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利便性の名の下に公共が破壊される!〜『デジタル・ファシズム』読書会報告

11月6日(土)午後2時から第32回〈レイバーブッククラブ 〉読書会が開かれた。参加者は初参加の方を含め11人で、取りあげた本は『デジタル・ファシズムー日本の資産と主権が消える』(堤未果、NHK出版新書)だった。

『デジタル・ファシズム』は、行政、金融そして教育、それぞれの分野での「デジタル化」の問題点が的確にまとめられ、警鐘が鳴らしている本として参加者の評価は高かった。討論で、行政と教育の現場で今何が進行しているかの実態が多く語られた。デジタル庁の発足はこれからデジタル化を進めるのではなく、各省庁にバラバラになっている個人データを一気に統合して行こうとするもの。

教育現場では生徒一人一人の成績、学校生活、健康状態・素行・家庭環境などがデジタル庁に集約される。ボストンコンサルティング、NEC、ベネッセなどがこれに深く関わっているが、発足反対の運動は政党レベルはもちろん市民運動も極めて弱かった。学校現場の教育労働者も疲弊させられ自主的な教材作りなどの時間が奪われている。他面生活の中でデジタル化に少しでも抵抗できることはないだろうか、あるいは利便性に巻き込まれてなし崩しに公共性が破壊される状態に、どう歯止めをかけるかなどの議論も活発に進んだ。

35年教員をしてきた愛知の小野政美さんは、「子どもは悩んで躓きながら成長する。それに寄り添うのが教師だった。ケンカしたり言い争ったりすることが大事だが、デジタル教育でいっさいなくなる。いま医者は患者を見ずにPC画面をにらめっこしているが、教員も同じことになる。とても危険なことだ。教員組合はこういう問題にこそ取り組むべきだ。ただ過労死寸前まで働かせられて余裕のない職場実態がある」と熱く語ってくれた。

次回は12月18日(土)午後2時開会でやはりオンラインです。取り上げる本は改めてご案内します。(志真秀弘)

「レイバーブッククラブ」情報


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