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[情報提供] レソトで、アパレル業界での性暴力・セクハラ対策の画期的合意締結
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南部アフリカのレソトで、このほど、アパレル業界での性暴力・セクハラ対策として、労働組合・女性の権利団体-ブランド-サプライヤー間で画期的な合意が結ばれました。米国の労働団体ワーカーライツコンソーシアム(Worker Rights ConsortiumWRC)の815日付けプレスリリースの翻訳(付録として記載されていた当事者各団体の紹介は省略)を送ります。
(会員 わだともこ)

●大手アパレルブランド、労働組合、女性の権利団体、レソトの主要サプライヤーの工場で性別に基づく暴力やハラスメントに対処するための拘束力のある合意に署名

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位上の労働者を雇用するレソトの縫製工場でのジェンダーに基づく暴力やハラスメント(gender-based violence and harassmentGBVH)を防止するための包括的なパイロットプログラムを開始する合意が、複数の市民社会団体、国際的なアパレルメーカー1社、および3つのグローバルブランドの間で結ばれた。

レソトの5つの労働組合・女性の権利団体、および米国に本拠をおくワーカーライツコンソーシアム(Worker Rights Consortium、訳注:以下WRCと表記)、連帯センター(Solidarity Center)(Workers United)は、年興紡織股份有限公司(Nien Hsing Textile)、リーバイス(Levi Strauss & Co.)チルドレンズプレイス(The Children's Place)およびコントール・ブランズ(訳注:ジーンズのラングラー、リーなどのブランド)と前例のない協定を締結した。

この協定は、年興紡織の工場での非常に憂慮スべき虐待とハラスメントのパターンに関するWRCの調査レポートを受けた交渉の結果できあがったもので、労働者の権利を保護し、レソトの経済発展を支援し、また、アパレル輸出国としてのレソトを進行していくために、関係者たちが共有するコミットメントを反映したものとなっている。

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つの労働組合と女性の権利団体は、レソト独立民主組合(Independent Democratic Union of LesothoIDUL)繊維従業員組合(United Textile EmployeesUNITE)、全国衣料繊維同盟労働者組合(the National Clothing Textile and Allied Workers UnionNACTWU)、レソト女性弁護士連盟(the Federation of Women Lawyers in LesothoFIDA)南部アフリカの女性と法律 研究教育基金-レソト(Women and Law in Southern African Research and Education Trust-Lesotho WLSA)。(訳注:以上の団体名の日本語は全て翻訳者による仮訳)各ブランドの協定は、年興紡織と労働組合・女性の権利団体との間の協定とは別で、互いに連携して機能する。労働者からGBVHの苦情を受け取り、調査と評価を実施し、共同でつくられた行動指針に対する違反を特定し、レソトの法律に従って是正策を指示し、実施する独立の調査機関を設立するものだる。このプログラムは、各種の労働者間トレーニングやマネージメントトレーニング、教育、および関連するさまざまは活動をも含むものになる。

年興紡織のリチャード・チャン会長は「過去数ヶ月にわたって意見とアイデアを提供してくださった方々みなさんに感謝します。これにより、当社と当社のお客様であるブランド各社が行う仕事にとって非常な重要な人々、特に女性に、利益と保護をもたらす合意に達することができました。」と語った。「私たちは工場内のすべての労働者にとって職場が常に安心安全なものであるよう努めており、したがって、この合意を即座に、全面的に実施して、測定可能な成功を上げるため全力を尽くす所存です。」

ブランドとレソトの各組織は、協定に即して、プログラムの監視委員会に同等の投票権を持つ代表者を任命することに同意した。年興紡織とWRCはそれぞれ、監視委員会のオブザーバーとなる。

プログラムの期間は2年で、資金は主に、3つのブランドが米国国際開発庁(USAID)と協力して、刺激的で革新的な官民パートナーシップで調達することになっている。

リーバイス、チルドレンズプレイス、コントール・ブランズは以下のような共同声明を出した。「私たち各社は、労働者の権利を守り、サプライヤーの工場において厚生を推進して、そこで働くすべての労働者、特に女性労働者が、安全だと感じ、価値を認められ力を与えられていると感じられるよう力をつくる決意をしています。職場でのジェンダーに基づく暴力とハラスメントを防止し、これと戦うことを目的とした包括的なプログラムで、年興紡織、ワーカーライツコンソーシアム、連帯センター、レソトの地元の労働組合と女性の権利擁護団体と協力できることをうれしく思っています。この多面的なプログラムが、これらの工場で継続的な変化とより良い労働環境を作り出し、従業員全体大きなプラスの影響を与えられると私たちは信じています。」

年興紡織はさらに、GBVHに対処するために効果的な施策およびシステムが同社の各工場で確立されるよう、報告のための工場へのアクセスを提供し、苦情を申し立てたり他の形でプログラムに参加している労働者に対する報復をしないよう、マネジャーたちに命ずる。年興紡織が労働組合および女性の権利団体との合意に重大な違反をした場合には、改められるまで各ブランドは注文を削減する、と約束している。

FIDAWLSAは、リーバイス、チルドレンズプレイス、コントール・ブランズのブランド3社による、レソトの繊維産業において女性従業員に向けられるジェンダーに基づく暴力とハラスメントを防止し、根絶するプログラムのためのNGO・労働組合への支援を歓迎し、感謝しています。」FIDAのトゥソアナ・ントゥラマとWLSAのリバキソ・マトゥロは語った。「これは、職場における女性の社会経済的権利を向上させるという共通の目標に向かって、労働者、労働組合、女性団体、そして雇用主が共に取り組む、レソトにおいて初めてのイニシアチブです。」

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のシニアプログラムディレクター ローラ・アビモーチドは以下のように語っている。「これらの画期的な合意は、サプライチェーンにおけるハラスメントや虐待への取り組み方として、アパレル産業の他の各社によい先例を提示しています。」「年興紡織、その顧客であるブランド各社、労働組合と女性団体の間で、一連の拘束力のある合意をつくりあげるため、各関係者は一緒になって取り組みました。他の方々がこれを見て、これを土台にさらに取り組みを重ねることで、ひとつひとつの国を超えた影響を全体として与えられるようになることを願っています。」

(翻訳ここまで)

WRC
のプレスリリース原文 https://bit.ly/33BgvbN によると、レソトとは:

南アフリカ共和国内に位置する内陸国で、人口約200万、一人あたりGDP1,318ドル(低中所得国に分類される)。過去30年間に衣料製造産業が拡大を遂げ、現在では約40,000人を雇用する、公式雇用者としては最大の業界になっている。アパレル企業42社で、推定年間約9,000万点のニット衣料を製造。米国のアフリカ成長機会法(African Growth and Opportunity Act)を利用して、サハラ砂漠以南のアフリカでは、米国への衣料製品輸出国として最大の国の一つとなっている。アパレル産業の成長にともない、他の労働集約型産業も出てきた。


Created by staff01. Last modified on 2019-08-29 15:41:30 Copyright: Default

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