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ウイルス感染・安倍会見のウソとレトリック

2020年03月15日 | 安倍政権

    
今日は「日曜日記」をやめ通常の「一言」にします。

 安倍晋三首相が14日午後6時から記者会見し、「緊急事態宣言法」(特措法「改正」、13日成立)や新型コロナウイルス対策などについて述べました。記者の質問にまともに答えないのはいつも通りですが、この日の会見では自らの失態・失政を隠すためのウソとレトリックが目立ちました。

 最大のウソは、日本の感染者を実際より少なく偽ったことです。

 安倍氏は「日本は諸外国に比べると感染者の増加を抑えている。人口1万人当たり0.06人だ」と言いました。「1万人当たり0.06人」とはいったい何を根拠に言っているのでしょうか。
 その説明も記者の追及もなかったので、推測するしかありませんが、おそらく「732人」を感染者とし、人口(1億2600万人)で割った数字でしょう。「732人」とは、14日現在の「日本で感染した人」(NHK)です。しかし、これには「クルーズ船内感染者」(697人)と「チャーター機帰国感染者」(14人)は含まれていません。

 日本の感染者というなら、クルーズ船内感染者、チャーター機帰国感染者も当然含めるべきです。とくにクルーズ船内感染は、安倍政権の対応のまずさから感染が広がったことは多くの専門家が指摘しているところです。この数を除外するのは、自らの失態の隠蔽にほかなりません。

 これらの感染者をすべて合わせると、日本の感染者は1443人になります(14日午後6時半現在、NHK)。これは「人口1万人当たり0.11人」に相当します。安倍首相が会見で述べた数字の約2倍です。安倍氏は実際の感染者を約2分の1に過少報告したわけです。

 さらに問題なのは、日本の検査体制の不備です。安倍首相は会見で、「1日6000件の検査が可能」と言いましたが、これは「可能」な数字ではあっても実際に行われている数字ではありません。実際に全国でどのくらい検査が行われているのか、これまでどのくらい行われてきたのかは明らかにされていません。

 韓国在住の私の友人の調べでは、3月4日現在、日本のPCR検査数は累計5690人。これに対し韓国は14万9453人。日本の26.3倍です。人口1万人当たりでは日本が0.45人に対し、韓国は28.8人。日本の64倍です。

 日本は検査を民間医療機関に認めていないため、「検査難民」が生じているのは周知に事実です。広島の感染者も8回目の受診でやっと検査を受けることができました。日本がもし韓国並みに検査を行えば、感染者が急増するのは間違いないでしょう。

 安倍氏の会見は、不十分な検査体制によるきわめて限定された「感染者数」を、さらに約半分に過少報告した二重の偽りと言わざるをえません。

 もう1つ付け加えるなら、今回の会見で安倍氏は「専門家」という単語を何度も使いました。感染者数を「抑えている」と自賛するときは「専門家の指摘」、「非常事態宣言」の発令や休校解除など今後の方針は「専門家の意見を聴き」と明言を避ける。

 しかし安倍氏は、「全国一斉休校」(2月27日)も、韓国、中国に対する「入国制限」(3月5日)も、専門家会議にはまったく諮らず独断専行しました。「専門家」の意見など意に介さないのが安倍氏の本性です。にもかかわらず都合のいい時だけ「専門家」を持ち出すのは、きわめて狡猾な独裁者のレトリックと言わねばなりません。


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