本文の先頭へ
「コロナ下では、原発は止めておけ!」仮処分弁護団の声明
Home 検索
情報提供 : さくら共同法律事務所

2020年5月18日、新型コロナウィルス感染の猛威を理由として、関西電力に対して
原発の運転差止め仮処分を大阪地裁に申請しました。
(対象は高浜原発1号機〜4号機、大飯原発3・4号機、美浜原発3号機)
3月17日、大阪地裁は住民の申し立てを退けました。
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/video/21-3-17/

本日3月31日が不服申し立て(即時抗告)の期限となっておりました。
弁護団と申立人らは、熟慮の末、不服申し立てを見送る判断をし、声明を出しました。

---------------------------------------
弁護団声明
(大阪地裁不当決定の是正について)

2021年3月31日
コロナ下では、原発は止めておけ!仮処分弁護団

1   所詮、他人事だと思っている。
2021年3月17日の大阪地方裁判所(裁判長内藤裕之)による却下決定(以下「本決
定」という。)は、それに尽きる。
 明日、巨大地震などによって福井県の原発で福島第一原発のような事故が自分たちの身
に起こったとしたら、どうやって家族や友人、自分の大切な人たちを守るのか誰でも不安
になるはずである。
原発に限らず、科学技術を用いた設備の安全性に絶対が無いことは誰でも知っている。そ
うだとしたら、原発の重大事故に備えることができているのか、誰でも真剣に考えるので
はないか。そうすれば、三密が禁じられるコロナ禍において、三密にならずに避難できる
準備が本当にできているのか、誰でも真剣に検討するのではないか。これが、コロナ禍で
の避難の実効性を争点とした我々のシンプルな問題提起である。また、コロナ禍における
避難に関する避難先アンケート結果に反映された人々の問題意識も同様のものであった。
しかし、本決定では、避難計画の不備のみでは原発の運転を差し止める理由にならないと
判断した。裁判官も我々と同様に福島第一原発事故を目の当たりにしながら、原発事故に
備えることを当然の前提としないのはなぜか。そのような事故は他人事で、自分には起き
ないと思っているからだろう。
 奇しくも、本決定の翌日、水戸地方裁判所(前田英子裁判長)では、福島第一原発事故を
教訓とし、避難計画及びその実行体制に不備があることを理由に、東海第二原発の運転差
止めを命じる判決が出された。本決定と水戸判決は、同じ争点なのに真逆の結論となった
。その違いの理由は、裁判官が、原発事故を自分ごととして想像し、考えを巡らせたかど
うかだろう。

2  我々は、福島第一原発事故で実際に避難した人たちの痛みに思いを馳せ、事故を風
化させずに自分ごととして考え、今後同じような悲劇を起こさないための主張をしてきた
。法廷では、福島第一原発事故の被災者でもある申立人が、裁判官の面前で、原発事故に
おける避難がいかに難しいものであるか、その経験を語った。しかし、本決定からすると
、裁判官はこの被災者の切なる声と向き合ったとは到底思えないものであり、我々は強い
憤りを禁じ得ない。

3  また、我々は、どれだけ原発の安全性を高めたとしても、重大事故に備えるべきと
いう当然のことも主張してきた。大きな船舶には、いかにその安全性を高めても、事故に
備えて救命ボートを備え付ける。不備のない救命ボートがなければ船舶は運転できないと
いう結論には誰も違和感がないだろう。しかし、本決定の考え方によれば、救命ボートが
必要な事故が起きる具体的危険がなければ、救命ボートに穴が開いていてもその船を航行
させて構わないということになる。

4  福島第一原発事故のような原発事故に対して備えをしなければ、多くの人の命や人
生を奪う事態になりかねない。原発事故の際に、実効性のある避難によって人の命を守れ
るのかという問題に向き合おうとしない本決定をそのままにしておくことは許されない。
我々は断固として本決定を是正していく。そして、その是正の場は、本決定の抗告審では
なく、より広く、より多くの国民が参加できる社会活動や他の裁判手続を通じて実現して
いく。
我々は、この声明を通じて、本決定の是正を誓い、かつ、1人でも多くの人が自分や大切
な人のかけがえのない人生を守るために、我々の活動に参加するよう呼びかけるものであ
る。

以上


-- 
――――−−−−−−‐‐‐‐‐‐‐‐

松田奈津子

さくら共同法律事務所
http://www.sakuralaw.gr.jp/
弁護士 河合弘之 原発担当

脱原発弁護団全国連絡会 事務局
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/

〒160−0004
東京都新宿区四谷一丁目6番1号 四谷タワー8階
さくら共同法律事務所
電話:03−6384−1120(代表)
       03−6384−1153(直通)
FAX:03−6384−1121
**事務所が移転しました**
E-mail:natsu★m.email.ne.jp
    ★→@に変えてください

【河合弘之】
  http://lawyer-kawai.com/ 

Created by staff01. Last modified on 2021-03-31 10:38:49 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について