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LNJ Logo 海渡雄一 : 立憲野党は特措法改正を慎重に審議してほしい
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News Item 0305kaido
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●立憲野党は、特措法改正を慎重に審議してほしい。一致して反対してほしい。

この記事(毎日新聞)は不正確です。
「協力要請に対し、立憲、国民、社民の3党は「現行法のままでも適用できる」と主張。ただ、国会審議には応じる構えだ。維新は賛意を示したが、共産は反対した。」とありますが、正確には、

立憲、国民は「新型インフルエンザ特措法を改正しないで、そのままで適用できる」と主張。社民党は「既存の感染症法と任意の協力要請で対応できる。」
共産党は私権制限につながり新法には反対。

という色分けで、社民党と共産党は実質的には同じです。

立憲、国民は新型インフルエンザ特措法をつくったのは自分たちだという思いがあるでしょうが、それを安倍さんに渡したらおしまいでしょ。
この法律はまだ本格的に使われたことのない法律です。同じ法律も、違う人が使えば違うものになるのです。
枝野さんは「緊急事態宣言ができる状況にない」などいっていますが、それを判断するのは安倍さんですよ。あなたではありません。
国会に記判断権がないし、事後的に解除する権限もない。
授権法に賛成して解体に追い込まれたドイツ「中央党」の二の舞になりますよ。授権法が採択されたとき、共産党議員は全員投獄され、出席した議員の中で唯一反対したのは社民党党首だけでした。

「ヒトラーは1933年1月首相になった。しかし、この段階では国会の多数は構成できていない。ヒトラーは国会を解散し、4年間の政権委任を訴える選挙キャンペーンを行い、この選挙中の2月27日にドイツ国会議事堂放火事件が発生した。ヒトラーはこれを共産主義者によるものと決めつけ、大統領に要請し、共産主義暴動の発生に対応するためとして、「民族と国家防衛のための緊急令」などを布告させた。ヒトラーはこの大統領令に基づいて、国会議員を含む多数の共産党員・社会民主党員を逮捕・予防拘禁した。このような異常な選挙の結果、ナチスは288議席、連立を組む国家人民党は52議席を得て、議会の過半数を獲得した。社民党は120、共産党は81議席を得たが、ヒトラーは共産党と社民党の議員がほとんど出席できない状態で、ポツダムにおいて3月21日議会を開き、「民族および国家の危難を除去するための法律案」(全権委任法・授権法)を国家人民党と共同で提出した。
 中央党はこれに賛成した。議会に出席できたドイツ社民党のオットー・ヴェルス党首は唯一の反対演説を行った。その演説は次のような内容であった。」

「暴力による平和からは、いかなる繁栄も生まれない。真の民族共同体というものはそうしたものに基礎を置くことは出来ない。その第一の前提は平等の権利である。自由と生命を奪いとることはできても、名誉はそうはいかない(Freiheit und Leben kann man uns nehmen, die Ehre nicht.)。社会民主党が最近被った迫害にてらして言えば授権法への賛成を我々に要求したり期待することなど誰にも出来ないはずである。3月5日の選挙の結果、政府与党は多数を獲得し、憲法の文言と目的に忠実に統治することが可能になったのではないか。こうした可能性が存するところでは、そうする義務も存在する。およそ批判とは有益なものであり、必要でもある。ドイツに国会が生まれて以来、民族の代表者が政治に関与し参画することが今日のように排除されたことはいまだかつてなかったことである。新たな授権法が成立すれば、こうした状況がさらに加速されるであろう。革命の続行のために国会を真先になくしてしまうこと、それが君達の要求なのだ。しかし、現に存在するものを破壊することが革命ではない。法というヴェールをかけたとしても、暴力による政治という現実を覆い隠すことは不可能である。いかなる授権法も永遠かつ不変の理念を抹殺することはできない。社会主義者鎮圧法が社会民主主義を抹殺しえなかったように、新たな迫害の中からドイツ社会民主党は新たな力を汲み取るであろう」
 
 この法律は、形式的にはワイマール憲法の改正手続を践んでいましたが、近代的な立憲主義を公然と否定した独裁立法であり、謀略と弾圧によって実現されたといえます。

 改正法によって、緊急事態宣言が出されれば、放送はコントロールされ、集会も開けない戒厳令になってしまうのですよ。
 まずは、きちんと検査して治療する体制をつくるという立憲の提案は正しい。しかし、安倍政権はこれまでの誤りも認めていないし、いまも検査させない体制のままじゃないですか。このまま、緊急事態にされたら、間違った政府の政策も糺せなくなるのですよ。
 改正法は、闇夜に鉄砲を撃っている人に大砲を与えることになる。枝野さん、玉木さんは現実をみて、冷静に判断してください。日本国民のいのちと自由は心ある国会議員の手で守り抜いてください。心からお願いします。

(海渡雄一氏の公開FBより転載紹介)


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