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LNJ Logo 米国労働運動 : 活発だった2019年の活動を振り返って
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〔解説〕レイバーノーツ誌の1月号はまだ郵送されてきていない。そこで年末の12月20日にウェブサイトに掲載された2019年のレイバーノーツの活動を振り返る記事を翻訳した。反転攻勢に転じたアメリカ労働運動の意気込みが伝わる記事である。(レイバーネット日本国際部 山崎精一)
*毎月1日前後に「レイバー・ノーツ」誌の最新記事を紹介します。

活発だった2019年の活動を振り返って

   ダン・ディマジオ(レイバーノーツ副編集長)


*2019年に開催した14回のトラブルメーカーズ学校の一つ/カンサス州ローレンスでの参加者たち

 レイバーノーツは40年も続いている。しかし、2019年はレイバーノーツにとってとりわけ活発で、最も成果の多い一年であっただろう。

 この月刊誌を発行するだけではなく、全国を駆け回って、ピケに参加し、これまでで最高の14回のトラブルメーカーズ学校を開催した。その最初はニューヨーク州イタカで行われ、ペンシルバニア州エリ―でストライキ中の全米電機ラジオ機械工労組(UE)の各ローカル労組の委員長たちが参加して大歓迎を受けた。エリーでストライキ(注1)をしていたその労働者たちはその次の州にはデトロイトでのトラブルメーカーズ学校に参加していた。

 シカゴでのトラブルメーカーズ学校は32、000人の教職員が参加した秋のシカゴ教職員労組(CTU)ストライキ(注2)の直前に行われた。ストライキ支援を計画するために分科会が設けられていた。アマゾンの倉庫を組織する二つの組合ローカルが職場での組織化を報告した。一つは清潔な飲料水を要求して署名活動をして成功した経験と、もう一つはエアコンと医療保険を求めて7月に管理者に詰め寄った経験である。(注3)

 これらのトラブルメーカーズ学校は異なる職場、産業、労働組合の労働者たちが出会い、経験や戦略を共有化する場となっている。これは労働運動ではめったにない機会である。飲食店で働く労働者が教員、電気技師、物流会社UPSの運転手の組合員と隣り合って、経営側の攻撃にどう反撃するか話し合うことができる数少ない機会がレイバーノーツの集まりである。

 そのような経験をもって台湾に行き、8月には初めてのレイバーノーツ・アジア地域集会を開催した。国際労働権フォーラム(International Labor Rights Forum)との共催で、17カ国の労働者と組合オルグが参加した。

 ストライキを打ったばかりの台湾エバー航空の労働者と、一連のストライキについて報告したミャンマーの衣服産業労働者が注目を集めた。具体的な国際連帯行動としては悪名高いアイフォン製造業社のホンハイ(鴻海精密工業)本部前で抗議行動が行われた。日本の子会社(注4)が中国本土に移転したために解雇された日本で働くフィリピン人労働者たちの支援のための行動だった。

 レイバーノーツの下からの民主的な組織化手法に世界中で関心が集まりつつある。2020年夏にも再度アジア集会を持ちたいと思っているし、2021年春には北欧での集会を目指している。

【持続的なネットワーク】

 このような単発の取り組みにも元気づけられるが、そこで生まれるつながり、持続的なネットワークこそが労働運動の活性化の真の鍵である。

 このようなネットワークの中で最高のものは草の根教員コーカス(UCORE)である。UCOREは進歩的な教員組合のコーカス(注5)のネットワークで、その活動をレイバーノーツはずっと支援してきた。教員たちは20年間にわたって教育予算を削減され攻撃されてきたが、反撃し続けており、その中で教員たちが経験を交流して組合を活性化するための場をUCOREは提供してきている。シカゴやロサンゼルスの教職員組合を強化し作り変える活動の先頭を担ってきている。いま全国で教職員組合の指導部を担いつつあるコーカスを育て、支えてきているのである。

 同じように経験交流と戦略作りの共有化によって、レイバーノーツは看護師と大学教職員の全国ネットワークの形成を支援してきている。

 2018年のトラブルメーカーズ学校での「人種と労働組合」分科会に関心が寄せられたので、黒人労働運動活動家のネットワーク作りにも着手している。労働組合の中心的課題として人種正義をどのように積極的に位置づけるか、団交、組織化、組合文化の中にある人種差別とどう闘うかを参加者と考えるのがこの分科会の目的である。

 4月のレイバーノーツ大会では黒人労働者の分科会や集まりを増やす予定である。またラテン系労働者も4月17日に事前会議を予定している。

【組合変革の中心に】

 全国でこれまで以上に多くの労働者たちが組合変革に取り組み、経営側に楯をつき、大胆な要求を掲げて闘うようになってきている。何十年にもわたる退却の後に、労働運動は素晴らしい時期を迎えようとしており、レイバーノーツはそのど真ん中に立っている。 継続的なニュース報道だけではなく、『いかにしてストライキを組織して勝つか?』のような実践的な手引きを発行し続けているのは、まさにそのためである。労働組合の最も強力な武器を組合員が再発見する手助けになることを期待している。

 レイバーノーツの活動を可能にしているのは読者・支持者たちである。トラブルメーカーズ学校の組織化を支え、ウェブサイト閲覧や機関誌購読を呼び掛け、支援を求めている労働組合員と連絡をつけてくれているのは、あなたたち読者であり、あなたたちこそがレイバーノーツの事業を支え発展させてくれているのである。

 300人以上の方が毎月の継続的寄付をしてくれている。まだの方はlabornotes.org/donateから登録すると、『レイバーノーツ誌』の定期購読とTシャツが無料でもらえる。

 レイバーノーツは2020年とその先に大きな期待を抱いている。ここ数カ月はこれまでで最大になる見込みのシカゴでのレイバーノーツ大会に注力する。大会に参加すればすごい刺激を受け、元気になり、みんなのためになるので、絶対に参加しよう。

 あなたの労働組合が代表を送るよう働きかけ、地域で代表団を作ることで支援できる。地域の活動家が参加できるよう資金カンパを組織しよう。その手助けが必要なら、連絡して欲しい。

 新年おめでとうございます。4月にシカゴで会いましょう。

注1)2019年7月のレイバーノーツ翻訳記事参照
http://www.labornetjp.org/news/2019/0701us/

注2)2019年11月のレイバーノーツ翻訳記事参照
http://www.labornetjp.org/news/2019/1101us/

注3)2019年4月のレイバーノーツ翻訳記事参照
http://www.labornetjp.org/news/2019/0424us/

注4)三重県にあるシャープ亀山工場。ユニオンみえの組合員である被解雇労働者たちも日本からの参加者としてレイバーノーツアジア地域集会に参加した。

注5)労働組合の中にある組合員の自主的組織。組合員の結社の自由と言論の自由を保障するために法律で認められている。


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