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●韓国サンケン労組を支援する会・11月26日第12回木曜行動報告

サンケン電気は子会社・韓国サンケンの違法・不当な偽装解散を撤回せよ!

 11月26日、「木曜行動」も12回目になった。7月9日の会社解散発表から140日目になるこの日は、新座市内のサンケン電気本社周辺は朝から深い霧に包まれていた。今回も、韓国昌原市馬山の会社門前ですわり込みを続ける仲間、ソウルで日本大使館・韓国国会・関係省庁・社長自宅等への抗議要請行動を展開する仲間とオンラインで繋ぎながら、本社門前―志木駅南口―池袋・東京事務所前の三カ所で延べ約90人が抗議要請行動を展開した。

 独自の「金曜行動」を続ける埼玉市民の会は、8000枚のチラシを会社周辺地域に配布した。全国各地のサンケン電気営業所への要請行動も始まった。韓国国内でも11月20日に馬山自由貿易地域を訪れた産業省長官に「韓国サンケンへの特別税務調査」等の要求書を手渡し、また公共放送テレビKBSが1時間番組で「外資の食い逃げ」の代表として取り上げるなど韓国サンケン偽装廃業への関心も高まり、支援の輪も広がっている。

▼11月20日のKBSの放送では4年前の解雇撤回闘争も紹介された。

↓韓国サンケン工場と座込みテント

1月20日の会社解散・全員解雇まであと50日余り。キム・ウニョンさんはその緊迫感を「死刑囚が執行日を待つような重苦しさ」に例えた。闘いは最大の山場を迎えている。サンケン電気は子会社・韓国サンケンの違法・不当な偽装解散を撤回せよ!12.20会社包囲デモに、多くの参加を!

<7時すぎ サンケン電気本社前 「廃業しようとしている工場には生きている労働者と家族がいる!」>

鎖で閉ざされ、警備員が立ち並ぶ本社正門前で、横断幕・幟・プラカードを掲げ、出勤する社員に支援する会ニュースを手渡す。郵政ユニオンの仲間がマイクを握る。「きょうは韓国サンケン労組から贈られたマスクを着けている。支援する私たちを気遣う韓国の仲間に比べて、サンケン電気は何をしているのか。本当に怒りが込み上げる」―「そうだ!」と掛け声がかかる。

ソウルで上京闘争を展開する韓国サンケン労組の仲間から訴えが続く。「3年前は埼玉の本社前で訴えた。今回は行けないのがもどかしく残念な思いでいっぱいだ」「3年前は、韓国サンケンは工場を稼働させることを約束して、私たちは復職した。ところが会社は表では笑い顔を見せて、裏では組合つぶしのために色々なことを画策してきた」「赤字だ赤字だと言うが、赤字はどこから発生したのか。私たちの賃金は最低賃金レベルだ。管理職の賃金は5000万ウォンもあった。管理職は仕事をしないで高給をもらっていた」「投資もせず、労働者に赤字の責任を押しつけるのは許せない。赤字があるなら社長や管理職の経営責任であり、本社の責任だ。和田社長の職務怠慢ではないか」「誠意を持って60億ウォンの赤字の理由を説明すべきであり、経理資料も公開すべきだ」「これまで生産現場の労働者の責任で納品が遅れたことは一度もない。本社に労働者は憤りと不信感を持っている。韓国サンケンの将来ビジョンも提示せず、廃業を押しつけてきた」「本社のやり方は卑劣だ。3年前に私たちを復職させておいて、別会社を買収し製品を輸出までしていた。その160億ウォンの買収代金を韓国サンケンに投資すれば、このような赤字もなかった。労使協定に反する」「コロナがチャンスとばかりに廃業しようとしている。工場に労組があるからという理由で会社を廃業することなどありえない」ここでソウルからの電波が中断したので馬山に切り替え。

馬山からの訴え。「工場前でテント張って140日になる。サンケン電気本社の経営は私たちと生き残ろうとするのではなく、潰そうとする。なぜなのか。4年前と何も変わらない。47年間も事業を展開し法律と制度に守られて発展してきたのに、最低限の手続きや法律を無視するやり方は本当に汚い。会社の経営の失敗は責任は経営陣。その経営陣を任命したのは誰か。LG出身の社長を任命したが、彼らは経営ではなく労組弾圧しかしてこなかった。そして最後は会社を解散するための社長を任命してきた」「本社の経営陣は認識すべきだ。韓国サンケンの労組はこんなことは認めない。最後まで闘う。廃業を撤回せよ!本社が団交に応じるべきだ!」

