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LNJ Logo レイバーネットTV第153号 詳細報告/非正規の闘いは終わらない
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●レイバーネットTV第153号 報告(10月21日放送)

闘いは終わらない!非正規化が進む中で正規職員と共に

アーカイブ録画(86分)

 レイバーネットのTVらしく労働問題オンパレードの内容だった。しかもいよいよこの日本、本当に司法を信じていいの?検察はヤクザまがいでは?と日本の労働裁判の現状をあぶりだしていった。戦後の復興の中で獲得していった労働者の権利が、ガラガラと崩れた判決を見せつけられた。しかし、そんなことを言ってはいられない。「労働者はたたかれればたたかれるほど強くなる」を信じて、労働者よ立ち上がれ!そして団結せよ!と、古いけれど色あせない言葉がよみがえってきたのだった。(報告=笠原眞弓)

・キャスター 北健一・北穂さゆり

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今回は新しく発足した「レイバーネット写真部」から「名・珍写真」の紹介。

1、「アベ去りし街角」レイバーネットに依頼された官邸前アクションの写真。警察官の警備という名の“通せんぼ”は、アベの去る前と同じ。撮影はTomotaroさん。↓

2、国費をつぎ込んで行った得体のしれない中曽根康弘の内閣・自民党合同葬の一場面。まるで人形をシンメトリーに並べたような自衛官の不気味な写真。写真提供=田中龍作ジャーナル。↓

∧鷙: 関西生コン「大阪スト事件」不当判決
コーナー司会: 土屋トカチ
解説:小谷野毅(全日建書記長)さん

 レイバーネットでは、折に触れて取り上げてきた関西生コンの労組活動弾圧事件だが、その関連の裁判で10月8日、初めて地裁判決が出た。西山直洋氏(関西地区生コン支部執行委員・生コンミキサー車の運転手の組合))の裁判だ。

 「ストライキを業務妨害」と認定するメチャクチャな判決だった(懲役2年6か月、執行猶予5年。5年は執行猶予の上限)と西山さんは報告し、さらにストライキの計画や段取りをしても「共謀」ということになるのは、受け入れられないと今後も闘いあるのみと言い切る。

 2017年12月に、彼らはストをした。生コンの値段が上がったら、労働者に還元するという契約を交わしていたのに、実行しなかったからである。ところがストの9か月後に24人を逮捕。西山さんはストの計画を立てた人。日本は憲法28条で労働基本権を保証し、「団結権」「団体交渉権」が保証されているのに、この判決は明らかな「脅し」だと小谷野さん。その時に組合員より多い会社側が出てきて時々大げさに痛がるなど、劇場型で自作自演の“被害”を演出し、それをまた大勢の警察が、ただ見守っていたとか。目的は、裁判の時に組合員が不当に暴れたという映像をとるためだったという。あまりの姑息さに笑えるのだが、本当の話である。

 控訴審では、裁判官が労働闘争とはなにものであるかを理解していないので、我々がやっていることは合法であることを理解してもらうことに力を入れていきたいと結ぶ。

ジョニーHの歌と乱鬼龍の川柳コーナー

 ジョニーHの替え歌は、なんと東雲節。お座敷歌であるが、大正デモクラシー時代に廓の女性たちも自由廃業ができた。その時にストライキをして闘った人をうたったストライキ節と、関生ストライキ節など。

 乱鬼龍の今月の川柳は「非正規がもう非正規にブチきれる」乱鬼龍さん編纂の「救援川柳句集」の紹介もあった。

て箪: 非正規差別をなくすために〜「労契法20条」最高裁判決を受けて 動画ココカラ

最初に動画ニュースが流れた。トップは、非正規の差別是正を求める裁判。「労働契約法20条裁判」。10月13日に最高裁は2件を棄却した。大阪医大の非正規職員のⅯさんのボーナス不支給是正問題。最高裁の裁判官は90%同一労働なのに「賞与はなくて構わない」「年収が新入職員の55%でも構わない」と。もう一つはメトロコマースの退職金裁判。こちらも、高裁で1部認められていたものもふくめ、棄却された。司法は最低だと原告。

一方15日の日本郵政裁判では、ほぼ要求が認められた。勝因は、正規職員の証言だったと。正規、非正規が一丸となって闘った成果だったと原告のおひとり、浅川喜義さんは言う。しかし河村弁護士は、勝利は部分的なものという。扶養、夏期冬期強化、病欠の有給は認めても、大きな問題である基本給、賞与、退職金については切り捨てられた。それが最高裁の立ち位置なのだろう。「同一労働同一賃金」の、労働法違反の突っ込みどころでもある。

・その判決を受けて、スタジオにカメラは切り替わる。

 ゲストにメトロコマースの原告(後呂良子・瀬沼京子・疋田節子・加納一美)と大阪のⅯさん(ズーム参加) 、ずうっとメトロコマースの裁判を応援してきた竹信三恵子さん(ジャーナリスト)、柚木康子さん(均等待遇アクション21)とともに、この判決を掘り下げた。

 メトロコマースの後呂さんは、判決文には6年5か月かけて反論してきたことがすべて無視され、会社の言い分しか書いていない。棄却されたけれど、納得していないし負けた気もしない。それが不服判決という言葉になったという。瀬沼さんもこんな判決を聞きたかったわけではないといい、疋田さんは、微々たる手当をやっておけば、食っていけるだろうという裁判官に腹が立つと。加納さんは、裁判官はもっと勉強してほしいと強く訴える。

