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【解説】コロナ禍でもニューヨーク市の従業員の多くはエッセンシャル・ワーカーとされ、仕事を現場で続けてきた。9月には一部リモートワークをしてきた職員に対して、市長が労使交渉なしに一方的に職場復帰命令を出した。レイバーノーツ誌10月号はこの命令に対して抗議活動を展開した労働者たちの運動を報道している。(レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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急な対面勤務命令に抗議するニューヨーク市職員たち

ジョー・デマニュエルホール(レイバーノーツ・スタッフ) 2021年9月14日

*職場復帰前日、150人の市職員が職場復帰命令に抗議

過去18ヶ月間、主にリモートで仕事をしていたニューヨーク市の職員8万人が、わずか2週間足らずの予告で、今週からフルタイムの対面勤務を命じられた。

ニューヨーク市の30万人の職員の大半は、すでに職場に戻っていた。清掃労働者や医療従事者など、大半の職員は現場の仕事を続けていた。残りの8万人は、市が「不要不急」とみなし、オンラインで仕事していた職員たちだった。

全国では、官公庁や民間企業で働く何百万人ものオフィス労働者が、リモートでの仕事に従事してきている。特にパンデミックが続いている間は、その柔軟な働き方を維持したいと考えている人が多い。フェイスブックのような巨大情報企業を含む大企業の一部は、通常勤務への復帰を遅らせている。

ニューヨーク市では、職場復帰日の前の一週間、さまざまな集まりが持たれた。労働組合の支部や一般組合員のグループがオンラインで会議を開き、オフィス勤務復帰命令について議論し、対応策を練った。

わずか2週間前の予告

職場復帰の前日、150人の市職員が市庁舎に集まり、抗議行動が行われた。何ヶ月も前からうまくリモートワークをしていた職員たちからは、「こんなことが本当に必要なのか」という不満が噴出した。また、市当局が明らかに計画性に欠いていることも問題とされた。

「何千人もの市職員が、自宅でこれまで効率的にやってきた仕事をするために、換気の悪い場所で働かされることになる」と、集会に参加したある市職員は言う。ソーシャルディスタンスが取れない狭い空間で、ほとんどあるいは全く換気もできないと、訴える。また、当局はほとんど、何の準備もしていない、と言う。職員たちは、「リモートワークを!」「パワーポイントはどこでも出来る」と書かれたプラカードを掲げていた。

職場復帰命令が急で、行き当たりばったりだったため、反対運動を組織するのが困難だった。デ・ブラシオ市長が復帰命令を発したのは、開始まで2週間を切ってからだった。職員たちが職場に戻っても、具体的な仕事のやり方はまだ決まっていないことが多かった。

市の最大の労働組合AFSCME(アメリカ州郡自治体従業員組合連合)地区評議会37は、これまでも勤務再開に当たり市長と交渉を求めてきたが、今回も交渉を拒否された。組合は法的対抗手段を取り、労働条件について交渉するよう市に命令することを求めているが、職員たちはすでにオフィスに戻って働いている。

不動産業界のため

市職員をオフィスに戻すのは、ニューヨーク市の経済と商業不動産部門を活性化させるための露骨な試みである。不動産開発業者や不動産所有者は、市にその役割を期待している。市は大規模な雇用主として何万人もの労働者を強制的にオフィスに呼び戻す力を持っているため、労働者を呼び戻せていない多くの雇用主の模範になろうとしているのだ。

5月にニューヨーク市がリモートで働いている職員を初めてハイブリッド方式でオフィスに呼び戻そうとしたとき、デ・ブラシオ市長は「ニューヨークが前進しているという力強いメッセージ」だと語った。ニューヨークの強力な不動産ロビーの代表者は、「これは何よりも大きな弾みとなる」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。

ストライキはできないのか?

市職員の活動家たちは、仲間たちの直感的な反応を今後の組織化に生かすことができると期待している。市の住宅局の建築士で、DC37のローカル375の支部長を務めるジョシュ・バーネットが集会で参加者に語りかけた。「久しぶりに仲間たちが『ストライキはできないのか、病欠闘争はできないのか?』と言っているのを聞いた。」
「『組合はどうするつもりなのか』と私に尋ねるのではなく、『私たちは何ができるのか』『私たちは何をしようとしているのか』と尋ねてくるようになった。こんなことは初めてだ。」


Created by staff01. Last modified on 2021-10-01 09:59:10 Copyright: Default

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