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富山市議の不正に挑む「チューリップテレビ」〜映画『はりぼて』の面白さ

 渋谷ユーロスペースで映画『はりぼて』をやっと観た。ドキュメンタリーであるのを忘れてしまうほど、名役者がそろったコメディ映画を観ているようだった。とはいうものの「役者」は富山市議、市長、教育長・・・。議員報酬の引き上げ、カラ出張、政務活動費を不当に使うなど、市議の不正を追及され、トップが失踪。あれよあれよという間に14人が議員辞職する。その生身のやりとりを撮影したのが1990年にスタートした「チューリップテレビ」という地元放送局だ。

 不正なんて今や驚くべきことではないのかもしれない。「こういう立場なんだからわかってよ」「みんなやってるよ」というのが台詞から画面からほとばしっている。そしてメディアも真実を追及するのでなく「勝ち馬に乗る」。そうではないところで、この小さなメディアは頑張っていた。

 「どうしようもなく腐敗した議員と、まっとうな記者」という構図に見える場面も多かったが、記者が議員の立場だったら。・・・そんなことを考えながら観ていたが、メディアだけが正義とはなりえないラストが待っていた。途方もない忖度社会だ。

 最初に議員辞職した最大会派のドンが「あなたたちが調べたことに何の誤りもない」と、自らの非をあっけないほど簡単に認めたときは唖然としたが、とても柔らかい表情になっていた。文書改ざんを負わされ自死した近畿財務局の赤木俊夫さんを思う。「本当のことを話せばラクになるのに」と、赤木さんの妻は訴えている。その意味で、この映画は情けないほど人間味があった。

 この日は偶然にもトークショーがあり、制作したチューリップテレビの五百旗頭幸男さんと砂沢智史さん(写真)、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の大島新さんが登壇。ラッキーでした。映画『はりぼて』は、渋谷のユーロスペースで10月9日まで。10月3日からアップリンク吉祥寺で上映は続きます。(堀切さとみ)


Created by staff01. Last modified on 2020-09-28 21:31:15 Copyright: Default

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