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小倉利丸です。

以下、Tutanotaのブログから転載します。ドイツの憲法裁判所は、現在の諜報 活動を根拠づけている現行法を違憲とし、法改正が必至となっています。以下の記事で私 たちが関心をもつべきなのは、憲法裁判所がドイツの諜報機関がインターネットのバック ボーンを網羅的に監視してデータの振り分け作業(ドイツ国民を監視対象から外す)をやっ ているということを疑いない事実として指摘したこと、そして、外国人や国外の監視はド イツ憲法の保護の枠外とされていたけれども、これを憲法の保護対象とすることになると いう点だろうと思います。 各国の諜報機関は、自国民を監視する権限をもたないのが普通と言われてきましたが、愛 国者法は自国民をも対象とする法制度として問題にされてきました。自国民が対象ではな いから安心できるわけではなく、日本の場合であれば、米国による日本国内での諜報活動 のデータを日本の諜報機関も共有する、日本の諜報機関が東アジアで展開する諜報活動を これら諸国の諜報機関が共有するといった回り道を通じて結果として自国民であれ外国籍 であれ、おあしなべて監視が可能です。ドイツの憲法裁判所はこの抜け穴を塞ぐ画期的な 判決かもしれません。 日本の場合もバックボーンでの情報収集は、技術的にいえばドイツと遜色のない規模で行 なえると推測できます。そうだとすると、日本の諜報機関によって何が行なわれているの か、その対象はどのようになっているのか、法規制はどうなっているか、といった一連の 疑問が残ります。小笠原みどりさんが『スノーデン・ファイル徹底検証』などで、日本の 国内での問題を整理して批判しています。とはいえドイツのように違憲かどうかを裁判で 争えるようなとろまでは至っていませんし、違憲訴訟の法制度の壁を突破できていません 。こうしたなかで、下記の記事でも提起されていますが、私たちにできる唯一の防衛手段 は、プロバイダーも含め、回線の途中で捕捉されてもデータを読まれないようにすること であり、その手段は暗号化を活用することしかありません。特に、コロナ問題で、私たち の活動やコミュニケーションがネット環境に移動しつつあり、これに伴って情報機関の監 視の重点もネットに移行しているはずです。とすれば、これまで以上に網羅的なネット監 視のリスクが高まっていることは容易に想像できると思います。この点は甘くならないよ うにしないといけないと思います。 以下のブログを掲載したTutanotaはドイツに拠点を置く暗号化メールを提供している会社 です。日本語化されており、スイスのProtonmailとともに、最もよく利用されている暗号 化メールサービスのひとつです。サービスは限定されますが無料での利用も可能です。郵 便でいえば封書にすべきようなメールのやりとりは暗号化は不可欠と思います。 https://www.tutanota.com/ja/ =============================== Privacy win: Surveillance of German BND is unconstitutional. https://www.tutanota.com/blog/posts/bnd-german-surveillance-unconstitutional プライバシーの勝利:ドイツの情報機関による監視への違憲判決 報道の自由や通信の秘密などの基本的権利は外国人にも適用され、したがって、それらの 通信を監視してはならない。 2020-05-19 Snowdenが2013年に暴露して以来、世界中の諜報機関がオンライントラフィックを監視し ていることは周知の事実になっている。ドイツ連邦情報局(BND)も例外ではない。ただし 、ドイツではプライバシー権はドイツ憲法によって厳格に保護されている。連邦憲法裁判 所は、BNDによる監視は違憲であり、修正の必要があると判決した。プライバシーの勝利 であり、端末間暗号化だけがデータを保護できることを思い出させてくれる。 現在の形でのBND監視は違憲 BNDは、他の諜報機関同様、フランクフルト/マインのDe-Cixなどのインターネットノード で大量のデータを転送することでオンライントラフィックを監視していることに疑う余地 はない。BNDは1日に最大1.2兆の接続を分岐でき、いわゆるセレクターを使用してメール アドレス、電話番号、デバイス番号など、取得したデータを検索する。 現在の法律では、ドイツ連邦情報局(BND)は、外国人のデータのみをふるいにかけてい ることを確認する必要がある。ドイツ国民のデータは、ドイツ憲法で宣言されているプラ イバシー権によって保護されている。たとえば、BNDは、末尾が.deである電子メールアド レスや、ドイツの国コード0049を含む電話番号などの検索語句を使用してはならない。 BNDはコンテンツのデータの評価前にドイツ市民のコミュニケーションを整理しようとす るが、Spiegel誌(注1)が述べているように、これはしばしば失敗する。 外国人の監視も違法 現在、カールスルーエの連邦憲法裁判所は、BNDによる外国人に対するインターネット監 視も違憲であると宣言している。そのため、ドイツ政府は2016年末に改正されたBND法を 再度改正する必要がある。 公民権団体「GesellschaftfürFreiheitsrechte」(GFF)、国境なき記者団やジャーナリ ストたちは、いわゆる戦略的な海外電気通信監視に対して憲法に基づく申し立てを行なっ た。彼らはジャーナリストとその情報源も監視されているのではないかと懸念しているが 、彼らのコミュニケーションは実際には法律で保護されている。 シュピーゲルによれば 、ドイツの憲法裁判所判事は次のことを明らかにした: ・報道の自由や通信の秘密などのドイツの基本的権利は「ドイツ人の基本的権利」ではな い。「電気通信監視に対する防御権」は「海外の外国人にも及ぶ」。 ・BNDのインターネット監視は行き過ぎであり、「目的を十分に限定せずに、実行できる ように組み立てられている」ため、「ジャーナリストや弁護士のための保護手段」が欠如 している。電気通信監視からの情報を他の情報機関に調査結果を受け渡しすることも、よ り厳密に規制する必要がある。 ・BNDへの独立した管理を拡大する必要がある。 ・2017年の初めから施行されている現行のBND法は違憲だ。ドイツ政府は現在、2021年の 終わりまでに修正する必要がある。それまでは問題あるルールが引き続き適用される。 監視と戦えるのは暗号だけ この判決はプライバシーの権利の明らかな勝利だが、議論は、端末間暗号化だけがインタ ーネットの送信データを保護できることを改めて明らかにしている。 Tutanotaが電子メールの暗号化(注2)を極めて簡単に誰でも使用できることに重点を置い ているのはそのためだ。情報源を保護する必要があるジャーナリストのために、暗号化さ れたコンタクトフォームSecure Connect(注3)にも貢献している。 暗号化は、オンラインでデータを保護するのに必要な唯一のツールだ。そのため、暗号化 のバックドア(注4)を実装しようとする試みにも反対する必要がある。 この判決が示すように、プライバシーは基本的人権であり、私たちはこのために闘い続け なければならない。 (注1)https://www.spiegel.de/netzwelt/netzpolitik/bundesverfassungsgericht-intern etueberwachung-des-bnd-verstoesst-gegen-grundrechte-a-351a9bcd-efd6-4028-8550-0f 82b906246c (注2)https://tutanota.com/blog/posts/email-encryption-guide-how-send-encrypted-e mail (注3) https://tutanota.com/blog/posts/secure-connect-encrypted-contact-form-test imonial (注4)https://tutanota.com/blog/posts/why-a-backdoor-is-a-security-risk

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