巻だけでも中国を侵略しようとした日本が中国に敗けたわけがわかったように思った。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・志水博子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子、黒鉄好、加藤直樹、ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2021-08-26 10:53:07 Copyright: Default |