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女たちは怒っていた!〜「非正規差別」最高裁で口頭弁論開かれる

動画(8分)

 女たちは怒っていた。「非正規差別は女性差別」「女性の働きが搾取されている」。こんな言葉が、9月15日昼の最高裁前でのアピール集会で口々に語られた。当該のメトロコマースの原告4人は、白いマスクに「JUSTICE NOW!今こそ正義を!」のワッペンを貼って気合いをみせていた。アピール行動にはメトロコマースを支援してきた女性を中心に、2名の国会議員(宮本徹・福島瑞穗)や労働組合メンバーなどたくさんの人が集まり、「同一労働同一賃金をあきらめないぞ!」のシュプレヒコールを上げた。

 その後、最高裁では、メトロコマース・大阪医大の労働契約法20条をめぐる「非正規差別をなくせ!裁判」の口頭弁論が開かれた。メトロコマースの裁判は地裁からすでに6年が経過した。しかしこれまで是正が認められたのは、住宅手当などわずかで、根幹の「基本給・賞与」の正社員との格差は是認され、退職金についても4分の1とされている。最高裁が弁論を開くのはこの「退職金」をめぐってで、会社側・組合側の双方の主張を聞くためのものである。

 24席の傍聴席に対して86人が並んだ。関心の高さが窺われる。弁論時間は、わずか20分弱だった。会社側は書面の提出のみ。組合側は2人の弁護士が立った。今野弁護士は、「非正規は2千万人を超えていて圧倒的に女性が多い。いまや非正規なしに経営が成り立たない。しかしその人達は不安定な状況を置かれ、コロナ禍でもひどい状態にある。司法はこの格差をどう救うのかが問われている」と訴えた。青龍弁護士は「今回提訴した契約社員の4人はいずれも10年以上働いている。むしろ正社員のほうが10年以下だ。会社のいう正社員は長期雇用という実態はない。会社は、契約社員はセカンドキャリアだから低待遇でもいい、と主張しているがとんでもない。彼女たちは家計の大黒柱であり、また一人で店を運用する能力をもっている。退職金は4分の1でなく満額払うべきである」と力を込めた。

 二人の弁論が終わると、林景一裁判長は「 これで弁論を終了します。判決は10月13日午後3時です」というと、5人の裁判官は踵を返してしまった。傍聴席からは「いい判決をお願いします!」の声が数人から上がった。

 その後、参院議員会館講堂で、メトロコマース・大阪医大合同の報告集会が開催された。200人近くの人が集まった。ジャーナリストの竹信三恵子さんは、オランダの例をあげ発言したが、「同一労働同一賃金」があたりまえの国とすべてをごまかしている日本とのあまりの違いに、会場には驚きと怒りが広がった。

 記者はこの日、初めて最高裁法廷を傍聴することができた。第一小法廷は超豪華で円形の演劇場を彷彿させた。音響もよくマイクの音声がきれいだ。しかし、そこは威厳と監視の世界だった。入口でペンと紙以外はロッカーに預けさせられ、そのうえで金属ゲートの検査である。法廷内もコロナの関係で半数の24席のみだったが、そのうしろにズラリと監視の職員が8人も並んでいた。開廷前にフェイスシールドした職員が傍聴人に対して「静かにすること、起立するのが慣例、その他指示に従うこと」と命令調で語る。


*傍聴券の但し書き

 これはどこかで見た光景だった。そう、地裁・高裁にある429号警備法廷である。超豪華のつくりの最高裁法廷だが、ここは「警備法廷」と変わらないことがよくわかった。昔は「最高裁は人権の最後の砦」と言われたが、とてもそんなところとは思えなかった。(M)

*なお10月13日には大阪医大の最高裁判決、15日には郵政3事件の最高裁判決がある。労働契約法20条をめぐる裁判は最大の山場を迎える。


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