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●韓国サンケン労組を支援する会・11月19日第11回木曜行動報告

サンケン電気はグローバル企業としての社会的責任を果たせ!偽装解散撤回を!

 秋も深まり、サンケン電気本社敷地内の木々も色づいてきた。支援する会の木曜行動は11月19日で11回目となった。この日、本社のある新座市内は天気快晴、気持ちの良い朝を迎えたが、韓国は馬山もソウルも雨模様。韓国サンケン労組の仲間は、新型コロナの感染が拡大する日本で連帯行動を展開する私たちの健康を気遣い、韓国製の高性能マスクを送り届けてくれた。快適なこのマスクを着用すると、身が、いや口元が引き締まる思いがする。過酷な闘いを続ける韓国の仲間たちのこの厚情に応えるには、「勝つまで闘う」韓国の仲間たちを最後まで支援し、偽装解散を撤回させるまでサンケン電気本社を追い詰めるしかない。埼玉市民の会独自の金曜宣伝行動も始まった。すでに地域へ5000枚以上のビラを配布した。11月18日の大阪を皮切りに、日本全国各地のサンケン電気営業所への要請行動も始まった。12月には本社を包囲する大デモも準備する。

 この日も新座市内の本社前から、志木駅南口、池袋駅東口東京事務所の3カ所を、韓国の馬山、ソウルの韓国サンケン労組の仲間とネットで繋ぎながら、朝7時から昼過ぎまで各所で約30人、延べ90人が11回目の木曜行動を貫徹した。

<サンケン電気本社前「和田社長は韓国労働者と家族をこれ以上傷つけるな!」>

 この日もサンケン電気本社正門は、ロープと鉄冊で閉ざされ、数人の警備員が、徒歩・自転車・バイク・車で出勤する社員を一人一人確認しながらロープを外して敷地の中に招き入れる。「韓国サンケンの偽装解散を撤回しろ!」の横断幕・幟・プラカードに迎えられながら出勤する社員はほとんど支援する会ニュースを受け取らないが、中には手に取って目を通す社員もいる。

 まず郵政ユニオンの仲間が口火を切った。「全国の営業所に対する各地の取り組みも始まった。日本でも韓国でも闘いは確実に広がっている」。昌原市馬山の工場前で座り込みを続ける韓国サンケン労組のヤン・ソンモさんが訴える。「韓国は冷たい雨模様だが、寒さに負けずに違法で不当な会社解散の撤回を求める闘いを継続している。本社の和田社長に交渉を求めているが、何の回答もない。サンケン電気本社のやり方は、3年前と同じだ」「サンケン電気は47年間、韓国労働者に大きな傷を残してきた。これ以上傷を広げるべきでない。和田社長が廃業撤回を決断しなければ、サンケン電気自体にも大きな傷を残す。クリーンのイメージを壊すことになる。これまでも重要な問題は組合と話して解決してきたではないか」「本社は韓国中部の工場を160億ウォンで買収した。韓国でこれからも事業を継続する気があるなら、韓国サンケンの工場を稼働し、そこに投資すべきではないか。組合と交わした3年前の約束を守れ。私たちは最後まで闘う」。

 ソウルで社長自宅や日本大使館、韓国関係省庁への取り組みを展開中のキム・ウニョンさんが続く。「 ソウルは雨がかなり降っている。3年前の闘いでも、新座の本社前で雨が降る時は、その前に韓国でも雨が降っていた。日韓は、雨のような自然現象だけでなく、経済も政治も切っても切れない関係にある。社会運動も国境を越えて連帯する」「本社社員のみなさん、本社周辺の地域住民のみなさん、おはようございます!朝から眠りを妨げるのは申し訳ないが、ぜひご理解を!」「昨日ソウルの韓国サンケンの社長自宅を訪問した。会社清算人の辞任と韓国工場再開を本社に求めるよう要請するためだ。女性が対応して『社長はここにいない。社長は転居し、今は他の人が住んでいる』と言った。しかし会社の謄本を調べると社長の住所は変わっていない。もう一度訪問して、やっと韓国人社長と会えた。社長は『自分の家族を苦しめるなら警察に訴える』と抗弁した。あまりに卑劣な言い分だ。労働者の家族の生存権を奪っておいて、自分の家族は守る。こんなことは許せない。こんな韓国人社長を任命したのは本社の和田社長だ。自分の家族のことを守ろうと考えるなら、労働者の家族のことも考えるべきではないか!私たちは自分と家族を守る。違法欺瞞の廃棄を撤回し工場の再稼働を求める!」「韓国でも、日本でも支援の輪が広がり、闘いは拡大している。昨日、大阪で営業所に対する行動が展開されたと聞いた。韓国では昨日ソウルで大規模な行動が展開された。きょうは馬山の地域対策委員会の行動がある。サンケン電気本社と結託したLG財閥への行動も準備する。工場を再稼働させ、復職を勝ち取ることで、日本のみなさんの連帯に応えたい!」海を越えてインターネットで届けられる韓国サンケン労組の仲間のアピールは、支援行動に結集する仲間の温かい拍手に包まれる。

 埼玉市民の会の仲間もマイクを握る。「地元の市民として早期の解決を願う。この問題は地元として見過ごせない。サンケン電気は地元に貢献してきた。サンケン電気で働き家族を養う地元住民も多い。私の高校時代の友人もサンケン電気で働いた。そんなサンケン電気が、コロナ禍を利用して一方的な会社解散で労働者と家族を路頭に迷わす。こんなことは許せない。企業の社会的責任はどうなるのか!」「韓国の仲間からの贈り物のマスクを着用して、最後まで闘う!地域のみなさんも、暖かいご支援を!」

