本文の先頭へ
LNJ Logo 米国労働運動 : Amazon社でこれまで最大の組合組織化攻勢
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0401us
Status: published
View


【解説】レイバーノーツ誌4月号はアラバマ州のアマゾン社倉庫での 組合組織化の動きを伝えている。2月28日にバイデン大統領が異例のビデオメッセージを出し、労働組合加入を奨励して関心を集めている。アマゾン社の名前こそ出さなかったが、アラバマ州と名指しすることにより、アマゾン社での組織化キャンペーンに向けたメッセージであることを明らかにした。ウォルマート社に次いで雇用労働者数の多いアマゾン社には労働組合はなく、その組合承認投票の結果が注目されている。(レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Amazon社でこれまで最大の組合組織化攻勢

3/19 ルイス・フェリス・レオン


*2月28日のバイデン大統領のビデオメッセージ「労働組合に入るか入らないかは労働者の選択につきる。」

●全米が注目!

アラバマ州ベッセマーはバーミンガム市から20分ほど離れた郊外にあり、人口2万7,000人である。この町が国内外で注目されているのは、今回の組合承認投票が重要だからである。もし労働者が勝つとアメリカのアマゾン社で最初の労働組合ができるからである。べッセマーにあるアマゾン社のBHM1倉庫の労働者5,800人を対象として小売・卸売・百貨店労働組合RWDSUに加入するかどうかの組合承認選挙が3月29日まで行われている。

これまでにもアマゾン社に労働組合を作る努力は行われてきたが、すべて失敗している。一番最近の失敗例は、2014年にデラウェア州ミドルトンで行われた組合承認投票で、技術者だけを対象としたより小規模なもので、投票結果は反対21、賛成6であった。

いつものように、アマゾン社は組合組織化キャンペーンを潰そうとしている。同社は、マーティン・ジェイ・レヴィットの著書『Confessions of a Union Buster』(邦訳『ユニオン・バスター』緑風出版)に書かれているような戦術を展開している。「労働組合潰しキャンペーンは、個人に対する攻撃であり、真実に対する戦争である。組合を潰す唯一の方法は、嘘をつき、事実を歪め、労働者を操り、脅し、そして常に攻撃することだ」。

アマゾン社は、アラバマ州が職場に労働組合があっても労働者が組合費を払わずにただ乗りできる労働権州であるにもかかわらず、組合承認カードに署名すれば自動的に組合費を支払わなければならない、と労働者に嘘を言っている。同社はこのような嘘を広めるために、doitwithoutdues.com(「組合費を払わずただ乗りしよう.com」)というウェブサイトを立ち上げた。

同社は、従業員を強制的に集会に参加させて反組合宣伝を聴かせ、押しつけがましいテキストメッセージを送り付け、さらにはトイレに反組合のポスターを掲示したりなどしている。倉庫から退勤する労働者に組合オルグが声を掛けにくくするために、信号機を変えて青信号が長くなるようにさえした。さらにアマゾンは、匿名で行われるはずの組合承認投票を監視するために、倉庫の中に郵便箱を設置して、そこに投函するよう勧めている。

●組合潰し会社に1日1万ドル

アマゾン社はこうした戦術を発明したわけではないが、全面開花させている。小売・卸売・百貨店労働組合RWDSUが昨年11月に全国労働関係委員会に組合承認投票の申し立てを行った後、アマゾン社は1日1万ドルの報酬で組合回避コンサルタントを雇い、組合組織化を妨害している。

これらの組合潰し屋は嘘の情報を大量に流し、その結果多くの労働者が組合反対の投票してしまい、中には後で組合を支持するようになった人もいる。そういう労働者に全国労働関局NLRBに連絡して投票をやり直すように組合のオルグは勧めている。しかし、投票が始まり既に2週間過ぎているので、すでに手遅れになっているかも知れない。

「私は反対票を投じましたが、今はどっちか分からなくなりました」と、サラ・スクロジンという労働者は語る。「後悔していますが、他に賛成してくれる人がいるので大丈夫です」。

●組織化保護法の必要性を痛感

2月28日、ジョー・バイデン大統領は、ビデオメッセージで次のように述べて、組合結成を後押しした。「威嚇、強制、脅迫、反組合的なプロパガンダはあってはならない。管理職は従業員に組合支持か不支持かを問いただしてはならない。」
バイデンは、3月に下院を通過した組織化保護法PRO(Protecting the Right to Organize)法も支持しているが、上院での行方は民主党が共和党側の議事妨害を封じることができるどうかにかかっている。

PRO法が制定されれば、アマゾン社が採用している組合潰しの戦術の多くが禁止され、強制的参加集会なども禁止される。さらに組織化に有利な条件が生まれる。例えば、労働者が組合承認カードに過半数の署名をしたにもかかわらず選挙で敗北した場合、使用者の不当労働行為によって敗北した可能性があれば、組合は認定されることになる。

勝っても負けても、アラバマ州のアマゾンでの組織化運動は、全米の労働者にインスピレーションを与えている。さらに千もの倉庫の労働者が立ち上がることが望まれる。


Created by staff01. Last modified on 2021-04-01 08:44:17 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について