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だれが日韓「対立」をつくったのか?〜『反日種族主義』をめぐって日韓シンポジウム

 8月1日午後2時、東京・早稲田奉仕園で「だれが日韓『対立』をつくったのか」出版記念日韓シンポジウム:『反日種族主義』現象を批判する」が開催されました。前日の東京でのコロナ感染者が463名という状況だったため、オンラインに切り替えた方もおられたようで、会場参加者は多くありませんでした。ZOOMで韓国と、また日本全国とつないで集会は行われました。主催はFight for Justice(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)。オンライン&オフライン合わせて約200名が参加。

 韓国で2019年7月に出版された『反日種族主義』という本。韓国では10万部売れたそうですが、日本では文藝春秋社より翻訳出版され、40万部を超えて売れているそうです。韓国では比較的若い世代に読まれているとのことですが、日本では60代、70代の男性が半数を占めているとのこと。「だれが日韓『対立』をつくったのか」の編集者、岡本有佳さんと、加藤圭木さん(一橋大学教員、朝鮮近現代史/写真下)が、その内容と日本での反応を話しました。

 『反日種族主義』を編集した李栄薫(イ・ヨンフン)さんは、韓国の「教科書フォーラム」という団体を立ち上げた「ニューライト」(「新興右派」、新自由主義・植民地近代化論などを信奉する集団)を代表する人物。加藤さんは「本の内容は、『韓国の噓つき文化』とか『日本軍慰安婦問題の底には、韓国人の日本に対する種族主義的な敵対感情が潜んでいます(231頁)』などと書かれている。また、植民地時代を批判すべきではないというようなもの。しかし日本の朝鮮侵略・植民地支配の問題は、加害者と被害者がいる人権問題であり、被害者側の権利をどのように回復するのかが問われています。加害行為の責任を問う韓国側の主張は正当なものだと言う必要があります」など話しました。

 岡本有佳さん(写真上)は「日本のマスメディアは『反日種族主義』をどう報じているか」について話しました。「誰が働きかけ、宣伝しているか?」について、産経新聞の久保田るり子編集委員が、李栄薫さんに文藝春秋の編集者を紹介し、韓国で昨年7月に出版され、11月15日に日本で翻訳出版されたと話しました。11月21日には日本記者クラブで会見が行われ、11月26日にはNHK BS1で池畑修平キャスターの「『反日種族主義』から読み解く日韓関係」が放送されました。また2020年2月にはフジテレビで「日曜THEリアル!池上彰SP」で「韓国『反日主義』の行方」として放送されました。岡本さんは「プロジェクトが組まれているようだ」と話していました。

 韓国から映像で、康誠賢(カン・ソンヒョン)さん(聖公会大学教員、歴史社会学)の「『反日種族主義』現象を批判する〜韓国でいま何が起こっているのか〜」という特別報告がありました。

 「ニューライト」や「教科書右派」についてなど、とても興味深い話でした。新しい歴史教科書をつくる会の教科書を出版する自由社の加瀬英明社長も話に出てきて、映画『主戦場』での「韓国なんてかわいいもんよ」とニヤッとしていたのを思い出し、ゾゾっとしました。カンさんは最近「脱真実の時代、歴史否定を問う:『反日種族主義』現象批判」を刊行したとのこと。日本語翻訳版を準備中とのことなので、出たらぜひ読んでみたいと思います。(尾澤邦子)


Created by staff01. Last modified on 2020-08-03 20:45:25 Copyright: Default

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