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残酷な「ドラマ」が私たちの現実にある〜『週刊文春』森友自殺職員の手記

    渡辺てる子

 あるコンビニで最後の1冊を買った。こらえきれず車中でページを開いた。すぐに読むのをあきらめた。車中で嗚咽を我慢できなくなったからだ。帰宅して読んだ。動悸が止まらない。胸が苦しい。言葉が刺さる。不正を許さず、泣いて公文書改ざんを拒否した者が死に追いやられ、あっけらかんと「修正作業」を行う者がのうのうと生きている。こんな残酷な「ドラマ」が私たちの現実にある。

 「ぼくの契約相手は国民です」という清々しい信念を持つ者がなぜかくも苦しみ、自死に至り、ご遺族共々、死後までも軽んじられなければならないのか。権力の腐敗に押しつぶされた一人のかけがえのない生命。自死というより憤死ではないか。

 取材した相澤冬樹氏は、佐川宣寿氏の自宅のインターホン越しに赤木俊夫氏が遺した「手記」を掲げた。文中には全く著されることのない相澤氏の怒りと執念をそこに感じた。

 夫の赤木氏の「後を追う」とまで言っていた妻の昌子さん(仮名)は、真相究明のための裁判を起こすという。醜く巨大な権力に闘いを挑む姿に畏敬の念を抱く。決して自死を美化はしたくない。だが、赤木氏の死を無駄にしないために、我々はこの事件を忘れてはならない。追及の手を緩めてはならないのだ。

 虚偽答弁を続けるばかりの「官僚」は、時の最高権力者への忖度にまみれた。その賤劣な構図の本丸を我々は「選挙制度」で生み出した。我々は、もう二度と赤木氏が苦しんだような状況を作るわけにはいかないのだ。(3月19日)


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