埼玉市民の会が発言。ソウルのキムウニョンさんが続く。「埼玉の本社は霧に包まれているようだが、ソウルの天気は好天」「廃業のその日が近づいている。宙ぶらりんの状態で、死刑囚が執行日を待っているかのように重苦しさに包まれている。耐え難い苦しい思い。家族はもっとつらいと考えると、悲しくなる」「韓国サンケンの社長は私たちを告訴した。社長の自宅マンションのベルを押したので家族が不安を覚えたのが理由だ。これが社長がやることか。16人の労働者の首を切り捨てる一方で、マンションのベルを鳴らしたので家族が不安だと言うのか。人間の皮を被った鬼なのか。獣でもそのようなことは言わない。10歳、8歳、4歳の3人の子どもを抱えた母親の組合員もいる。工場前のテントの中で子どもと一緒に寝て過ごしていた。いまは子どもを置いて、ソウルで上京闘争を展開している。そのような組合員のことを考えずにいる社長と、その背後にいる本社の和田社長に怒りを感じる。人間が人間に対してこんなひどい残酷なことがなぜ出来るのか」「業界売り上げ8位で、日本で株式上場もしているグローバル企業が16人の労働者を押し潰そうとするサンケン電気に怒りしかない。労働協約にも韓国の法律とグローバル企業の国際基準にも違反する」「廃業しようとしている工場には生きている労働者が、生きている家族がいる。私たちは仲間と家族のために闘い抜き、必ず工場に戻る」「和田社長は決断すべきだ。人間として生きるのか、人間の顔をした獣として生きるのか、自身で判断すべきだ。人間としての道徳と、企業としての倫理を守りぬくことを希望する。私たちは共に闘う韓国の仲間と支えてくれる日本の仲間がいるから闘い続ける。宿舎で眠る前に、親兄弟、家族、忘れられない日本の仲間の顔が浮かぶ。みなさんの闘いから力を得ている。この恩に報いるには、勝利で報いるしかない」。

オンラインで警備員にも声をかけるキムウニョンさん。思わず笑いが起こる。最後に全員で本社に対してシュプレヒコールを浴びせ、志木駅に移動する。

<9時 東武東上線志木駅南口「約束を守らず、働く人を踏みつけにするサンケン電気に抗議の声を」>

天気が良いためか、志木駅南口の人通りが多い。横断幕やプラカードを見つめ、ニュースを受け取る市民も多い。最初に埼玉市民の会から発言。「サンケン電気本社の地元住民として、黙っていられない。地元の企業が違法不当なことをするのを見過ごしていいのか!」。馬山の韓国サンケン労組の仲間からオンラインアピール。「4年前にも志木駅前で解雇撤回を訴えた。復職にあたり、サンケン電気は工場再稼働を約束した。この約束を踏みにじっている」「サンケン電気は1973年に韓国馬山に100%子会社を作った。それから自由貿易地域で各種の恩恵を受けながら発展してきた。600人も社員がいたことがある。その後LEG生産にこだわり、赤字の責任を労働者に押しつけ、現在は10数人しか残っていない。働く人を踏みつけにするサンケン電気に抗議の声を!経営の責任は経営者にある。清算すると言いながら、韓国サンケンの社長は説明会もしない。本社が支持していることは明らか」「私たちの望みは一つ。工場の正常稼働だ。必ず職場を取り戻す」

