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コロナ口実の廃業は許さない!〜韓国サンケン労組・キムウニョンさんからの手紙

 韓国サンケンの解散・清算撤回闘争を支持し、支援してくださる日本の仲間の皆さんに感謝の挨拶を送ります。

 皆さん〜〜 こんにちは。そして、ありがとうございます。お元気ですか。

 私たち韓国サンケン労組の仲間は、不当に人権を踏みにじり労働者の権利を侵害するサンケン電気の慰労金などは拒否して、堂々と闘っています。

 世界中がコロナ19で生活全般が委縮していますが、貧しい民衆の苦しみはさらに増しています。この苦しい時期にみんなで力を合わせ、知恵を絞って共に生きる道を探ることが求められるのに、自分だけの生き残りのために資本の利潤を真っ先に考えるのが資本主義というものです。

 世界的パンデミックの中で最も貧しい人たちが病気にかかり、家庭が壊され、生活が脅かされています。胸の締め付けられるような今日この頃です。

 海も空も塞がれ、行くことも来ることもできない現在、日本のサンケン電気はコロナ19の状況を悪用し、韓国サンケンの工場を解散・清算するため一方的に陰謀をめぐらし、企画・推進しています。

 サンケン電気の人権弾圧、労働組合を抹殺し、弾圧しようとするのは、何も今に始まったことではありません。

 1996年、私たちの労働組合が民主労総に加盟した後、1997年日本のサンケン電気は株主総会で韓国サンケンの撤退とインドネシアへの移転を決定しました。

 私たちは韓国サンケンの撤退やインドネシア移転計画を知らないまま、1年半の労組弾圧に対抗して闘わなければなりませんでした。管理職は組合員に暴行を加えてきました。

 女性組合員が徹夜で工場に寝泊まりしながら座り込みを続けていたのですが、工場の電源を切り、断水状態にして、出入り口を全部封鎖し、監禁してしまいました。挙句の果てに妊娠していた組合員を暴行し、女性組合員にイスを投げつけたばかりか、女性の組合幹部を男性の管理職5-6人が無理やり車に乗せて走行中の道路に投げ捨てるなど、本当に人間としてあるまじき行為をためらいませんでした。

 でも私たちは、怖がったり闘いを諦めたりしませんでした。私たちは一致団結して闘い抜き、韓国サンケンの工場を正常に稼働させました。周りから勝てないと言われた闘いで原職復帰し、私たちは労働運動の勝利の事例を作りました。

 しかし、サンケン電気の労組弾圧、人権弾圧は続きました。8回にわたるリストラ策で社員を追い出し、それでも飽き足らず金属労組の組合員だけを対象に生産現場の社員全員を整理解雇に追い込みました。

 お先真っ暗な整理解雇闘争を始めたときには前が見えず、周りでも全国でも日本でも、私たちの闘争勝利を予測した人はいませんでした。皆が心配し、悲観的な判断をしましたが、私たちは困難の前で必ず自ら希望を作り出しました。

 ちょうどツタの葉のように、登れない高い壁を少しずつ少しずつ、よじ登って行きました。

 韓国で連帯する仲間と、日本で連帯してくれる仲間の皆さんの力で、私たちは挫折せずに元気をもらって勝利の歴史を書いていきました。

 決して短くない1年半近い時間を闘っていきました。
 最初は資本の悪辣な整理解雇に対する怒りとから、人間として労働者としての自尊心と権利のために、自分たちの家庭を守るために闘いました。

 冬に始まった闘いが春になり、夏を過ぎ、秋に差し掛かり、自分との闘いに疲れた組合員が一人、二人と去って行き、整理解雇された34人だけが解雇撤回闘争をすることになりました。頭を剃り、逮捕を含めたすべてを覚悟し、涙をのんで仲間を韓国に残したまま、日本への遠征闘争に向かいました。

 日本の道も分からず、言葉も分からず、日本で知っている人たちもいませんでしたが、私たちは早い段階で心を取り直して闘争に臨むことができました。それは皆さんの夢にも忘れられない献身的な思いやりと広い連帯への感動でした。日本での遠征闘争では不自由よりも、感謝する連続の日々でした。

 それでも闘争が長引くと一部の組合員は試練を乗り越えず去って行き、闘争には16人だけが残りました。闘争はある意味で、敵との闘いだけでなく、弱くなり、疲労する自分との闘いの連続のようです。

 私たちはすべての困難を乗り越えていきました。韓国と日本、闘争の主体が共に一致団結し、国際連帯闘争の初の勝利の道を拓いていきました。

 私たちは原職に復帰し3年間、多くのことに耐え、新しい事業と機械設備が入ってくることを待っていました。韓国サンケンという工場は、既に韓国サンケン労働者のものではなくなっていました。日韓国際連帯の貴い成果物であり、涙の中で得た闘争勝利の象徴です。だからこそ私たちは韓国サンケンの工場も、韓国サンケンの労働組合も守りたかったのです。

 でも日本のサンケン電気はこのような私たちの心と成果物、忍耐と期待を一瞬にして踏みにじりました。

 私たちが復職した3年の間、サンケン電気は不法で欺瞞的に韓国サンケンを整理する手続きを着々と準備していました。韓国サンケン労働者の知らないうちに発注を外注先と他の業者に回して生産させ、韓国サンケンのマークを付けてヨーロッパなどに出荷しました。それだけではありません。LGチフンという会社の株式を100%買収し、新たな事業を含め韓国での生産を行わせていたのです。

 その一方で韓国サンケンには日本サンケン電気の業績が悪いとして3年間の賃金凍結を行い、生産すればするほど赤字になるような変な発注のみを回して赤字を累積させてきました。時には韓国サンケンに回す発注量もないとして、会社を何度も休業にしました。

 このように累積赤字を作り上げ、他の業者の機械設備まで韓国サンケンが代理購入するようなことをやっていたと後から情報提供があり、怒りを抑えることが出来ませんでした。

 日本のサンケン電気はコロナ19を口実として拙速に、不法に、欺瞞的に韓国サンケンの廃業決定を下しました。

 韓国サンケンの労働協約には、廃業時には事前に労働組合と合意しなければならない条項が盛り込まれているにも関わらず、いかなる話し合いの手続きも、事前の通告もなしに、一方的に、不法に廃業を決定して告示しました。

 あまりのことで私たちは当惑し、あきれ返るほどでしたが、直ちに闘争隊伍を組みなおし、闘いを続けています。

 コロナ19で日本へ行く道が閉ざされていたのですが、日本で韓国サンケンの解散・清算の撤回闘争を支持し支援する連帯組織を立ち上げ、闘いに立ち上がってくれた皆さんの様子を見て、限りない感謝と闘争勝利の元気を得ることができました。

 時にはこの辛さに、時には闘いの展望を心配し、時には仲間同士のいさかいもあり、時には自分との闘いに疲れ果ててしまうこともありましたが、大きな力となり、支えとなってくれた日本の連帯闘争組織の皆さんのおかげで、もう一度立ち上がることが出来ました。本当にありがとうございました。感謝を込めて、この文を書いています。

 心から感謝します。最後まで闘い抜いて、必ず勝利します。

 日本への道が、空路が開けたら、日本で再会致しましょう。皆さんもご健康にご留意ください。頑張りましょう!(トゥジェン/闘争!)

 金属労組慶南支部、韓国サンケン支会の仲間の心を込めてお送りしました。ありがとうございました。

2020年9月29日 キム・ウニョン  翻訳=加藤正姫


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