 大阪医科大学の秘書のMさんは、まさかあり得ないと、高裁では賞与6割が出ていたが、まったくゼロに愕然とした気持ちを述べる。

 竹信さんは、わかりやすい判決だと、過去の事例を話す。正社員と同じ賃金にという長澤運輸訴訟は負けていて、ハマキョウレックスは手当てで勝っている。同じことが繰り返されている。つまり、‣手当は働く上での費用(経費) ‣賞与や退職金は賃金の変形→賃金は「評価」なので評価権を会社は手放さない。

 この2点で見ると、大勝利に見える郵政もこの原則が当てはまる。女性の場合で考えるとわかりやすい。女性は、扶養も住宅も手当てがない場合が多いが、仕事を評価する賃金や賞与、退職金を厚くしなければ収入は上がらない。非正規差別は本来そういうことをなくそうということだった。だからこそ、労働者はここを突破しなければならないと強調する。もちろん手当で、勝ったのはよかったが…。

 柚木さんは続けて、この労契法20条の主旨(有期か否かによって不合理な差別をしてはいけない)に全く反するものと切る。大阪のMさんが最終弁論で、賞与の日に非正規の人も上を向けるようにしてほしいと訴えたが、これは非正規の昔からの悲願だという。

 ところが、20年4月から施行されたパート法でも、賃金差別を認めていないのに、歴然とあり、それを裁判所は追認する。それは裁判所が「賃金に直結することは認めない」という意思の表れだと力説する。

・裁判を通して感じたことは?

 高裁で1人だけ棄却された瀬沼さんは、判決後4人で様々に話しあい、激動の毎日だった。「そのうえで上告したのに、救いのない最高裁の結果は何なのか」や、加納さんの何回も名前を読み間違えられたことに対する屈辱感、「死ぬまで働けというのか」という疋田さん、後呂さんは『絶望の裁判所』(瀬木比呂志)を読んで裁判所に対する幻想はなくなったが、非正規の働きは正社員とは違うと、現場を見ない裁判官にも低くみられたことが悔しいなど、彼女たちそれぞれが生活の中から判決に傷ついた気持ちを語った。

 大阪のMさんは、8〜9割は正規の人と同じで残り1割が職場独特の仕事という勝訴に近い事案だったにもかかわらず、違いの1割を取り上げての判決だったことで、後に続く人たちに申し訳なかったという。

 竹信さんは、そもそも労契法20条の弱さを指摘。特に「その他の事情」という抜け穴を作っていた。これは、雇用者側の口実に使えるので、最初から心配していたという。ILOは、同一価値労働同一賃金の導入を勧めているが、日本はいまだ採用せずと指摘。柚木さんも、同様に憂い、さらに安倍ですら、6割の格差を8割にしたいと言っていたのに、この現実は何なのか。裁判官は非正規労働してこいと言いたいと怒る。

 大阪のMさんは、判決後のSNSなどで「非正規なんだから当たり前だ」というような書き込みが多かったが、そういう人も、たまたま正社員でいられるだけで、いつ非正規になるかわからない。現にトヨタの社長がこれから長期雇用は維持できなといったように、会社も経営者と非正規だけになるかもしれない。正社員と非正規と分断している場合ではないと指摘する。

 竹信さんは、Mさんの発言に共感するとして、問題は正規と非正規を差別することで分断する「最強で最悪の賃下げ装置」だと。あの人は安くてもいい人となり簡単に賃下げができる。そのことによって、働く人にやる気がなくなる。一方差別していた人も、もっと安い人がいるといわれて賃金を下げられる。だから日本は90年代以降、賃金が下げ続けてきた。私たちは共闘しないと、絶対賃金レベルは上がらないと危惧を深めた。

・本当の闘いは、ここから 

 大阪のMさんは、これからは組合の中や外で、この判決の意味などについて共有していきたいし、声を上げていきたいという。メトロコマースの4人は、それぞれ定年になってこそ、差別を実感したり、マスメディアで大きく取り上げられて、問題自体が浸透して一般の意識が変わってきたとの実感を語る。そして今後は他の非正規の人たちと連帯したいとし「本当の闘いはこれから」との決意を語った。

 柚木さんは、きちんとした職務評価をするようにと提案。このような格差はヨーロッパでは考えられないので、ILOに提訴しようかとも考えているという。

 竹信さんは日本でも兼松など職務評価で認められた時もあり、多分日本でもその方向で行こうとされていた。ところが、ここにきて政府が押し返したのではないかと思っている。そこを突破するにはどうしたらいいか。「自分の事件だけやっていればいい」ではなくて、連携していかなければならないと今後の運動の在り方を示唆した。

・ギャラリーから白石孝さんの発言

 ギャラリーから官製ワーキングプア研究会の白石孝さんが発言。この4月からフルタイムの非正規公務員には、退職金、賞与が出ることになったことパートには賞与だけだが出ることになった。また雇用期間が1年に固定化されたが、少し前進したと報告。

 今の社会を見ると、非正規問題も最近の失業問題、野宿者のこともすべてつながっている。正規と非正規労働者が連携して運動を起こすように、貧困者ともつながりを作っていかなければ、今後も差別は拡大されると強調された。
 次回放送は、11月18日(水)の予定。

*写真撮影=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2020-10-25 17:19:53 Copyright: Default

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