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LNJ Logo 米国労働運動 : ジョージ・フロイド殺人事件に抗議して立ち上がる労働組合
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〔解説〕5月25日、ミネアポリス市で失業中のジョージ・フロイドさんは無抵抗のまま警察官により殺害された。またもや繰り返された人種差別殺害に対する怒りの抗議が全米各市で広がっている。レイバーノーツのウェブサイトは5月29日に労働組合の反応を伝えている。(レイバーネット日本国際部 山崎精一)
*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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ジョージ・フロイド殺人事件に抗議して立ち上がる労働組合

  2020年5月29日/ソーラヴ・サーカー (レイバーノーツ誌副編集長)


*ジョージ・フロイドさんの殺害場面(NBCNewsより)


*ツインシティーでの抗議活動

 警察官により、ミネアポリス在住のジョージ・フロイドさんが殺害された人種差別事件に対する抗議行動を支援する行動に労働組合は素早く立ち上がっている。

 5月25日に警察官デレク・ショーヴィンの膝でフロイドさんが窒息死する映像が報道されると、その映像は全国を掛けめぐり、ツインシティーズ(注1)を混乱に陥れた。5月28日、黒人の警察による殺人事件が絶え間なく続いていることへの怒りが沸騰し、ミネアポリスでは商店や警察署にまで火がつけられた。緊張感が漂う中、地元の労働団体は抗議活動を支援するために立ち上がり、相互扶助と公衆衛生を通じて地域社会を守ろうとしている。

 殺害現場からわずか1ブロックの場所にあるヒスパニック系労働者センター「闘う労働者連帯センター」(CTUL)のメンバーもその活動に参加している。

「事件への反応は絶望と怒りだけだった。ミネアポリスでは以前にもこんなことがあった」と、同センターの広報担当者であるイザベラ・エスカロナさんは語った。フロイドさんの殺害の前にも、デビッド・スミス、ジャマー・クラーク、フィランド・カスティールさんなど、警察による黒人の殺害が続き注目を集めていた。

 2015年に警察がクラークさんを撃ち殺した後、大学の労働者たちは「ジャマールのための正義のための労働者」の集会を組織するのを助け、警備員はその労働組合の中に「黒人の命は大切だ」委員会を立ち上げた。2016年に小学校のカフェテリアで働いていたチームスター(注2)組合員のカスティールさんが殺された後、何百人もの教員組合員が抗議のために行進し、21人が逮捕された。

●警官800人に賃金窃盗検査官2人

 これまでの抗議運動とは異なり、フロイドさんの殺人事件をめぐる蜂起はパンデミックの最中に起こっている。エスカローナさんは、CTULのメンバーを構成している黒人などの有色人種のコミュニティは、COVID-19によって最も厳しい打撃を受けていると指摘している。

 抗議者たちがフロイドさんの殺害された場所に集まっていることが明らかになると、CTULは抗議者の健康を守るために水とマスクを配り始めた。メガホンを使い、抗議者に社会的な距離を保つように促した。抗議が規模を拡大して、市内のほとんどの食料品店が閉鎖されたので、CTULは食料、水、ベビー用品などの必需品を地元住民に提供するようになった。

 火災が発生し、住宅が延焼しそうになったが、消防も来なかったので、CTULのオルグやメンバーは、住宅からの避難を誘導した、とエスカロナさんは語る。「私たちは自分たちの近所を大切にし、自分たちのコミュニティを大切にしています。これからも大切にし続けます。」

 CTULは何年もの間、警察の予算を減らし、代わりに賃金窃盗の監督官(注3)を雇うように運動してきた。

 「賃金窃盗の件数は略奪や軽窃盗の数を比較すると、けた違いに多い。ミネアポリスには800人の警察官がいて、私たちは賃金窃盗の監督官を2人雇わせるのに必死で闘ってきた」とエスカロナは語る。

●教師と催涙ガス

 ミネアポリス教員連盟は、地域社会が主導する行動に参加し、生徒を支援するよう組合員に呼びかけている。教員の約20%が有色人種であるのに対し、生徒の75%が有色人種であるという人種的に偏った学校の中で、生徒たちがこの状況に対処できるよう支援する課題に教員たちは取り組んでいる。

「生徒たちが今起こっている事態に対処できるように支えることに組合員たちは力を注いでいる」と語るのは、ミネアポリス教員連盟のメアリー・マナー副委員長。

 ある生徒から電話がかかってきて、「宿題が終わらなくすみません、催涙ガスを洗い流していたの」と誤った、マナーさんは言う。

 おそらく最も注目すべきは、教員たちがミネアポリス警察との財政的な関係を断つように教育庁に働きかけていることであろう。

 ミネアポリスの教員たちはまた、後片付けを支援し、蜂起によって避難した人々に物資を提供し、薬局に行けない人々のために処方箋を受け取り、食料品の買い物を助けるためにライドシェアを提供している。公共交通機関が停止しているため、住民はさらなる苦難を経験している、とマナーさんは言う。

●不当なシステムを拒否する

 数多くの地域労働組合、労働者センター、全国労組がジョージ・フロイドのために正義を求める声明を発表しており、その中には都市交通労組(ATU)ローカル1005、UNITE HERE!(注4)ローカル17、 CTUL、ミネソタ看護協会、セントポール教員連盟、ミネアポリス教員連盟、UNITE HERE!本部、全国看護師組合が含まれる。

 マスコミジャーナリスト労組のニュースギルド(CWA)と放送従業員組合(NABET)は、5月29日早くから抗議活動を取材していたCNNの報道クルーの逮捕を非難する共同声明を発表した。その逮捕はニュース番組を中断し、生放送で放送された。

 ATU委員長のジョン・コスタ氏は、「わが組合員であるミネアポリスのバス運転手には、警察官を抗議活動の現場に輸送し、逮捕された人たちを護送するという危険な任務を拒否する権利がある。運転手の多くは抗議が行われている地域に住んでいる。」と述べた。

 バス運転手でATUローカル1005の組合員でもあるキルゴア・トラウト(仮名)は、逮捕された抗議者の輸送を拒否するように仲間のバス運転手に呼びかけ、SNSを通じて労働関係者に反響が広がっている。

 彼はそれ以来、#Justice4GeorgeFloyd(ジョージ・フロイドのための正義)という全国的なFacebookグループを立ち上げ、労働組合員に動員を呼びかけている。そのフェイスブックグループは、「ミネアポリス警察が正義を求める声を抑えつけるのに、私たちの労働力が利用されないようにするために、できることをしよう」という署名活動を推進している。

 このフェイスブックのグループは、ツインシティーズでの5月30日の抗議行動に結集するよう労働組合員に呼びかけている。
(追加取材はサマンサ・ウィンスローが行った。)

注1) ミネソタ州の州都セントポール市とその隣のミネアポリス市
注2)運輸・流通産業の労働組合
注3)未払賃金を担当する労働基準監督官のこと
注4)ホテル・レストラン・被服産業の労働組合


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