 争団連・中部労組旭ダイアモンドの解雇撤回闘争を闘う仲間からも発言。本社前行動展開中の8時過ぎに、警官2名が現れたが、介入させず、行動を最後まで貫徹、本社に向かってシュプレヒコールを浴びせて締めくくり、志木駅に移動した。

<東武東上線志木駅南口 「最後に笑うのは私たち」「サンケン電気は覚悟した方がよい」>

 陽気が良いせいか、志木駅南口も人通りが多い。横断幕や幟、プラカードに多くの人が目を留める。チラシを受け取って話しかけてくる市民もいる。まず東京労組の仲間からアピールがあり、韓国サンケン労組の仲間が続いた。「会社廃業の日まであと60数日。信じたくない。労組があるので安心出来ることが多い。過去の先輩たちの闘いがあり、今の私たちがある。3年前は36人が残った。今回は16人が残った。スクラムを組んで、長く一緒に闘った仲間との別れは辛い。もうそんな思いは二度と繰り返したくない。最後まで闘う。私たちの夢は、再び韓国サンケンの工場で働くことだ。最後に笑うのは私たちと確信している!」。

 ここで電波の調子が悪くなり、オンライン・アピール中断。「ノレの会」の仲間がマイクを握り、韓国で作られた「非正規職差別撤廃の歌」を歌う。続いて埼玉市民の会の仲間もアピール。

 ここで韓国からのオンライン・アピール再開。「3年前にも批難されたのはサンケン電気本社だった。今回も3年前の労組との約束を反故にしている。いかなる努力も誠意も見せない。こんなことをして『高い倫理性と社会的責任を持ったグローバル企業』と言えるのか?サンケン電気は47年間韓国で税制上の恩恵を受けてきた。偽装解散、不法で欺瞞的な工場閉鎖に抗議の声をあげよう!」「韓国サンケンで14年働いている。3年前も解雇撤回闘争を闘った。今回はコロナで日本に行けずに、ジタバタし、切ない思いだ。別会社を作って韓国サンケンを清算する。これは破廉恥な行動ではないか」「この4年間、辛い思いをしてきた。賃金切り下げに耐え、様々な譲歩を強いられてきた。『毎年60億ウォンの赤字』と社長は言ってきた。この巨額な赤字はどこで生まれたか?本社に問いたい?全員解雇で赤字を解消すると言うが、経営者として能力がないことではないか。私たちは赤字を実感したことはない。赤字と言うなら内容を説明すべきだ」「サンケン電気本社に絶望感と不信感を持っている。まともな仕事を用意せず、意図的に赤字を作ってきた」「韓国には『勝つまで闘う』という言葉がある。サンケン電気は覚悟しなさい。コロナで日本に来ないと考えて、錯覚している。そんな錯覚を捨てるべきだ」。

 1時間ほどのアピール行動を終えて、電車で池袋駅に向かう。

<池袋駅東口東京事務所 「勝利するまで、私たちの闘いは止まらない!」>

 11時前に池袋駅東口東京事務所ビルに到着。7階の事務所に行くと、総務のI氏が待ち構えていた。代表団5人と面会し、オンラインで韓国の仲間も追及したが、誠意のない回答に終始した。

 昼休み、ビルの前の歩道に横断幕と幟、プラカードを掲げて抗議アピール行動開始。まず埼玉市民の会がこの間本社周辺地域で取り組んでいる独自行動を報告。「チラシは5000枚を配布した!金曜日の志木駅前宣伝行動も展開している」。続いてJAL争議団が発言。「物言う労働者を排除する会社の姿勢許せない。12月の集会とデモには参加する!」渡辺支援する会の渡辺共同代表、全労働者組合に続いて上智大学専任教員被解雇者が発言。「会社と闘うのがダサいと言われるのは日本くらい。諦めない闘いで韓国も米国も勝った。アニメの中では闘いがカッコいいと言われる。なぜ闘いをアニメの中だけに限るのか!」。所沢労音の仲間は、韓国の仲間が作った「工場に戻ろう」を熱唱。

 続いて韓国サンケン労組の仲間からオンライン・アピール。「30年間も労働運動を続けたのは、人間らしい生活のため。この間、会社からの厳しい弾圧もあったが闘い続けた」「会社はこれ以上工場を維持できない、という理由で廃業を決めた。しかし赤字は意図的に作られたものだ。コロナで闘いが出来ないことを想定して廃業しようとしているが、団結した力がどのようなものか、本社は肝に命じるべきだ。勝利するまで、私たちの闘いは止まらない!」 最後にソウルで上京闘争を展開中のキム・ウニョンさんからアピール。「ソウルは強い雨が降っているが、私たちは最後まで闘う。一人の力は弱いが集まれば強くなる。闘いのなかで大切なものは一緒に闘う仲間たち、嬉しいとき悲しいとき厳しいときにいる仲間が大切だ。心に秘めてサンケン電気と闘う。悪辣な会社と闘う。一杯です新しい労働者連帯を切り開こう!」    海峡を渡り、国境を越えてオンラインで届く韓国サンケン労組の訴えは、回を重ねるごとに熱を帯びている。ハングルを日本語に通訳する仲間もその切実な訴えに、マイクを持つ手を震わせ声を詰まらせる瞬間もある。電波の不具合で拡声器から流れる音声は時折中断を余儀なくされるが、コロナ禍で遠征闘争を組めない苛立ちとサンケン電気本社の不誠実な対応への怒り、『勝つまであきらめない』決意が伝わってくる。それはサンケン電気本社社員、新座市民、志木駅周辺住民、池袋駅東口のビル街の人々にも、確実に届いている。和田社長は、違法・不当な廃業決定を撤回するしかない。(尾澤孝司)


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