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LNJ Logo 『男色大鑑』基に創作落語 ―艶目家龍刃坊さん2作目発表
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『男色大鑑』基に創作落語
――艶目家龍刃坊さん2作目発表――
https://imadegawa.exblog.jp/31258288/

 ■名古屋「LGBT落研」で公演 6月25日に名古屋であったLGBT落語研究会の発表会で、 同会所属の艶目家龍刃坊(いろめやりゅうじんぼう)さんが 創作落語・「雪中の時鳥(ホトトギス)」を披露した。 井原西鶴の 『男色大鑑(なんしょくおおかがみ)』を基にしたもので、 その軽妙な語りと仕上がりは 観客からも大好評を博した。 公演の終了後、 艶目家龍刃坊さんに以下のインタビューを行なった。 (Q=酒井徹、A=艶目家龍刃坊) Q. 井原西鶴の『男色大鑑』のお話を基に 龍刃坊さんが創作落語を発表されたのは、 前作の「伽羅の香(かおり)」に引き続き2作目ですね。 創作の過程や公演において前回との違いは有りましたか? A. 初めて創作した『伽羅の香(かおり)』は、 落語に元々 有ったあるお話を下敷きにして 落語に改変したものでした。 けれども今回の「雪中の時鳥」は 自力で落語に改変しましたもので……、 そこが本当に大変でしたね。 Q. 『男色大鑑』には40のお話が有ると聞いていますが、 その中からこの話(「雪中の時鳥」)を選ばれたのは どうしてだったんですか? A. 『男色大鑑』自体が、 私のような現代ノンケの価値観からすると、 共感しづらい話も多いんですよね。 よく人が死ぬんですよ。 自殺したり、殺されたり。 現代から見ると「そんなことで?」っていうような理由で。 それで、 落語にするにあたって改変もするんですけど、 どうせやるなら比較的共感できる話をやりたいと思いまして、 選んだ結果がこれだったということです。 Q. 創作の過程では苦労も有ったとか……。 A. 文字ベースで人に伝える浮世草子と、 対話形式で人に伝える落語っていうのは、 全く別のものなんですよね。 対話ベースにして飽きさせないようにするには どうすればいいのか……。 そもそも 「どういう視点で話を進めていくのか」という問題が 有りました。 井原西鶴の書いた「雪中の時鳥」は基本、 武士同士のお話なんです。 けれども落語っていうのは、 江戸の庶民というか、 町人を主体にした話芸なんですよ。 古典落語で、 武士同士だけで進む話っていうのは、 私が知る限りでは有りません。 武士同士の話で完結するっていうのは落語的に、 難しいんですよ。 ですから私は、 魚屋の九蔵が あっちに行ったりこっちに行ったりすることにして、 その視点から落語化しました。 でも実は、 『男色大鑑』の「雪中の時鳥」では、 魚屋の九蔵が登場するのは最初だけなんですよね。 でも、 この魚屋の九蔵を通してでないと、 今の私の技量では落語に出来ないと思いまして……。 他の切り口から落語化する方法も有るかもしれませんが、 今の私には 九蔵の視点から語っていく方法しか思いつきませんでした。 落語には、 町人には町人、 武士には武士の語り方というものが有ります。 ですから、 武士ばっかりのシーンだと どうしても「固く」なっちゃうんですよね。 落語的にならないというか……。 だからかどうか、 古典落語でも武士と武士だけのやり取りっていうのが 長々と続くことはそうそう有りません。 有ったとしても間に町人が入って、 その町人が双方に話しかけながら、 話を進めていったりするんです。 Q. どうして井原西鶴の『男色大鑑』を基に 創作落語の発表をしようと思い立たれたのでしょうか? A. 元々、 LGBT落語研究会に参加させていただいた時から、 何かしら、 そういうのが出来たら……と思っていた時に、 古本屋で『男色大鑑』の漫画が目に入ったんです。 表紙が浮世絵っぽい感じのやつで、 江戸時代の話を 現代のボーイズラブ作家さんが描かれてる……。 それを見た瞬間に、 「運命の出会い」(?)みたいなものを感じまして……。 これは「やれ」っていうお告げかもしれないと……。 Q. 龍刃坊さんは 地域の図書館などでも落語の発表を行ってらっしゃいますが、 LGBT落語研究会に所属して活動されているのは どうしてですか? 公演において 他の落語の発表会との違いなどは感じられますか? A. 元々、 図書館でやってる発表会で一緒にやってた方から誘われて LGBT落語研究会に参加しました。 前から、 江戸時代には「衆道」の文化が有ったと聞いていて、 そういう話が落語でも出来たらなぁと思ってましたので……。 あと、 図書館落語に来てくださる方は 主に60代から80代くらいの方が中心です。 古典落語を、古典落語のまま演じてきました。 だからこそ、 こういう試みが出来るLGBT落語研究会に 可能性を感じました。 自分にとっては新鮮な世界で……。 江戸時代に有ったはずの、 起きていたはずの衆道文化を 現代に表現する場にしたいという思いが有りました。 ただ、 自分が当事者ではないだけに、 そうしたものをいきなり発表できるかというと、 難しい部分が有るんですよね。 だから、 LGBT落語研究会では (発表会とは別にある)練習会で、 当事者の方とか理解の有る方々の前で 実験的にやらせていただいて、 単に落語として面白いかどうかだけでなくて、 差別的な印象を与えないかとか、 そういう研究もしたうえで、 発表することにしてるんです。 やっぱり落語なわけですから、 当事者の方も含めて みんなが笑えるかどうかっていうのが大切だと思いますので。 Q. 最後に、 「雪中の時鳥」の発表を終えての感想を! A. いや、 やる前は不安だらけでしたよ。 創作第1作目の「伽羅の香」は、 落語化するにあたって別の古典落語と合体させるという ある程度の「保険」をかけてあったので、 その点での安心感が有ったわけですが……。 「雪中の時鳥」は 原作こそ『男色大鑑』ですけど、 改変部分は全て一から作り上げたものですから、 聞いていただく方に受け入れていただけるかが 心配で心配で……。 演じた後に「良かったよ」というお声を頂けた時には 本当にホッとしましたね。 【参考記事】 名古屋で「LGBT落語研究会」発足へ https://imadegawa.exblog.jp/30377338/ LGBT落研、創作落語を初披露 https://imadegawa.exblog.jp/31071984/ LGBT落語研究会 昨年の1月26日に 名古屋の有志らにより結成された。 「性的少数者にまつわる落語の鑑賞や研鑽を行なうことで 落語文化の興隆や 性的少数者についての理解増進を図る」ことを目指す。 名古屋市中区栄四丁目に在る LGBTミックスバー・Queer+s(クィアーズ)で練習会を、 ライブシアター金色鮫で発表会を 定期的に行なっている。 住所:愛知県名古屋市中区栄四丁目13番18号 栄スパークビル5階 Queer+s気付 ツイッター:https://twitter.com/lgbt_rakugo 酒井徹(さかいとおる)

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