
マイナンバー違憲訴訟・東京地裁判決に関する声明
本日(2/25)、東京地方裁判所民事第26部(男澤聡子裁判長)は、原告らが、マイナン
バー(個人番号)制度が憲法13条で保障されたプライバシー権や人格権を侵害す
るとして、その利用停止や削除等を求めていた「マイナンバー(個人番号)利用
差止等請求訴訟」について、その請求を棄却した。
ビッグデ−タの利活用が飛躍的に進められ、個人データの保護が強く求められ
るようになっている中、2016年1月に、個人情報を名寄せし・マッチングしてい
く鍵となる個人番号(マイナンバ―)の利用が始まった。以来4年が経過した現
在、政府は、膨大な税金をつぎ込み、また、公務員という身分関係を利用して事
実上の個人番号カード(マイナンバーカード)の取得強制を行うなど、その強硬
な普及策を押し進めている。この様な中、憲法の番人であるべき司法が、マイナ
ンバー制度がプライバシーや人格権、ひいては民主主義にもたらす悪影響につい
て、深い洞察をすることなく、安易に合憲であると判断したことは、極めて問題
が大きい。
本訴訟において、原告らは、第1に、憲法13条によりプライバシー権(自己情
報コントロール権)が保障されていること、第2に、マイナンバーの使用によ
り、漏えいや名寄せ、成りすましの危険性があり、プライバシー権が侵害される
危険性が高いこと、そして、マイナンバーカードに性別記載がなされることなど
により性同一性障害者の人格権が侵害されていること、そして第3に、このよう
な人権侵害を正当化するだけの制度目的の正当性も、手段の相当性(より制限的
でない他のとりうる手段があることなど)も存しないことを、具体的に主張立証
した。
本日の判決は、第1の点について、「個人に関する情報をみだりに収集若しく
は利用され、又は第三者に開示又は公表されない自由」が保障されていることを
認めた。これは、「自己情報コントロール権」を認めないながらも、個人情報の
収集、利用、保管される過程における自由をも認めたものであり、その意味で
2008年の住基ネットに関する最高裁判決から一歩前進したとは言える。
しかし、第2に、マイナンバー制度の創設と運用により、それらの自由が侵害
される危険性があるかという点に関しては、極めて形式的な理由により、安易に
その危険性は認められないとしている点で、極めて問題が大きい。
さらに第3に、目的の正当性、手段の相当性に関しても、被告が主張もしてい
ないような理由をあげるなどして、認めている。
特に、�〔榲�である「行政の効率化」については、被告が「費用対効果」に関
する具体的な主張立証を放棄したにもかかわらず、「経済効果は1兆1500億円で
あるとか、3兆円であるとかという試算もある」などと、机上の空論ともいうべ
き「試算」によって救済している点や、�◆嵌峭翹 �19条14号が、「刑事事件の
捜査」にはマイナンバーの利用が濫用される危険性があり、個人情報保護委員会
の監督も及ばないことからプライバシー保障上大きな欠陥がある点、�F韻犬�
「その他政令で定める公益上の必要があるとき」には、「破壊活動防止法による
処分の請求、審査、調査等」なども含まれており、番号法の目的とはおよそ関連
性のない委任が含まれている点などの重大な問題点について、安易に濫用の危険
性等はないとしている点、さらに、�こ胴埓�機関の個人データを「情報連携」す
る際には(共通番号である)マイナンバーを用いず、(事務別の)「機関別符
号」を用いるシステムを構築したのであるから、税と社会保障、防災分野におい
て共通の番号(マイナンバー)を用いる必要はなく、プライバシーにとって有害
であることに答えていない点など、司法の役割を果たしていないと言わざるを得
ない。
このまま、マイナンバー制度の無原則的とも言える利用拡大を進めることは、
近い将来の全国民及び外国人住民のプライバシーを危険にさらすものであり、ひ
いてはプライバシーが保障されることにより保障される自律した個人を前提とし
た民主主義社会の基盤を掘り崩すことにもなりかねない。
弁護団は、原告の方々の意向を受け、速やかに控訴を行い、さらにその問題性
について訴えてゆくものである。
以上
2020年2月25日
マイナンバー違憲訴訟・東京弁護団
(連絡先 東京合同法律事務所 電話 03-3586-3651)
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Last modified on 2020-02-26 23:42:46
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