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LNJ Logo 『憲法を変えた女たちーアリス・ポールと全国女性党』紹介
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投稿者 : 中村久司(UK在住)

拙著『憲法を変えた女たちーアリス・ポールと全国女性党』
(デザインエッグ社)をご案内させていただきます

私は、日本で在職中は、全国税関労働組合組合員でした。英国では、勤務大学が大手兵器 会社BAEと英国防衛省と一体となって、英米のNATO東方拡大の一環として武器輸出に加担 している状況に反対する学内の運動を起こし、リストラの名目で、10年前に解雇されま した。

本書は、女性参政権を獲得するために、 アメリカ合衆国憲法を変えた女たちの闘争を、100年以上前の英米の議会資料と、各地 の新聞約120紙に基づいて描く、歴史ドキュメンタリーである。 アメリカの女性たちは、母親の世代から娘の世代へと引き継いだ72年間の参政権闘争の 結果、1920年8月26日に、「アメリカ合衆国憲法修正第19条」を
成立させ、参政権を獲得した。 この憲法を変える闘争の決定的な段階で、最も卓越した人物は、「オバマ大統領布告94 23号」も断定しているように、アリス・ポールであった。 アリス・ポールと彼女が主導した全国女性党は、第一次世界大戦に一切協力していない。 協力どころか第一次世界大戦期間中を通して参政権闘争を続け、ホワイト・ハウスに張っ たピケットも継続している。 アリスが主導した「憲法を変えた女たち」は、違法行為を一切行うことなく闘い続けたが 500人前後の逮捕者を出し、168人が「繰り返して」投獄された。獄中では、多く の女性がハンガー・ストライキに入り、拷問を受け続けた。合法的なピケット中や、参政 権を訴えるデモ中には暴漢から、獄中では看守の残忍な暴行に晒されることがあった。殉 教者も一人出している。 今、なぜ米国の女性参政権闘争を振り返るのか? 米国では、2020年8月26日に、女性参政権獲得100周年を迎える。祝賀イベント を企画している多彩な団体は、「この100周年は、女性参政権獲得運動と今日の平等権 問題との関連性を探究する比類のない機会を提供する」と、位置付けている。参政権闘争 を振り返って現在の平等権問題に対処し、より平等な未来を創るのが、祝賀イベントの目 的だ。 英国でも米国でも、歴史的・制度的な女性差別の典型は、女性に参政権がない事実だった。 この女性差別を、英米の女性たちは、警官の性的暴行をも含む暴力行使や、不当逮捕・ 投獄・拷問にも屈することなく闘い続けて撤廃した。しかし、その後も、有形・無形の女 性差別が存在する。「ジェンダー平等」を実現し、「男女共同参画社会」を実現するため には、歴史を厳密に検証し、歴史から学んで、現代の不平等問題に適切に対処する方策を 見出さなければならない。 日本では21世紀の今日に至っても、「英米の女性参政権獲得も戦争協力への褒美」とい う神話が広く信じ込まれている。 米国では、オバマ大統領が公文書で明示しているように、憲法を変えた女たちの主導者は 英国でサフラジェットとして活躍し、逮捕・投獄・拷問を受けたアメリカン・サフラジ ェットだ。アリス・ポールの場合、英国のみで7回逮捕され、3回投獄されて獄中で55 回拷問を受けた。 憲法を変えた女たちの多くは、米国・英国・ドイツなどで大学や大学院レベルの高い教育 を受けた若い世代の女性だった。アリスの場合、ペンシルベニア大学で博士号を取得した 後、26歳で米国の参政権運動を牽引し出した。彼女たちは、当時のウィルソン大統領と 理論的・政治的に対峙し、違法行為を一切行うことなく、戦争協力も拒否して、歴史的偉 業を成し遂げている。 <著者プロフィール> 1950年、岐阜県生まれ。元・名古屋税関職員。1975年に税関を辞めて渡英し、日英を往来 の後、1988年からイギリスのヨーク市に永住。1994 年、英国ブラッドフォード大学大学院で日本人初の平和学博士号取得。在職中、ブラッド フォード大学平和学部と、ヨーク市のヨーク・セント・ジョン大学で、大学院国際通信教 育プログラムと国際文化交流プロジェクトを担当。 2008年、日本国外務大臣表彰を受賞。 著書に『観光コ-スでないロンドン』『イギリスで「平和学博士号」を取った日本人』(以上、高文研) 『サフラジェット:英国女性参政権運動の肖像とシルビア・パンクハースト』(大月書 店)など。2018年、『サフラジェット』で第13回「平塚らいてう賞」受賞。 歌集に、『The Floating Bridge: Tanka Poems in English』(Sessions of York) と『流 刑のソナタ異端調』(デザインエッグ)など。 寄稿に『第9条:和文と英文の差異』(軍縮地球市民No3)『Peace Constitution of Japan』 (The Oxford International Encyclopedia of Peace) など。

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