ソウルのキム・ウニョンさんからの訴えが続く。「日本で長時間労働の問題が起こった時、韓国でも弾力的労働時間制が問題になった。日韓は互いに影響しあう関係にある。政治的・軍事的問題、歴史認識では対立があった。安倍、菅政権は日韓に対立を作り出している。日本で平和憲法が制定され、東北アジアで平和の波が起こった。この平和憲法を否定する動きがある。それに反対する闘いがあることを知っている。私たちも李明博・朴槿恵政権と闘い続けた。日韓民衆は助け合い、励ましあいながら平和な世界を創り出すために努力している」「サンケン電気の和田社長は人間としてあるまじきことをしている。日本の企業が倒産した時、経営者が頭を下げる場面をTVで何回も見た。経営の過ちを認め率直に詫びる。日本の企業はそういうものだと考えた。社長の涙を見て、社員もやむを得ないと感じたかもしれない。しかしサンケン電気は違う。注文が無く赤字だからと潰すわけではない。47年間も韓国労働者を働かせて、その労働者に何の説明もなく廃業しようとしている。企業には社会的責任と企業倫理がある。サンケン電気には社会的責任も企業倫理も何もない」「鳥の片方の翼を切ると飛べない。子どもに餌を運ぶこともできなくなる。労働者にとって職場は母鳥の片方の翼。経済活動と社会的活動の翼があって初めて空を飛ぶことができる。廃業すれば、労働者は翼を奪われてしまう。長期間働いた労働者に何の説明もなく工場を閉鎖する、廃業する、そんな会社があるか。母鳥は暴風の中でも餌を子どもに運ぶように、私たちは最後まで闘う。私たちは人間だから、人間としての尊厳を守るために、私たちは労働者だから労働者としての精神を守るために闘い続ける」「最近、人生とは何かを考える。日本のみなさんが、私たちはどう生きるかの手本を見せてくれている。先輩であり、兄弟であり、同志でもあるみなさんの闘いがあり、私たちも闘うことができる。勇気と気力をもらっている。最後まで闘い、必ず職場に戻る!」 争議団連絡会議から発言。「解散の協議を会社は避けて逃げている。高い企業倫理をかかげているサンケン電気のやることか。EKEという別会社に投資し拡大しようとしている。サンケン電気が社会的責任を果たすよう声をあげてください!」  1時間ほどで志木駅南口の宣伝行動を切り上げて、池袋に向かう。

<池袋駅東口東京事務所「私たちの心は熱く燃え滾っている。寒さに負けずに闘う!」>

11時過ぎに池袋東口の藤久ビル7階のサンケン電気東京事務所へ。代表団5人で総務部のI氏と面談。馬山とソウルの韓国サンケン労組の仲間もオンラインでI氏に本社と労組の協議を要請するが、「私にその権限はない」と言い逃れに終始。「別会社のEKEで、サンケン電気の名前で生産している製品は無いのか?」「韓国サンケンが清算過程にあるのに、韓国サンケン製品を輸出することは違法ではないのか?」「3年前の労使合意書は知っていますか?」「赤字になるものを作らせておいて、なぜその赤字の責任を労働者に押しつけるのか?」など問い続けるが「わからない」に終始。最後に労使協議なくして解決はないことを和田社長に伝えるよう求め、30分程度の面会を終えた。

ビル前の歩道に横断幕・幟・プラカードを掲げ、昼休み集会開始。埼玉市民の会に続いて全国一般全労働者組合ユナイテッド航空争議団、ユニオンネットお互いさま、東京労組、韓国良心囚を支援する会全国会議、連帯労組武蔵学園などから次々と連帯アピール。

馬山の韓国サンケンの仲間から発言。「力のない私たちがグローバル企業と闘えるのは、みんなで力を合わせているから。私たちは人権を守るために労組を作った。韓国サンケンでは、民主的な労組に対して、破壊行為、過酷な弾圧をしてきた。女性労働者には暴力まで振るわれた。私たちはそれに耐え抜いて職場を守り抜いてきた。しかし3年前から仕事をするほど赤字が累積する状態が続いていた。そしてコロナで私たちが日本に遠征できない時に、厄介者の労組をつぶしてしまえ、と廃業決定してきた。これは本社と韓国サンケンの社長が示し合わせた労組潰しであり、絶対に許せない。韓国サンケン労組はずっと弾圧されてきたが、共生と連帯で跳ね除けてきた。今回も勝ち抜いていく」

ソウルのキム・ウニョンさんからアピール。「朝はそれほどでもなかったが、今はとても寒い。しかし寒くても、私たちの心は熱く燃え滾っている。寒くても、最後まで闘う」「韓国サンケンはすでに清算を発表している。これは本社が言うような赤字が理由ではなく、労組潰しが理由だ。任期か終わろうとしている和田社長は、私よりも働いている時間が短い。これから10年も20年も働く労働者を首にするような社長であってはならない。」「私たちには守るべき家族がある。子どもも、年老いた両親を持つ組合員もいる。守るべき大切な家族、共に闘う大切な仲間がいるから、私たちは負けるわけにはいかない。韓国サンケンの工場を守り抜く。不当な労組弾圧に闘い抜くことが、支援のみなさんへの恩返しとなる」「サンケン電気は約束を守らず、企業倫理も守らない会社だ。日本へのイメージを悪くしている。池袋のビル街の市民のみなさん、抗議の声をあげて!」

 最後にビルに向かって全員でシュプレヒコールを浴びせて第12回木曜行動を終えた。(尾沢孝司)


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